第6話
その言葉に、私が答える前にリーフォンがズイと前に出る。
「アンダリュサイト!リンネハルト王子は心変わりなさったのです!剣を学びたいとか!」
その言葉に、アンダリュサイトはその黄色い瞳を見開く。
「なんと!そう言うことでしたか!では、まず今の実力を知りたいので、軽く打ち込んできてくださいますかな?」
そう言い、アンダリュサイトは模擬刀を持ってくる。
「はい!よろしくお願いします!」
さて、受け取ったはいい物の、どうしようか。
うーん・・・弱かったらダンジョンに行くのが遠のくだろうし、研究の成果を使わせてもらおうかな。本物は書物を運ぶのに使っていたようだけど、ね。
なるべく早くダンジョンに潜って可能な限りレベリングを、そして自分で使えるお金を、そうだな・・・彼らを保護した後生活させる程度は稼ぎたいし。
そう考え、私は模擬刀を立てて顔の右手側に寄せ、左足を前に出して構える。体力があまりないこの身体では、中段や上段より疲れにくく、また、格上に挑む以上下段よりも機敏に動けるこの八双の構えが最善だろう。
別につばぜり合いをするわけではなく、こちらから切りかかるだけだしね。
剣を一切知らないはずの私が、構えをとったことに驚いているのか、アンダリュサイトは片眉をあげる。
やっぱ違和感を感じるか。
だが、そんなことを気にしてる時間的余裕はないし、仕方ない。
最悪、彼には話して手伝ってもらうって言うのもありだしね。
王族の剣である近衛騎士団団長である彼なら、国の危機であれば手伝ってくれるかもしれないし。
だが、それもこれも実力を見せなければ話にならない。
スゥッと息を吸い、体内の魔力を活性化させる。そして、それを巡らし、体を強化する。
まずは足、次に腕を強化し、次に腹部に魔力を循環させる。
日常的に使っていたからか、体が覚えている。
刻まれた記憶にもあったから、問題なく使用できた。
次に、背中に魔力防壁を展開する。ここからは俺の知識だ。
「行きます!」
そう言ってすり足で近づく際に、風魔法を使い、アンダリュサイトの想定以上の速度で移動する。
そして、目の前でピタリととまり、左肩口から右わき腹へと斜めに振り下ろす袈裟懸けを繰り出す!
「ぬぅ!?」
アンダリュサイトは驚愕の声を上げつつ、その剛腕からは想像できない程の速さで手に持っていた模造刀で俺の袈裟懸けを受け止めた。
ジン、と腕が痺れるが、回復魔法を発動し、模造刀の峰にも魔力防壁を展開し、表面積を広げ、そこに風魔法を放つ!
「ぬ!?」
一度受け止めた攻撃が再び勢いを持つ、という通常あり得ない現象に驚きの声を上げるが、それでも力が足りなかったのか、弾かれ、吹き飛ぶ。
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