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めんどくさい女の子たち  作者: あかなめ
第六章 久保田友恵と稲垣良美
100/334

99 二番

登場人物

・久保田友恵(トモちゃん)中一女子

・柊響(ひびきちゃん)久保田友恵の友だちで同級生

・児玉くん 久保田友恵の同級生で稲垣良美の片想い相手

・早川貴子きこ(キーちゃん)高三女子で早川智子の姉

挿絵(By みてみん)


 お母さんに話したら気が楽になった。悩んでいるときはお母さんのテキトーさがホント救いになる。

 そんなことを感じながら遅めのお風呂に入っていると、玄関の開く音がした。お父さんだ。納豆ご飯が燃料の残業大好きサイボーグ。恋愛なんて無縁そうな感じなのに、ああ見えてお母さんにプロポーズしたのだ。男の人はわからない。


 「男の人」といえば──。


 わたしは二ヶ月前、ひびきちゃんと神通川(じんずうがわ)の土手で児玉くんに〈ごめんなさい〉を言う練習をしたことをフト思い出した。

 もう遠い昔の出来事のような気がする。まだ二ヶ月しか経っていないのが信じられない。


 あのときひびきちゃんは、告白してきたのが児玉くんではなくわたしだったらよかったのに、と言っていた。

 それをわたしは〈好きの意味が違うよ〉と一笑に付した。


 そしてひびきちゃんは、男の人を好きになるとどんな感じがするのか、とまじめに尋ねてもきた。

 それをわたしは〈恋をしたこともないの?〉と一笑に付した。


 しかしあのときひびきちゃんは、()を好きになるとどうなるのか、とは尋ねていなかった。

 ()()()を、と尋ねていたのだ。

 そして、わたしのことを好きだとはっきり言ってもいた。


 芋づる式に記憶がよみがえってくる。

 あのときひびきちゃんはわたしを押し倒した。それは無防備なわたしに男の人からレイプされることの恐ろしさを知らしめるための演技だったが、ほんとうにそれだけを意図した行いだったのだろうか?

 そのあと、男の人が怖い、とひびきちゃんはわたしの胸で泣いた。しかし、ほんとうにそれだけの理由で泣いたのだろうか?


 ぜんぶわかってしまったよ──。


 わたしは怖くなった。

 軽率に〈おやすみのキス〉なんてすべきではなかったのだ。

 わたしたちは、何も知らなかった昨日までの気安い関係ではもういられなくなってしまった。


 だが──。

 では、なぜ三年生のところへ?


 いや、三年生は〈キーちゃん〉に会うための口実だとひびきちゃんは言っていた。

 だから、もっと正確に言うと、〈キーちゃん〉のところへ……。


 わたしが無意識のうちに固く封印していた、もっとも思い出したくない叫び声が頭の中によみがえる。


 ──あたしはキーちゃんが大好きなんだよ!


 あのときわたしは、自分でもまったく自覚のないまま、ひびきちゃんの叫びの理解を全力で拒んでいた。

 しかし、わかってしまえば簡単なことじゃないか──〈キーちゃん〉が一番で、わたしが二番なのだ。


 あのかわいらしい花柄のワンピースだって……。

 わたしがあれだけ心配していたのに、ひびきちゃんは着飾ってのこのこと〈キーちゃん〉の元へ行ったんだ……。


 あんまりだよ!

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