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第1の厄災 〜時の竜〜


 第1の厄災について本ではこう書かれている。


 第1の厄災は生物の時を奪い、今も成長を続けている。その理由を知るものは第5の厄災と言われているが、彼女がこの空間に居ることは少なく、ちゃんとした理由を聞けた者はいない。


 第1の厄災へ直接聞く事を試みた者がいた。しかし、それは叶わなかった。


 生物の時を触媒として今も成長を続けているとされ、今では初めに現れた富士山を遥かに超え、体長8,000mにも及ぶ。


 生物の時を奪うこの力は、時の流れを止める事とは異なる。時を感じる感覚を奪うという表現が最も適切と言える。そもそも何をもって時を定義するかにより、解釈は大きく異なるが、この場合は生物が時という概念そのものから外された存在と定義することとなる。


 第1の厄災が今も成長を続けているとされるのは、触媒と言える生物の時が、科学における絶対時間をベースとしているからである。奪われた側の生物が相対時間で同時に存在し続けるとするならば、この成長は成立しない。しかし時という概念そのものから外された存在と定義されている以上、相対時間が成立しない。そのため絶対時間における生物の時を奪っていることに他ならず、必然的に成長を続けることとなる。


 時を奪われた生物に意識が存在するかは、明確に証明されていない。ただ一つ言えることは、人間・動物・植物・微生物に至るまで全てが静止し、さながら時が止まったかのような世界になってしまったことで、『時の竜』の二つ名が付いた。


 時の竜の封印指定武具については、現在も詳細はわかっていない。容姿はドラゴンで、いくら探しても武具と呼べるようなものは身に付けていないのである。 そうなるとむしろドラゴンという存在そのものが、数多の古書で神格化されていることから、武具と断定することもできる。

 しかしながら最も有力な説としては体内に存在しているというものだ。現在も異常なスピードで成長を続けていることから、身体と一体化しているとされている。

 異常なスピードで成長することが能力なのか、それとも生物から時を奪った事による副作用かは最大の謎となっている。

 もしも奪われた時を取り返そうとした際、この謎は必ず直面する問題になってしまうからである。


 常に時の竜に対し攻撃を続ける勢力がある。第2の厄災の魔王である。後に詳細は記載するが、魔王はあらゆる力・地位を常に求め続けており、その中でも時の竜の力を最優先に狙っている。

 しかし時の竜にまともなダメージを与えられたことは無い。特殊な力によって守られているわけではなく、大きさと溢れ出す魔力から自動的に形成される魔力障壁がダメージを通さないのである。

 それゆえに魔王は標的を一時変更し、時を奪われた

生物を狩ることで、時の竜を弱体化させる作戦へ変更した。


 時の竜は今となってはその大きさゆえに動くことができない。そのため魔王に対し反撃を行うことも無い。大きさゆえにかは不明だが、対話すらまともに行う事ができない状況である。他の厄災と違い情報量が少ない圧倒的な理由はこれが原因である。


 生物の時が奪われて以降、世界は変わり果ててしまった。まず人間の停止に伴い、様々なインフラ施設は暴走を始め、その機能は停止もしくは爆発を起こした。しかし時を奪われた生物は、爆発に巻き込まれても消滅することはなかった。時の竜の魔力が干渉しているからである。


 動物、植物、微生物の停止は人間以上に大きな影響を地球に及ぼした。その中で最も深刻だったのは、新たな植物が育たないことだった。そして今ある草木は時の竜の魔力干渉により光合成を行うことが無く、大気のバランスは緩やかに変化し、長年の時を経て今では時を奪われた生物が住むには適さない環境となった。


 第1の厄災は単騎でこの地球を滅ぼしたと言って過言ではない。しかし、もし彼が現れなかったとしても増え続ける人間による環境破壊や戦争により、形は違えど同様の滅びを迎えていたかもしれない。

 むしろ時を奪うまでしなければ、滅びた後もまた再生し、同様の滅びを繰り返していたかもしれない。そう考えると、彼は全てを自分で背負うことにしただけかもしれない。


 ただ一つ誤算があったとするならば、厄災は全部で7つであり、それは人間が繰り返す破壊と再生を遥かに超えるものになってしまったことであろう。


 そう考えるのであれば、彼が行ったことの意味は破壊と再生を加速されることに他ならない。この事から現在まともに対話ができない理由を、心神喪失と考える者も少なからずいる。


 その証拠になるかはわからないが、まだ彼の大きさが今ほど大きくない時、第3の厄災である破滅の勇者が対話をすることができ、その内容から彼はとても心優しく、正義に溢れた者と語っていた。


 しかしその対話から程なくして、『第3の厄災 破滅の勇者』は『第4の厄災 虐殺の魔女』によって殺害された。


 その事について虐殺の魔女こと時翠友理は未だ詳しいことを語っていない。そしてこの二つ名が轟くこととなる事件は、破滅の勇者殺害後に起こった。詳細は後に記載することとする。




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