第8話
その言葉は、稽古場中に響き渡る。
こそこそと、また魔法の王子が変なことを言っている、などと言っている者もいたが、ある程度の者は、一理ある、と理解を示してくれた。
今はそれで十分だ。
それより、アンダリュサイトの反応は・・・?
「う、うぅ・・・俺、俺、感動しました!王子がそのような立派なことを考えていらっしゃったとは!王子の深慮を理解できなかった自身が恥ずかしいですぞ!」
おーいおいおい、と泣きながら叫ぶアンダリュサイト。
この調子なら、うまくいくかな?
「リンネハルト王子?」
あっ・・・リーフォンの対応をしなきゃ・・・いつになく冷たい声だ、怒っているのだろうか?
「リ、リーフォン!私は王族として。」
「それは構いません。」
ピシャリと言い放つ。
うん?では何が駄目だったんだ・・・明らかに怒っているよな・・・
「王子、私は幼少の頃の黒い小鳥に関して、自身で世話をしきれないのだから、中途半端にかかわるのはおやめください、そう言いましたよね?」
あ、あー・・・そう言われてたのか。日記では黒いからダメ、的なことが書かれていたが、それはリーフォンではなくメイド達が言っていたんだろうな・・・5歳だし書き方を間違っても仕方ない。
それより、今はどうやって切り抜けるか・・・
あっ、そうだ。
「あぁ。そうだったな。無事怪我が治癒し、自由に飛び回れるまでになったのだから、問題ないだろう?言われた通り世話を仕切ったし中途半端に関わったわけではないぞ?」
ふぅ・・・とリーフォンはため息を吐く。
「王子、そう思うのであれば私の目を見て話してくださいませ。自分でも間違ったことを言っていると思っているからそのような反応なのでしょう?今更叱りはしませんが、烏族の子供を拾う、と言うのは小鳥を拾うのとは話が異なります。人の人生を左右するのです。その認識がおありですか!」
リーフォンがいつになく真剣な目で叫ぶ。
キッとリーフォンの目を見つめる。
「あぁ!中途半端な考えで拾おうとしているわけではない!私は私なりにきちんと責任を持って、きちんと世話をする!」
フッとリーフォンの目が柔らかくなる。
「ふふ、そうですか。血は争えませんな。」
うん?どういうことだ?
「それは、どういう?」
「こういうことですぞ。」
そう言ってリーフォンは執事服を脱ぎ去る。
そして、背中から黒い翼が生えて来る。
「翼人族、漆黒のリーフォン。それが私です。30年前、王子のお母さまに拾われたのですよ。」
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