1/57
意味深な夢
薄れゆく意識の中で誰かが泣いている。
顔ははっきりと見えないが男性であると思われた。
違和感のある胸を押さえると手にはべったりと赤い液体が付着し、次第に重くなる瞼が自分は死ぬのだと教えてくれた。
何度も何度も自分の名前を呼び、頬を撫でるその男性の顔が見えないことが悔やまれる。
願わくば、生まれ変わることが出来たのなら、また貴方の側にいたい。
想いが通じずとも、貴方の側で貴方の幸せを願う私でありたい。
そう強く願った。
自分の手を強く握り締め、絡んだ指に力を込める。
自分に重なるように倒れ込む男性の鼓動も、自分と同じように小さくなっていく。
どうか、次の世でも貴方に愛されますように。