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どこまでもつづく道の先に  作者: カルボナーラ
子どもの誕生とレンの出発
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【ディル】とても悪いことをしている


【ディル】


ニナの寝顔をじっと眺めていた。

すー......すー......という穏やかな寝息。

長いまつ毛が影を作り、赤みを帯びた丸い頬が可愛らしい。


(ニナは、また先に眠ってしまった。

疲れやすいのかな。

あまり体力がないのかもしれない)


寝転がったまま肘をついて彼女の顔を見つめ続ける。

(あ~~......それにしても俺のニナは可愛いな)


「ん......ディル......」

ニナは寝言を言うと、少し体を動かした。

薄い夜着の胸元がはだけて、胸の谷間がみえる。


俺は慌てて目をそらすと、ニナに背中を向けた。


-------------------------------


翌朝。


「街へ行って情報収集してくる」

出かける準備をして、ニナに声を掛けた。


屋敷に引きこもっていると周辺の経済状況や治安、ウワサ、政情などが入ってこない。

情報不足で窮地におちいることはよくある。

周囲の状況を探らなくては。


近場の街ヴェッセルに行き、何人か顔見知りを作っておきたいというのもあった。


「えっ。私も行く」

ニナは俺の腕に絡みついた。


「ベルナルドのお屋敷にいたとき、よくカノンへ連れて行ってくれたじゃない」


「カノンはよく知ってる街だった。

だが、ヴェッセルの街を俺はよく知らない。

治安も街の住人の雰囲気も......。

まずは安全かどうか、確かめてくるから」


「そうね.....。危ない目にあったら困る。

でもそれはディルも同じよ......気をつけてね」


ニナは、一人でカノンの街へ行こうとして誘拐された。

あれ以来、反省し、無茶な行動は取らないと決めたようだった。


----------------------------------


「帰ってきたぞー」


日が暮れる前に、なんとか屋敷に戻って来ると俺は寝室をのぞいた。


ヴェッセルはカノンなみに治安は良さそうだった。

だが街の広さは、カノンほどではなく、こじんまりとしていて商店もあまり無い。

どうやら、農産物は隣町で売りさばかれているようだった。


酒場で何人かの商人と知り合いになり、周辺の情報も入手できた。

一人、胡散臭いやつがいて、俺のことをダマそうとしているのが見え見えだった。

投資話をいくつか持ちかけられたが、俺は「越してきたばかりだから」と言ってすべて断った。


金儲けの才能は、俺にはない。

戦うことしか脳がないのは自覚していた。


「ディル!!」

ニナは座っていた椅子からパッと立ち上がると俺のほうへと駆け寄った。


「寂しかった!!」

そう言うとぎゅっと抱きついてくる。

「ずいぶん時間がかかったのね?待ちくたびれたわ」

「留守したのは、ほんの半日だと思うけど......」


--------------------------


「あっ........んっ」

寝室で立ったまま、キスをした。


ニナはキスをしていて......「先に進みたい」と、思わないんだろうか。

男みたいにムラムラしないのかな?


女のことがよく分からなかった。


そうだ!!

いまは、まだ夜じゃない。今ならニナは眠くならないんじゃないか。


俺はそのまま彼女をベッドに押し倒した。

彼女の黒髪が真っ白なシーツの上に広がった。


「ディル?眠るの?まだ夜じゃないのに」

ニナはキョトンとして俺の顔を見る。


「眠らないよ。

ニナも眠っちゃダメだ」

俺は彼女の頬に掛かった髪をそっとはらった。


「分かったわ。眠らない。たくさんキスしたいのね?」

ニナはフフフと笑った。


「ん」

またキスをする。


そして、俺は彼女のドレスのボタンをはずした。

彼女に気づかれないようにキスをしながら......。


「ディル?」

ニナはまた、目を大きくして俺に聞く。


「どうして私のお洋服をぬがせたの?」

ボタンをすべて外されて下着があらわになった彼女は俺を見つめ返した。


「恥ずかしいじゃない」

彼女の裸の肩にキスをする。

「.......や......。それに、く、くすぐったい」

「......ニナ」


服を脱がす手を止め、キスもやめて、彼女の顔をのぞきこんだ。

彼女の瞳は不安で揺れていた。


(なんか......俺、とても悪いことをしている気がしてきた.......)


「恥ずかしい?」

彼女に聞くと、ニナは勢いよく首を縦に振る。


「触られたくない?」

ニナは、ゆっくりと首を縦に振ると、目に涙をためた。


「分かった。もうやめる」

俺は彼女の服を整えてやると、ベッドから上半身を起こした。

ニナが嫌がってるのに先には進めない。


「ディル......」

ニナが俺の腕をつかんだ。

「.......怒ってるの?」

「どうして?怒ってないよ?」

俺はニナのおでこにキスをした。


「さぁ、夕飯にしよう?

実は街で新鮮な肉を買ってきたんだ」


「ほんとに!?」

ニナの目が輝いた。



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