『ぼくたちのあそびば』
バンバン!
バーン、バーン。
ババババン…
「うわぁ、撃たれたー。」
「ははは、やった!倒したぞ。」
「あ、敵の偵察ドローンだ!みんな撃ち落とせ!」
「了解!」
ババババ…
バンバン
ババババ…
ここは、内戦が10年近く続く国。
幼い子供達は、時間を見つけては遊んでいた。
戦争ごっこという遊びを…
「よし、撃ち方止め。」
瓦礫だらけの町で、身を隠しながら遊ぶのも慣れっこだ。
「ねぇ、アーキル兄貴、僕たちいつになったら兵隊になれるの?」
「俺が、後2年で13歳になって入隊できるから、お前らは、後5年だな。」
「えー、長いよ。」
「そうだ、そうだ。」
「おいおい、俺だって長いよ。早く入隊したいよ。なぁ、ムサーイド。」
「そうだな。その為に自分たちで訓練しているのだからな。早く入隊して、この内戦を終わらせて平和にしないと。」
「ムサーイド… そうだな。バーキル。サーディク。お前らが入隊する前に戦争終わらせてやるよ。」
「えー、ずるい!」
「そうだ!アーキル兄貴ズルい!」
「あはは、俺は、この町の英雄になってやるからな、見てろよ。お前ら。」
「うん。見てる。」
サーディクが、この先の立ち入り禁止区域が普段と違うことに気がついた。
「ねぇ、アキール兄貴、ムサーイド兄貴。」
「どうした、サーディク。」
「いつもいる、兵隊がいないよ。あの意地悪い兵隊達が…」
「本当だ。」
「いつも、銃を向けて笑っているアイツがいないね。」
「少し、近づいてみよう。」アーキルが提案した。
「うん。」
三人は、普段入ることのない場所に興味を引かれた。
小隊の真似事が始まった。
声を出さないで、アイコンタクトと独自の手話で会話をした。
建物の破片の鉄の棒を銃変わりに、立ち入り禁止になっている建物の前にムサーイドがたどり着いた。
辺りを見るムサーイド…
誰の気配もない。
手で合図をして、順番に呼び寄せる。
小声でアーキルがムサーイドに言う。
「入れそうか?」
扉は壊れていて、いつもいる見張りが居ない。
「うん。大丈夫。」
ムサーイドは、ゆっくりと慎重に建物の中へと入った。
次にサーディク、次にバーキル。後方を確認しながらアーキルが最後に入った。
1階を見て回るが、これと言って何もない。瓦礫だらけだ。
2階、アイツら見張りの休憩室か何かなのか、散乱しているが人が休んだ後があった。
「金目の物はないね。」
「そうだな。」
3階、アイツらの娯楽室だろうか、ソファーに、空いた酒瓶、食べ終わった缶詰などがあった。
「ここもダメだ。」
「まだ、上がある。」
ゆっくりと慎重上がる。
階段すぐの部屋…寝室のようだ。
隣…ここも寝室だ。
奥の部屋は…
「ねぇ、アキールすごいよ。」
バーキルが大声をあげる。
「バカ、静かにしろよ」ムサーイドが叱る。
「ゴメン。でも、ここ見て。」
「す、すごい。」アーキルもムサーイドも、サーディクもビックリした。
日々、空腹の4人は、食料庫を見つけたのだ。
食料庫と言っても粗末で普通に見れば少量の数だった。
だが、少年達とその家族が有に1週間は食べれる料だった。
「ねぇ、持って帰ろう。」
「そうだよ。アイツらの居ないうちに…」
「そ、そうだな。」
アーキル達は手分けして持てるだけ持ち出した。
「アーキル、何してる先に行くぞ。」
ムサーイドは、サーディクと階段を降りて行った。
「あ、あぁ。すぐに行くよ。」
自分上着を脱ぎ風呂敷のように缶詰や、ペットボトルなどを入れていた。
「あれ?バーキル?」
バーキルの様子が変だった。
「おい!バーキル」
バーキルは口から泡をふき喉をかきむしっていた。
「おい、おい!バーキル」
近くに蓋の開いたペットボトルから水が流れていた。
「!」
毒が入っていたのである。
「バーキル、バー…」
バーキルは、暴れた後で、動かなくなってしまった。
「バ、バーキル…」
アーキルが悲しんでいると、外から声がした。
「アーキル、逃げろ!」
「!」ムサーイド。サーディク。
「ダメだ、それは、毒…」
4階の窓から下を見下ろすと、町の者がムサーイドとサーディクを襲い、食料を奪い捕っている最中だった。
棒で殴られ、蹴られ、引きずられていた。
そのうちの数名が、アキールの元へ上がって来ようとしていた。
「ちくしょう。毒入りの食料を奪い合って殺されてたまるか!」
アキールは、食料を捨ててバーキルを担ぎ屋上へと向かった。
屋上の扉は生きていた。
外から、回りにある物で、扉にバリケードを作った。
しかし、町の者は、下の食料に夢中だったのだろう。
しばらくは上がってくる様子は無かった。
でも、毒入りとわかってしまったら…
生きている奴らは、きっと上がって来る。
「何か、何か、武器になる者はないか…」
キーン!
空から爆音が響いた!
「うぁ。痛い。」
耳をふさぐアーキル。建物が轟音でビビる。
上を見上げると、戦闘機がアーキル達の町に爆撃をする直前の光景だった。
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日のTwitterトレンド『ぼくたちのあそびば』です。
ほんと、自分が平和だと思う。
それでは、またお会いいたしましょう。m(._.)m