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めんどくさい女の子たち  作者: あかなめ
第二章 稲垣良美と児玉くん
21/334

21 信仰

登場人物

・柊響(あの人)中一女子

・久保田友恵(トモちゃん)柊響の同級生で友だち

・児玉くん 柊響の同級生で柊響に告白してきた

・稲垣良美(ガッちゃん)柊響の同級生で柊響をライバル視している

挿絵(By みてみん)



「ガッちゃーん! いるのはわかってるんだよー! コソコソしないで出てきなさいよー!」


 あの人──柊さんが廊下で叫んでいる。


 もう、まったく、なにからなにまで、圧倒的にかなわないや。

 彼女、なんにも知らないし興味もないよ、って顔しといて、実はなんでもお見通しだったのね。ここに隠れていることすらも。


 しかし柊さん、あなたはホントにひどい人だよ。

 児玉くんにバレちゃったじゃない。

 好きだということも、盗み聞きしていることも、卑怯者だということも。


 柊さんはフったのか、フラれたのか?

 それとも結ばれたのか?

 疑問だけがぐるぐる回って頭がおかしくなっちゃいそうだ。


 ダメだ。

 もうキャパオーバーだ。

 逃げよう。

 コソコソとみじめに逃げるんだ。

 わたしが正論を振りかざして踏み倒してきた人のように。


 さよなら、児玉くん──。


「稲垣さん!」


 児玉くんがわたしを呼んでいる。


 ああもう、すっかり逃げ遅れてしまったよ。

 ほんと、わたしはいつだってなにもかもが遅すぎる。


 児玉くんの呼びかけは、まるで神の召命だ。

 そしてこれは神様がわたしに与えた試練。 

 神父様はよくおっしゃっていた──神様は乗り越えられる試練しか与えない、と。

 最後は必ず勝利する、と。

 せっかくの日曜日に親に無理やり連れていかれ、嫌で嫌で仕方なかった教会の、磔にされたあのお方が、わたしの足を前に歩ませる。


 ──大丈夫。


 児玉くんがいる。

 柊さんもいる。

 でも、大丈夫です。

 わたしはきっとやりとげます──。


 トモちゃんが柊さんを必死に引っ張っていく。

 わたしは柊さんと目が合った。

 すると柊さんは、なぜなのか、拳を握って、頑張れよ、とわたしに合図してきた。

 なぜ?

 わたしは柊さんにひどいことばかりしてきた。だから柊さんがわたしを応援するなんてありえないのだ。

 ……そうだ。

 これは神の思し召しなんだ──。

 わたしは神様に、頑張ります、と小さく頷いた。


 柊さんとトモちゃんは遠くへ去ってしまった。足音から、物陰に隠れたりしていないのは明らかだった。

「児玉くん」

 わたしは口を開いた。

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