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魔王四天王襲撃 第6の厄災攻防戦⑤


 ものすごい雷鳴と地響きが、数キロも離れているチョケ本、第6の厄災の元へとどいた。


 それは友理が放った『新生発雷(ノヴァサンダー)』によるものだった。


 ヨハネが作り出した『ブラックボックス(改)』は半壊したが、それは友理の想定を大きく超える強度だった。


 雷帝の杖でのみ放つことのできる広範囲殲滅型の雷最上位魔法を、空間系統魔法上級が耐えたということになる。


 友理の魔力ランクはSSSランク。雷帝の杖はSSランクのため使用者の力不足による魔法威力減少はもちろん無い。


 これはヨハネの作り出した『ブラックボックス(改)』の異常性を語るには十分すぎることを意味していた。




 しばらく続いた雷鳴と地響きがようやく収まった。黒煙が立ち上る中、友理とヨハネは共に地面へ倒れていた。


 ヨハネの右手足は黒く焼けこげており、目に見えて重症だった。


 それとは対照的に友理は目立った外傷こそ無かったが、大量の血を吐いていた。実はヨハネよりも深刻な状態であり、内臓に深刻なダメージを受けていたのである。


 初めに意識を取り戻したのは友理だった。


「何が起こったのかしら……。体が自由に動かない……」


 意識を取り戻したは良いが、血を一気に失ったことで体を自由に動かせずにいた。次第に痛みを感じ始め、自分が深刻なダメージを受けたことを理解した。


「まずは回復しないと……。これは久々にマズい……。こんなとこで死ぬわけにはいかない……」


 友理は後ろへ飛んでいったBランクの杖の元へ、這いずりながら進んでいた。




 雷帝の杖は大槍から元の小さな杖に戻っていた。友理からの魔力供給が絶たれ、さらに杖自体に貯蔵されていた雷の魔力も無くなったためだった。


 通常杖が魔力を貯蔵することは無い。そもそも杖というのは使用者の魔力を放出するために必要なだけだからだ。


 また雷の魔力はこの世界にはほぼ存在しておらず、この世界で言う雷の魔力は無系統の魔力を変換したものを、雷系統の魔力と呼ぶ。


 つまり、雷帝の杖は現在まともに使える状態ではなくなっていた。正確には無系統の魔力を100%で雷系統の魔力へ変換をすれば、雷系統魔法をSSランクの杖として使用は可能である。




 友理はBランクの杖をやっとの思いで手に掴んだ。しかしその間にも何度か吐血し、意識を保つのがやっとの状態だった。


「無系統魔法上級『ヒーリング』」


 『ヒーリング』は傷を治す際に使う上級魔法であり、損傷した内臓に対し発動させた。ものの数秒で損傷箇所は回復したが、失った血を元に戻すわけでは無いため、依然として自由に動く事ができなかった。


 友理は今起きていることをより正確に整理するため、ぶつぶつと独り言を始めた。


「あの『ブラックボックス(改)』、魔王の封印指定武具の力が混ざられていたと見るのが妥当ね。もしそうだとすると、この戦いで私が永遠の杖(エターナルケイン)を使わないことを見越しての準備……。


 ただヨハネがあれだけのダメージを負っていることを考えると、私が雷帝の杖を使うことは想定外だったと見てよさそうね。


 チョケ田ちゃん、本当に良い杖を選んでくれたわ。所有する杖の中で魔王の力に対して有効な数少ない杖であり、きっと自分ではもったいなくて選べなかったから。


 それにしてもヨハネを甘くみてたのは失敗と言わざるを得ないわね。杖なしと魔王の力が混ざった魔法……。魔物化したと見るべきね。


 魔王は数少ない魔物以外の配下には、魔物化を固く禁じていたはずなのにどうして……。それに第6の襲撃もリスクしかないはずなのに。


 とにかく動けるようになったら、まずはヨハネにトドメを……」


 ヨハネにトドメを刺すと言いかけたその瞬間、巨大な地震が発生した。その直後、ヨハネの隣に空間の亀裂が発生し、とてつもない雄叫びとともに亀裂は大穴へと変化した。


 大穴から一人の大男がものすごい勢いで飛び出し、ヨハネの元へ歩み寄った。羽織っていたマントを丁寧にヨハネへかけ、ドスのきいた声ではあるが優しく語りかけた。


「ヨハネ、よく頑張った! そしてすまぬ。相手の力を見誤り、お前に深い傷を負わせてしまった。我は王として失格だ。許してほしい」


 その言葉を聞き、ヨハネはかすかに意識を取り戻し返答した。


「なんともったいないお言葉を。全ては私の力が足りぬことが原因です。そのようなことは仰らないでください」


 そう返答すると、すぐにまた意識を失ってしまった。


 友理はそのやり取りなどそっちのけで、無理に体を起こし臨戦態勢をとっていた。『ヒーリング』で使った杖は上級魔法に耐えきれず折れてしまい、雷帝の杖も手元に無い状態。手元に残る杖はチョケ田が選んだもう一本の杖と異空間に収納してある永遠の杖(エターナルケイン)の2本。しかし、この戦いで友理は永遠の杖(エターナルケイン)を使うことを避けているため、実質チョケ田の選んだ杖1本のみ。


 友理は瞬時に怒りに満ち、アドレナリンが際限なく分泌される感覚を覚えた。


「魔王、貴様今回の件はどういうつもりだ」


 友理の怒りは凝縮され、殺気へ変化していた。


「我は今忙しい。ヨハネを看病せねばならんからな。すまんが後にしてくれないか?」



 大穴から出てきた大男はなんと魔王であり、宿敵を目の前にした友理は正気を失いかけるほど激昂していた。




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