第5話
それから私はどうにか慌てて医者を連れてきたリーフォンを、目覚めた直後だから混乱していた、と誤魔化すことに成功した。
「それにしても、騎士団長に会いたいとはどんな風の吹き回しですかな!魔法が出来れば剣なんて使わなくてもいいと言っていたではありませんか!リンネハルト王子の魔法の腕はすでに国内で十指に入る実力ですぞ!?」
「ふふ、久しぶりに図書館に行ったら、絵本の勇者様が魔法と剣を使って戦っていてね。いずれダンジョンに行きたいと思っている私は、剣を使えた方がいいだろう?魔法はMPを消耗しきったら使えないからね。それに、ある程度の基礎体力は合って困ることは無いしね。」
まぁ、実際は元々剣道部だったからなんだけど、それは言えないよね。
「そうでしたか!確かに、確かにダンジョンにおいて体力があることに越したことはありませんからな!ですが、ダンジョンに行こうと企んでいたなど、初耳ですぞ!?」
「あれ?そうだったかな?第二王子である私はあくまでスペアだからね。国に貢献するには、何かいいものを取ってきた方がいいと思っていたのだけれど。」
まぁ、これは半ば事実だ。力を得て王位を狙ってる、なんて思われたくないしね。
「おぉ!なるほど!うちの国の王子方は皆、他の国の王子達とは異なり兄弟仲がよろしいですからな!それはそれは・・・国王閣下もお喜びになるでしょう!何かに憑りつかれたように魔法一辺倒であったリンネハルト王子のことを心配しておいででしたからな!」
あぁ、本物は魔法の研究で国の滅亡を回避しようとしていたんだったな。だからか。この体は前の身体より5歳近く幼いことを差し引いても、貧弱だからな。
そんなことを考えていると、騎士団の稽古場にたどり着く。
「えぇい!遅刻など、ありえん!そのような精神で王族の剣としての役割が務まると思うな!」
茶髪の筋骨隆々の男が、緑髪の青年を怒鳴りつけている。
「は、はい!もうしわけありません!」
「エメラ!お前は素振り300回!他の者達は近い実力の者と模擬戦をせよ!」
そう言うとその茶発の男は、くるりとこちらを向き、胸に手を当て、体を軽く折り曲げ、私に話しかけて来る。
「リンネハルト王子、このような汗臭いところに、何か御用ですかな?以前におっしゃられていた研究に必要な材料をとってきてくれ、と言う話も、国王閣下から、割り振られた予算だけで購入させよ、手伝いは禁ずる、との命が下っておりますので、お受けできませぬが・・・」
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