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喉詰まって死んだら異世界にで別人に成っていました。

1,

 無償で何でも言うことを聞く奴隷。

 死んでいるから何も食わなくても死ななず。不眠不休で動き続ける。

 そんなソンビが居たら楽な暮らしができる。

 俺はその時は思っていた。


 

 街はゾンビで溢れている。

 誰もが緑色の顔をして呻き声を上げうろうろと目的もなく動いていた。

「ゔぼぉぁぁぁぁぁゔぼぉぁぁぁぁぁ~」

 

 こんな筈じゃなかったんだ。

 どうしてこうなってしまったんだ。



2,

 俺は普通の学校生活を何の疑問も疑わずに過ごしていた。

 不幸と言うのは突然、襲ってくるもので餅を食っている時だ。

 喉に詰まり、運悪く生涯を終えることに成った。


 なんとも滑稽な話だ。

 そこまでなら話には成らない、ここから物語の始まりだ。


 俺が再び目を覚ました時、別の誰かになっていた。

 これが異世界転生と言う奴かと納得し知識を生かして世界を救うみたいな夢を見た。

 そんな甘い考えは直ぐに消える。

 

 俺には、特に優れた知識はない。

 現代文明をしているだけに、何にもないこの世界が辛くてしか無かったのだ。

 まず水だ。

 水を手に入れるには遠くの水屋に行って購入する必要がある。

 バケツ一杯の水を家まで毎日運ぶ必要があった。

 一杯では当然足りない、瓶に何杯も溜め込む必要があり何度も往復する必要があるのだ。

 蛇口をひねれば出てくるのがどんなに楽だったか。

 

 これは子供の仕事らしく、毎日させられた。

「なんでこんな目に、ファンタジーの世界って魔法で何でも出来るんじゃないのか……」

 俺は平民として転生した。

 魔法が使えるのは貴族と言った身分の高い者だけだ。

 学ぶには莫大な金が必要で俺には縁がない。


 何かチャンスを掴みたいが、ここで役に立つ知識など微塵もなかった。

 銃と言う武器、火薬を爆発させた力で弾を飛ばしていると言うことは知っている。

 その火薬の作り方が解らない。

 糞から結晶を取り出して、硫黄やらなんやらを混ぜるらしいと言う漫画の知識がある。

 硫黄が欲しいと言ってもこの世界の人には通じない。

 

 高度な知識は貴族の物と言う考えが蔓延し生活するのに必要な、農業の知識しか役に立たないのだ。

「うわぁ……」

 広場に掲示板があり、こう書かれている。

『王族は神の化身である。

貴族は神によって選ばれた使いであり、神の代行者である。

民は神の代行者に従う事……』

 この世界では王様が全ての権力を握っている。

 貴族の命令には逆らえない決まりだ。

 

 俺の家の前に派手な服を着た貴族と数人の鎧を着た兵士が立っている。

「この家は道を作る為に取り壊しと決まった。

数日以内に別の場所に住むように」

 兵士は看板を立て初めた。

 一週間後に壊す予定らしいと言うことが書かれている。

 父母は貴族に頭を下げている光景が目に入る。

 住む場所すらも貴族の言いなりである。

 これが今の身分だ。

 貴族達が去った後、俺は家に入り水を瓶の中に放り込んだ。

「オルタン、直ぐに家を出る準備をしなさい」

 オルタンと言うのは俺の名前だ。

「はい、何処に行くんですか?」

「直ぐ近くの空き家に住むことになっている」

 俺の感覚では直ぐ近くというのは徒歩10分ぐらいの所だ。

 だが、そんな近くではなく遠い。

 結構歩いた先、街の壁際の家だ。

 この壁際は魔物が乗り越えて襲ってくる危険な場所で住みたい人間が少ない危険地帯だ。

 魔物が乗り越えてくるのは一年に一度あるかないかぐらいだが皆、恐れて進んで住もうとはしない。

 強制的に住む場所を変えられた者が住む場所である。

 街の外で住むよりはマシと言う程度だ。

 

 魔物は兵士が数人で取り囲んで撃退する。

 一般民では恐怖に身がすくんで命を落とす確率のほうが高い。

 農民である父母には武具を持つことすら許されていない。

 土地は全て領主のものであり収穫で得たものは領主のものである。

 労働して頑張った分の評価により分配するというのがこの世界のやり方だ。

 貴族に逆らえばこの分配が停止させられる。

 なので誰も貴族に逆らえない。

 どんなに魔物が怖くても身を守るための武器を持ち歩くことが出来ないのだ。

 余りに理不尽な世の中である。




 

 引っ越しの影響で水を運ぶ距離が大幅に増えた。

 倍近い距離だ。

(勘弁してくれよ)

 バケツは木製で重量もある上に水が少しずつ垂れていくと言う欠陥がある。

 壺は落とすと割れてしまうし持ちにくい。

 上水道を作ったりはしないのかな。

「水を引くことは出来ないの?」

「はっはは、そんな事をしたら水の量が足りなくなってしまうだろう」

 慢性的ではないが水不足に成り川の水量が減ることが有る。

 そうなると田畑に送る水が無くなり困る。

 桶で水を汲むのは水が不足する事を防ぐために不必要に水を取れないようにするための処置でも有ったのだ。

 大量に運ぶことが出来ず無駄遣いできない。

 だから貴重だと感じることが出来るのだろう。

 蛇口を捻れば水が出るのは幸せなことだったんだ。

 何時ものようにバケツを持ち水くみに向かう。

 途中、以前に住んでいた家の前に通りかかった。

 女が家の前に立ち兵士たちに文句を言っている。

「この家には家族との思い出が有るんです。

だから壊さないで」

「皆は立ち退いている。

残るは貴方だけです」

「ですから、私の思い出が……」

 兵士達は女を取り押さえる。

「いやいや……離して!」

 この状況は女を助けてヒーローに成れる場面じゃないのか。

 だが持っているのはバケツだけだ。

 どうする?


 俺は助けようと一歩前に踏み出した。

 兵士は剣を抜く。

「反逆者には死を!」

 目の前で人が死ぬと言う光景を初めてみた。

 俺は立ちすくんで動けない。

 何も出来なかった。

 この世界では権力の有るものが絶対的な命すら握っているのだ。

 平等や平和なんてものは存在しない。

 奪うものと奪われるものが居るだけだ。


 死んだ女は荷車に乗せられ何処かへ運ばれていく。

 初めから逆らった人間を殺すつもりだったのだろう。

(これがファンタジーの世界なのか。

魔法を使ってチートみたいな力を振るう、そんなロマンはここにはない)

 何もかも忘れ関わらないように其の場を通り過ぎる。

 もし勇気を出して彼女を守ろうとしていたら死んでいたのは自分だったかも知れない。


 もともと、あの女が逆らったのが原因なんだ。

 だから命を落としたのは……。

(ああっああぁぁぁ……、もう解らない。

人が人の命を奪って良いはずかないだろう。

ありえないことなんだ)

「兵士は民を守るんじゃないのか!」

 俺は無意識に声に出していた。

 その声に近くに居た青年風の兵士が答える。

「其の通りだ。

民を守るために兵士が居る」

「じゃあどうして?

あの女は殺されたんだ」

「それはな。

貴族に逆らったから民では無くなったのだよ。

民ではない者は何か?

それは魔物なのだ」

「魔物? どう見たって人間だ」

「それは違う、見た目は関係ない。

魔物ってやつは心に宿るものだ。

だから、あれは魔物に取り憑かれた女だ」

「……どうして心に魔物が取り付いているか解るんだ?」

「誰にもわからないけど、神の意思に逆らった。

それが出来るのは魔物だけだ」

 貴族の言葉は神の言葉に等しいものらしい。


 そんな状況が変わる出会いが訪れる。

 何時ものようにバケツに水を汲み道を歩いていると、金髪の人形みたいな愛くるしい少女が手招きしている。

「俺?」

「そうこっちに来てくれるかしら?」

 可愛らしい少女に出会えたことに感謝し俺は何の疑いもなく近づく。

「何のよう?」

「君死んでくれる?」

 耳を疑うような言葉に俺はなにかの聞き間違いだと思った。

 少女は銀のナイフを手に握り振り上げる。

 殺意ある目、間違いなく殺されると思った俺はバケツで身を守る。

 バケツは少女のナイフを受け止めるぐらいの強度があった。

「逆らえば貴方の両親も死ぬことに成るわ。

其れでも良いの?」

「巫山戯るな!」

「それは私の台詞、この街は全て私の物、そこに住む貴方も私の物よ」

 彼女は貴族の娘らしい。

 従っても死、逆らっても死、こんな理不尽なことが有って良いものか。

 嫌だ。

 生きたい、こんな意味不明な死に方はしない。


「それでも俺は嫌だ」

 このままだと刺されると思った俺は必死に彼女の手を掴み奪おうとする。

「この! 汚い手を離しなさい」

「嫌だ、殺すのを止めるって誓え」

「反抗すれば反逆罪よ! 結局家族もろとも死ぬことに成るわ」

 彼女の言う言葉が俺には全く理解できない。

 兎に角、ナイフを奪って投げ捨てたい。

 もみ合う内に彼女を押し倒す。

 気がつけば彼女に覆いかぶさる様に倒れていた。

 彼女の目には涙が溜まっている。

「いやあぁぁぁぁぁ」

 いや、そんなつもりはなかったんだ……。

 俺は飛び退き、そのまま其の場から逃げ出した。





3,

 俺は牢屋の中に居る。

 手足は鎖で繋がった枷が付けられている。

 冷たく重い、この牢の床は水びたしで冷たい。

 地下にあるようで水が壁から漏れて居るようだ。

 立っていないとボロボロのズボンが濡れてしまう。

 手についた枷が重い。


 こんなことになるなら、あの少女をボコボコに殴って置けば良かった。

 なんてことは思わないが、何もせずに逃げたのは後悔しかない。

 街で起きたことは全て筒抜けなのだ。

 住人は貴族の味方で反発すれば死が待っている。

 しっかり口封じして証拠を隠す必要が有ったのだ。


 足音はよく響く、誰が近づいてくるのが解る。

 良くある拷問なんかじゃないのか?

 俺はあの時少女に殺されていた方が幸せだった。

 いやいや、そんなことはない。


 幾ら天使の顔をした少女であっても、俺を殺して良い訳がない。

 痛いのは嫌だし。


「ふふーん、どう思い知ったかしら?」

 少女はやけに綺麗な白いドレスを着て笑みを浮かべている。

 見た目は可愛い女の子だ。

 綺麗な髪に透き通った愛くるしい瞳。

 どんなに見た目が好みでも殺意を向けてくる相手に惚れると言うことはない。

 冷たくてか、それとも恐怖なのか足が震えている。

「俺を殺すのか?」

「私に歯向かった事を後悔するようにゆっくりと惨めに死ぬことになるわ。

でも一つだけ助かる方法があるわ」

 この状況で助かるとかやばい話に決まっている。

 それが悪魔の囁きであっても、どうあがいても死ぬのなら聞いた方が良いだろう。

 反抗したらこんなひどい目にあったのだ。

 彼女の言う、後悔するほどの事は想像もつかないが恐ろしいことだけは想像できる。

 それを耐える自信は俺にはない。

「教えて下さい」

「違うわ、床にひれ伏すのよ」

 こんな冷たい床にひれ伏せと言うのか……。

 それでも抵抗した後のことを考えると寒気がする。

 俺は恥も何もなくひれ伏す。


 少女の笑い声が聞こえる。

「そんな奥じゃなく、もっと手前でやりなさい」

「あっ、はい……」

 近づ付いてみると手を伸ばせば彼女を掴めそうな距離だ。

 掴んだ後、どうする……。

 何も思いつかず、リクエスト通りにひれ伏す。

 冷たい床に頭付けズボンやおでこが濡れる感触に涙が溢れる。

 後頭部に重みを感じる。

 彼女がやりたかったことが理解できた。


 足で頭を踏んでいるのだ。

 主従関係を明確にする儀式のようなものだ。

 悔しいが今の俺には何も出来ない。


「貴方に魔法の素質があれば、生かしてあげるわ。

もっとも平民で魔法が使えた例は1万人が試して2人だけよ」

 俺には魔法の資質があるかと言われても良く解らない。

 魔法に関する知識が無いからだ。

「待ってください。

魔法の知識を授けください。

資質があれば魔法が使える用になります」

「面白い事を言うのね。

初歩的なことはイメージすることよ。

火とは何なのか形づくれば自然と炎が現れる」

 彼女は足を退ける。

「見なさい」

 俺は顔をあげると、スカートの中が……白いパンツ。

 これは不可抗力と言うものだ。

 見なかったことにして体を起こす。


「踏まれたことに怒っているの?

顔が真っ赤よ」

「ごめんなさい」

 どうして謝ってしまったのか解らないが、悪いことをしてしまった感が強いからだろう。

 少女は両手を前にし目を閉じ何か言葉紡ぐ。

 小声なので聞き取れないと思っていたら、突然彼女の手の平の前に丸い小さな火の玉が現れた。

「うわっ……凄いです」

 彼女は微笑み言う。

「私は神に選ばれたものよ。

これが祝福の力なの。

だから貴方達、平民の命は神の代行である私のものでもあるよ」

 言っていることは訳がわからないが、能力がある者が支配すると言う事なのだろう。

 能力を持たずに生まれたたものは支配者に何をされても仕方がないのだ。

 悔しいがそれがこの世界の絶対的なルールだ。


 何の力がなくても、普通に学校に通えたのは幸せだったんだ。

 でも何で命を奪おうとするんだ?

 平民は確か畑仕事をして、食料を貴族に収めている。

 殺し回れば食料の生産が衰えて収益が減ってしまう。

 貴族にとっても、それは死活問題なはずだ。

「一つ聞いていいですか?

どうして俺を殺そうと思ったんです」

「それは、新しい魔法の研究をする為に新鮮な死体が欲しかったからよ」

 実験動物みたいな扱いなのか。

 やばすぎる、ファンタジー舐めてました。

 イージーな元の世界に戻りたい。

 と言っても餅で死ぬような世界ってどうなの?って気もする。

 はぁ弱い奴は何処に行っても弱いままのなのだろう。

「先ずは動物で試せば良いんじゃないかな……」

「なるほどね、でも其れだと言葉が理解できないでしょう?」

 言葉?

 彼女がやりたい魔法って何だ?

 死体を切り刻むとか、燃やすみたいなものじゃない。

 もしかして生き返らせて、あの世の体験でも聞きたいのだろうか?

「そうだね……」

「でも、もう良いの。

見せてあげるわ」

 少女は手を叩き合図を送る。

 裸足らしく水音が近づいてくる。

 その正体を見て俺は驚いた。

 体が緑色に成った不気味な大人歩いてきたのだ。

「な、なんだ……、化物じゃないか」

「あら、知らないの?

これはゾンビと言って、どんな命令でも忠実にこなすのよ」

「ゾンビ……?」

 ゾンビって動きは遅いけど、人を襲って増殖するホラーに出てくる化物だ。

 命令を効かなくなって襲われるんだろうな。

 気づいたら檻の中に居る俺だけが生き残って、周りが全部ゾンビになってましたって事もありうる。

 嫌だ。


 檻から離れると彼女は笑みを浮かべて言う。

「本当に貴方は臆病ね。

私達が守っているから生活出来るのよ。

感謝して敬って当然、貴方のように反抗的な者は許されないの。

こんな風に喜んで命を差し出すのが当たり前なの、理解しなさい」

「俺はまだ大人じゃない……」

「確かに私と同じぐらいのように見えるわ。

でも、貴方はそれよりも幼く感じるわ」

 俺って転生してるから十分大人に成れるぐらいの時を生きているんだ。

 それなのに少女に幼いって言われるのは凄く悔しいんだが。

 くっ。

 やり直したからと言って成長するのは肉体だけなのだろう。

 心は今も昔も変わっていない気がする。


 少女は権力を見せつけ大笑いし去って行った。

 知識がアドバンテージになるどろこか身を危険に晒しているじゃないか。

 必要とされる知識が余りにもかけ離れている。

 俺の常識は、ここでは非常識なのだ。

 異端者は爪弾きにされるだけだ。

 優れた知識で正しくても間違った方が信じられていたら、その正しい知識は悪である。

 俺の持っている知識が正しいのかは解らない。


 ただ解っている事は魔法が使えないと死ぬという事だ。

 魔法は全く経験のない未知の世界のことだ。

 炎をイメージするだけでいい。

 目を閉じ彼女が見せた炎の球体を何度も思い浮かべる。

 赤く丸くゆらゆらと燃え上がる。

 ただ思い浮かべるだけで魔法が使えたなら苦労はしない。

 何も起きることは無かった。

「うわわぁぁぁぁ」


宜しくお願いします。


ファンタジーと言えば幻想的な世界を思うかべるかも知れないけど、

私はゲームから入ったので残酷な世界だと思っています。

凶暴な魔物が巣食い外に出歩けば襲われる。


そんな過酷な環境で生きているわけです。


水道もないし電気もないのです。

薪を集めて火を起こして飯を作るわけです。

それには水が必要で、それを手に入れるためには……と面倒な事が沢山有るわけです。



力のない者を主人公にしたのはそれが好きだからです。

弱いからまだ成長できるし強く成れるじゃないですか。



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