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めんどくさい女の子たち  作者: あかなめ
第六章 久保田友恵と稲垣良美
108/334

107 こげぱん

登場人物

・久保田友恵(トモちゃん)中一女子

・稲垣良美(ガッちゃん)久保田友恵の同級生でクリスチャン

・柊響(ひびきちゃん)久保田友恵の友だちで同級生

・チーちゃん(早川智子)(元気担当、ボーカル、リーダー)

・りさりさ(式波里砂)(クール担当、ベース)

・吉田さん 久保田友恵の同級生でクラス一おっかない女子

挿絵(By みてみん)


 晩ごはんを食べ終わったあとで LINE の返信処理をしていると、早川さんから


 ──来週の今日、柊ん家に行くけど、トモちゃんも来る?


と LINE が来た。今日の昼休みに LINE を交換したのだ。


 ──行きます!


 そうわたしは返信した。すぐに既読マークがついたが、トークはそれっきりだった。

 あっさりしてていいな。みんなこれくらいあっさりしていると返信処理も楽なにな。

 ……そうだ。これからは三年生からも連絡がくるんだ。返信が遅れるとやばい。三年生からのトークだけ通知が来るように設定しとかないと。どうやるんだろう? 調べるのめんどくさい……。


 めんどくさいといえば、もう、グループ LINE で雑談とかホントにやめてほしい。純粋に時間の無駄。無駄無駄無駄。返信を強いられる人の気持にもなってほしい。

 ……なんて思っているにもかかわらず、わたしはガッちゃんに「サムエル記ちょっと読んだよ」と LINE しそうになっていた。あぶないあぶない。ガッちゃんはいま聖書と向き合っているんだ。大切な時間を送っているんだ。あたしの LINE なんてクソ邪魔なだけだ。


 義務的な LINE の返信処理を終えるとわたしはお待ちかねの浴室へ入った。今日は LINE がことさら少なかったのでずいぶん楽ができた。

 わたしは湯船に浸かりながら考えた。

 早川さんたちはひびきちゃんになにをあげるんだろう? ひびきちゃんの欲しいものなんてわたしには全然わからない。ひびきちゃんには物欲がなさすぎるのだ。部屋はほとんど倉庫だし、文具はすべて百均だ。おまけにカバンのマスコットは小学生の頃だれかからもらったという、虚ろな目をした小さな〈こげぱん〉の一個だけ。……いや、服は好きなのかな? でも三年生が服を贈るとは考えづらい。

 しかし式波さんは、ひびきちゃんが何を欲しがるのかはっきりわかっていた。なにが出てくるんだろう?

 楽しみだ。


 これはぜーんぶガッちゃんの手柄だ。呼んだら来てくれるかな? ガッちゃんのお陰でこんなに素敵なことが起きたんだよ、と教えてあげたい。

 一週間後ならわたしの聖書作戦のことも耳に入っているかな? 三年生+ひびきちゃんのメンツならきっと安心だし、カミングアウトの練習にもなるんじゃないのかな?


 それにしても、今日はひときわ風呂が気持ちいい。放課後、けっこう緊張してたんだろうな。それにしてもみんなの無関心ぶりには拍子抜けしたな。明日からは気楽にいこう。


 その夜、わたしは興奮が止まずによく寝付けなかったので、なんとなく LINE を開いた。すると、なんとあのおっかない吉田さんから LINE が来ていてわたしはびっくりした。そしてメッセージは、


 ──大丈夫か?


 それだけだった。

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