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めんどくさい女の子たち  作者: あかなめ
第二章 稲垣良美と児玉くん
16/334

16 告白を断る練習

登場人物

・柊響(ひびきちゃん)中一女子

・久保田友恵(トモちゃん)柊響の同級生で友だち

・児玉くん 柊響の同級生で柊響に告白してきた

挿絵(By みてみん)



「まずは、こんなわたしに告白してくれてありがとう、と感謝を述べること」とわたしは言った。

「はい」とひびきちゃんは真剣に返事をした。

「つぎに、好きな人はいない、と言って、嫉妬心や疑心暗鬼の芽をしっかり消すこと」

「はい」

「あと、男子はプライドでできているから、欠点をあげてはダメ。児玉くんはすばらしい人だ、とひたすら持ち上げること」

「はい」

「さいごに、ごめんなさい、あたしにはまだ恋愛感情というものがわからないの、と言って断ること」


「はい先生」とひびきちゃんは手を挙げた。

「なんだね柊くん」と、わたしはふざけて偉そーな先生口調で言った。

「もし、諦められないよ、ってすがられたら、あたしはどうすればいいですか?」

「いい質問だ。そんなときは、ウソ泣きして、ごめんなさい!って叫んでその場を走り去るんだね」

「先生、あたしにそんなことができる女子力があるとでも思うのですか?」

「柊くん、誰でも最初はできないんだよ。だから練習するんだ。今から」

「えー、練習すんのー? やだよー、ハズカシー」


 わたしたちは土手に降りて練習した。

 わたしが児玉くん役。

 しかし──。


「僕は君を諦められないよ」

「ごめんなさい! ……んぷぷっ、ぷはーっ、ギャハハハー!」

「ちょっとひびきちゃん、まじめにやろうよ」

「だって、だって、ひーっ、死んじゃう!」

 練習はうまくいかなかった。


「もう、トモちゃんが児玉くんだったらよかったのに。あたし即OK出しちゃうよ」

「ひびきちゃん、それ、〈好き〉の意味が違うよ」

 はぁ、とひびきちゃんは大きくため息をついた。

「あーもう、やだやだ」

 そう愚痴ると、ひびきちゃんは地面にごろんと仰向けになった。

 あーあ、そんなことしたら背中が枯れ草だらけになっちゃうよ。

 ほんと自由人。

 わたしはひびきちゃんのそばにしゃがんだ。


「トモちゃん」

「なあに」

「男の人を好きになるとき、どんな感じがするの?」

「ひびきちゃん、ほんとに人を好きになったことないの?」

「父さんのことは好きだよ」

「それも〈好き〉の意味が違う」


 いまわたしに好きな人はいない。

 でも、もし児玉くんがわたしに告白してきたら……。

 そう想像するだけで──

「子宮が疼くの」

「え? それって生理痛みたいな?」

 ひびきちゃんが真顔で尋ねる。

「ちがうちがう! なんかこう、ムラムラ、ってするのよ」

 あー、わたし何言ってるんだろ。

 まるでわたしが発情期のサルみたいじゃないか。

「ふーん」

 それにひびきちゃんも何冷静に聞いてるんだろ。

 ちょっとムカつく。


「たしかに父さんにはムラムラしないなあ」

 もう、まだ言ってるよ。

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