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めんどくさい女の子たち  作者: あかなめ
第二章 稲垣良美と児玉くん
19/334

19 むちゃくちゃ

登場人物

・柊響(ひびきちゃん)中一女子

・久保田友恵(トモちゃん)柊響の同級生で友だち

・児玉くん 柊響の同級生で柊響に告白してきた

・稲垣良美(ガッちゃん)柊響の同級生で柊響をライバル視している

挿絵(By みてみん)



「おれ、やっぱ柊さんが好きだよ」

「でも、あたしは猫なんだよ!」

「おれさ、そういう、柊さんのぶっ壊れてるとこが、もうたまんないんだ」

「ぜったいダメッ!」

 まるで剣で突くように、ひびきちゃんが児玉くんの眉間に人差し指をピンと伸ばす。

「児玉くんは人間なんだから、同じ人間のガッちゃんみたいな人と一緒にならないといけないの」

 え? ひびきちゃん、なんでガッちゃんが児玉くんを好きだって知ってるの?


「ねえ、なんでとつぜん稲垣さんの名前が出てくるんだい?」

 児玉くんは不思議そうな顔をしてひびきちゃんに尋ねた。

「もうっ!」

 ひびきちゃんはそう言い捨てると、ダダダッ、と廊下に走り出た。

 理科室に取り残された児玉くんが、おなじく取り残されたわたしの顔を覗き込む。

「なんで?」

「そういうことなの」

「おれ、ぜんぜん気づかなかった」

 ああもう、いったい何が起こるというの?


 廊下でひびきちゃんが叫ぶ。

「ガッちゃーん! いるのはわかってるんだよー! コソコソしないで出てきなさいよー!」

 えええっ? ガッちゃん、いるの?

 だとすると──ひびきちゃん、もうむちゃくちゃだよ……。


「柊さん、ほんと、むちゃくちゃだな」と児玉くんが呟いた。

 わたしもはげしく同感。

 一転して廊下は静まり返る。

 児玉くんは目を閉じて腕組みをし、なにか考えている。


 昼休み、たぶん児玉くんとの話をガッちゃんに聞かれたのだろう。

 あるいは友だちづてに。

 そしてガッちゃんは来てしまった。

 いくら強気のガッちゃんでも、怖くてたまらないだろう。

 そしてこの仕打ち──。


 もしわたしがガッちゃんだったら……。


「トモちゃん」

 児玉くんは目を開けると、そう言って立ち上がった。

「おれ、行くよ。トモちゃんはどうする?」

 もしわたしがガッちゃんだったら、……みじめな姿を誰にもみられたくない。ぜったいに。

「あたしは遠慮しとくよ」

「そっか。トモちゃんがいると、おれ、心強いんだけどな」

「一番心細いのはガッちゃんだよ」

「……そうだよな」


「稲垣さん!」

 児玉くんの声が廊下に響く。


 しーん。


 しかし、しばらくして、ゆっくりと足音が近づいてきた。


 わたしはそーっと廊下へ出た。


 堂々と立つ児玉くんの背中。

 覚悟を決めた表情のガッちゃん。

 そして、ボケーッと突っ立っているひびきちゃん。


 わたしはひびきちゃんの手を取り、急いでその場から退散しようとした。

 しかし──。

 ガッちゃんとすれ違いざま、ひびきちゃんは右手で拳をあげ、頑張れよ、と合図した。

 もうなにやってるの!

 自分でむちゃくちゃにしといて、頑張れよ、はないでしょ……。


 しかしわたしの思いとは裏腹に、ガッちゃんは小さく、しかし力強く、うん、と頷いた。

 まるで長年の親友同士のように──。


 え? この二人、仲悪かったんじゃなかったっけ?

みなさんの通ってる(通ってた)学校の理科室はどのへんにありましたか?

わたしのいた学校の理科室は、ふつうの教室からものすごく離れた、うす気味悪い別棟にありました。そこにはうす気味悪いおっさん(※理科の先生)が一人で住んでいて、よくビーカーで緑色の液体(※お茶)を飲んでいました。


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