【ニナ】アリッサとのおしゃべり
【ニナ】
私はその日、アリッサにお茶の招待を受けた。
「ニナ。良かったら、あたしの部屋でお茶を飲まない?
あなたと、ゆっくり話したいの」
アリッサはそう言うとニッコリと笑った。
「私もそう思っていたわ、アリッサ。
ご招待ありがとう!」
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私は緊張して、アリッサのお部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
彼女の優しい声。
アリッサは笑顔で迎えてくれた。
私は彼女をギュッと抱きしめる。
アリッサからは甘くて優しい香りがした。
アリッサはお人形さんみたいに綺麗なひと。
ひと目見たときから、私は彼女のことが大好きだった。
大好きと言っても......もちろんディルのほうが、大好きなんだけど!
......そうだわ。
お散歩のとき......。
ディルとキスしたんだわ......。
今でも夢みたい。
思い出すだけで......すごくドキドキする。
ディルはかっこいい。
彼の髪の毛の先から、つま先まで、全部好き。
見た目だけじゃないわよ。
中身も優しいし、面白いし、あたしの話をじっと聞いてくれるところも、全部大好きなの。
なんだろう、言葉で言い表せないほど、私は彼のことが大好き。
「ねえ、アリッサ。
お兄ちゃんのこと......好き?」
私はアリッサの向かいのソファに座ると、彼女にさっそく質問した。
アリッサは目を細めて笑うと
「いいえ」
と言った。
「えぇっ!?好きじゃないの?」
私はビックリして彼女に聞き返す。
好きじゃないのに、お兄ちゃんと結婚するのかしら!?
「好きじゃなくって......愛してるわ」
アリッサは、私の目をじっと見つめるとそう言った。
とても幸せそうな表情で。
「あい......してる?」
私はポカンとして、彼女の言葉を繰り返した。
「そうよ。ニナ。
あたしは、あなたのお兄さまを......レンを愛しています」
アリッサはそう言うとまた微笑んだ。
「愛してるって、すごい!!
ねぇ。アリッサは、どんな気持ちなの?
お兄ちゃんをどう思っているの?」
「そうね。説明するのがとても難しい」
アリッサはそう言うと、宙をみつめた。
「彼の代わりはいない。
彼のためなら何でもできる」
うん、うん......と、私はうなずいて、彼女の言葉を聞いた。
「それから、彼の喜ぶ顔がみたい......って思う」
「喜ぶ顔?」
「そうよ。彼を喜ばせたい、幸せにしたいって思うわ」
アリッサはそう言いながら、私のティカップにお茶を注いだ。
カップから湯気がたちのぼり、いい香りが部屋に広がった。
「素敵だわ!アリッサ。ほんとに素敵。
お兄ちゃんもきっと同じ気持ちよ?」
私は、またディルのことを思い浮かべる。
私もきっとディルのことを愛してる。
だって、彼の代わりなんていないし、彼のためなら何でもできる。
それに、彼を喜ばせたいもの。
ディルの笑顔を思い出した。
太陽みたいに眩しくて、きらきら輝いている。
ディルの笑顔をみるためなら......あたしは、なんだってできる。
「ニナ。あなたにも愛している人がいるのね?」
アリッサは、お茶を飲みながらそう言った。
「いるわ!!ディルよ」
私がそう言うと、アリッサはお茶を喉につまらせてゴホゴホと咳をした。
「大丈夫!?」
私は慌てて、ハンカチを彼女に渡す。
「大丈夫よ、ちょっと驚いたの」




