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魔王四天王襲撃 第6の厄災攻防戦⑥


 魔王は友理の殺気をもろともせず、ヨハネの応急処置を行いながら返答をした。それに対して友理は声を荒げ即答した。


「私がそんなことを許すと思うのか!?」


 友理の怒りはさらに高まり、周囲の魔力が殺気に侵食され不安定な系統変化を起こし始めていた。


「第4の嬢ちゃん、我は大切な部下を助けに来ただけで、今戦う気はない。悪いがまた今度にしてくれ」


 その言葉に友理の怒りはさらに跳ね上がり、殺気による魔力の不安定な系統変化は一気に範囲を広げ、チョケ本たちの元、さらには第6の厄災の元までも軽く覆う程までに広がった。




 チョケ本とチョケ田はその魔力を感じ取った瞬間、死の恐怖を覚えた。


「チョケ本ちゃん、だ、だいじょうぶか……」


「こ、こわい……。こ、こわい……」


 チョケ田はかろうじてチョケ本に気を使う余力はあったが、チョケ本は恐怖により心が壊れかけており、「こわい」をひたすら言い続けていた。



 そして第6の厄災のいる戦場では、攻撃が一斉に止む事態となっていた。そして魔物たちの多くはその場で立ったまま絶命。命あるものも軒並み膝から崩れ落ち、恐怖により戦闘ができる状態では無くなっていた。


 ガランは魔王同様に影響は一切なかったものの、部下が実質全滅した状態になったことにぼやいていた。


「おいおい、マジかよ。これは予想外だぜ。さっきの地震、多分魔王様が空間割ってこっち来たんだろうよ。


 そしてこの魔力、たぶん時翠さんのだよなぁ。これ下手したらまた世界地図が書き変わるかもなぁ。


 しっかしヨハネの野郎、しくじったってことだよな。ったく、うちの参謀さんはどうしてこうも展開を最悪の方に持っていくのが得意なんだか。


 これじゃあ、俺の作戦も失敗確定じゃねぇか……」


 第6の厄災はこの状況を誰よりも重く受け止めていた。遠くではあったがガランのぼやきを聞き取れており、この状況が魔王軍側にとって予期せぬ状況であると判断できたためである。


 これから起こることは誰も想像していなかった第2と第4の厄災同士の直接衝突。しかし力の差は歴然ゆえに、第6の厄災は友理が暴走しないことを切に願うと同時に、自分がある程度友理の近くにいることにより、本気を出せない状況を作ってしまっていることを悔いていた。




 友理は我を忘れていた。怒りのあまり周りの魔力に不安定な系統変化を及ぼしていること気付いておらず、今は魔王が戦う意志を見せないことに対し矛先を向けていた。


「貴様そんなに部下のことが大事か?」


「ああ、大事だ。大切な仲間だからな」


「仲間…… かぁ、私はそんな貴様の仲間を何千何万と今まで殺してきた! それに対して何も思わないのか?」


「思わないわけではない、ただそれが嬢ちゃんと今戦う理由にはならんよ」


「貴様、いつからそんな腑抜けた? 魔王ともあろうものが何を言っている?」


「嬢ちゃん、何がとは言わぬが、あの時はすまなかった」


「今更何を言うか! 貴様があの時にしたこと、私は絶対に許さない! 死をもって償わせる。それが今の私に残されたたった一つの願い!」


「すまぬ。その願い、今は叶えさせるわけにはいかぬのだ」


「なんだその返答は? まるで時が来たら命を差し出すみたいな言い方ではないか」


「あぁ、我は嬢ちゃんになら良いと思っておる。だが、今ははっきりとしたことを言えぬが、実力で我を屠ってみせよ。だから今はこのまま手を引いてくれぬか」


「貴様何を言っている? 私をおちょくっているのか? これ以上話しても無駄なようだな」


 友理はそう言うと手に持った杖に魔力を込め言い放った。


「暗黒の杖解放!!」


 魔王は暗黒の杖の解放に少し驚いた。友理が『第4の厄災 虐殺の魔女』であることを世に知らしめた魔法、それを放つ際に使われた杖だったからである。しかし魔王の記憶と違うのは解放の有無だった。当時特定の杖に解放という能力が備わっていることは知られていなかった。むしろ先ほど雷帝の杖で、初めてその存在が明らかになったからである。


 暗黒の杖解放と同時に、空が全て暗闇に覆われた。そして友理の手にあった暗黒の杖は消えていた。


「嬢ちゃん、何をする気だ?」


「私の二つ名は知っているわよね?」


「我が言えた口ではないが、自暴自棄にはなるでないぞ」


「自暴自棄ではないわ。全てを終わらせるの」


 空が暗闇に覆われ、あたりは暗闇に包まれた。しかし友理や魔王、そしてヨハネから光が溢れ出しており、その光によりあたりは微かに照らされている状況となった。


 この暗闇はこの世界全てに広がり、同様の現象を発生させていた。そしてその光は徐々に生物から漏れ出し、暗闇の空へ飲み込まれていた。


「嬢ちゃん、この力は何だ? 第4の厄災はあの日終わったはずではないか。しかしこの状況、明らかにあの時よりも規模がでかい」


「そうね。あの時本当に起こったこと、全てを理解できていた者は私ぐらいだったわね。魔王、何で私が永遠の杖(エターナルケイン)を使わないと思う?」



 先程まで怒りで我を忘れていた友理の姿は無く、今あるのは深海の如く冷徹で、今にも暗闇と同化しそうな虚無がかった姿だった。






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