プロローグ
初めて書いた処女作なので暖かい目で読んでいただけるとありがたいです。
ここどこだ? 見渡す限り、四方八方何もない……
あーもしかして、僕死んじゃったとか?
「わぁ、笑えなーい」
僕、中原 楓(24)今日をもって人生に終止符をうったようです。
「でも、まぁいいか」
何もないこの空間に大の字で横になる。
「いや。よくないよね!! ちょっと君、もうちょいあせろうよ!! ほら、人生やり残したこととかない?」
なんか、僕の隣で騒ぐ奴がいる。 さっきまではいなかった筈なのだが急に現れて、人生やり残したこととかないとか聞いてくる……まぁ、ここの管理者とかなんかかな? でも、まぁ一つ言いたい……
「うるさい」
「なっ!」
「僕、寝るんで……」
そう言って目をもう一度つむり、管理者? の彼女に背を向ける。
「いやいやいやいや、君! 本当に何言ってんの? 寝るとか意味わかんないんだけど!」
「…………」
「いやーー! 起きて、お願いだから。 本当に起きて下さい」
身体を思いっきり揺さぶられる。 てか、最後の本気のトーンだったよね。
それよりも、起きるの面倒だなぁ。
だって、彼女明らかに面倒くさそうだよね……。
関わりたくないなぁ……。
「ねぇ、全部口に出てるからね?」
「あーそうですか」
僕はそれだけ言ってまた、目をつむる。
「えっ起きるんじゃないの? えっ、えっ、えっ」
彼女の戸惑いのような声が聞こえるがこれに応えるより、無視した方が労力を使わないと僕は判断したので無視することにする。
すると、彼女は僕の顔の方に回ってきた。
そして……。
「これだからゆとりは! って言われるのよ!」
僕は片目を軽く開けて彼女を確認すると、目の前でビシッと音がなりそうなぐらい指をピンっと僕の方に向けている彼女が目に入る。
「うわっ」
「うわっ! って何よ! うわって、それよりも早く起きてよ!」
なんか……このまま無視する方が面倒くさくなってきた。
僕はゆっくりした動作で起き上がり彼女の目の前にあぐらをかいて座った。
「でっ?」
「でっ?って何よ」
「僕に何かようですか?」
「何か用ですかって? ここがどこだ? とかまだやり残したことがあるのに? とかなんかないの?」
「うーん」
「あるでしょ? ほら、ほら、ほら」
いや、めっちゃ期待された目で見られてるんだけど…………。
「特にないですね」
考える方が面倒くさい。
「えーーーー。 ここがどこだか気にならないの?」
「あー、気になるのは気になるんですけど、どうせ死後の世界ですとか言うんじゃないですか? なら、別に聞いても聞かなくても同じかなって……むしろ、聞いた後にここはどこそこです〜。 と長々話される方が嫌だ」
「なっなんて子」
そんな驚いた顔しなくても……。しかも、驚き方が古い……
「今時、そんな顔しても古いですよ」
「なっなっなっ仕方ないじゃない! 私は長生きなのよ! あなたとは違うのよ」
「そりゃあ、ちがうでしょ……。 はぁ、僕もう死んでるし……」
「はっ! そうよね。 ごめんなさい……無神経だったわ」
あれっ……。僕どうやって死んだ? ここにくる前に何してたんだ? 思い出せない……けど、まぉ、いいかな。 忘れたんなら思い出したくないってことだし……逆に痛いこととか思い出したくないわぁ。
「いや、気になるでしょ普通は! ほら、お姉さんが教えてあげるからそこに座りなさい」
なぜ、急にお姉さんっぽくなる……。
「座りなさいって、もう座ってます」
「〜〜っ。 知ってるわよ、それくらい! 言ってみただけよ!」
そんな、顔を真っ赤にさせて怒らなくても……。
「顔に言いたいことがかいてあるわよ! ほらっ! さっさと聞きなさい」
「はぁ」
言いたいことは色々あるが、まぁ面倒だしいいや。
「では、ごほん! はじめます」
そう言った彼女はどこから出したかわからない紙芝居をめくり、話しはじめた。
「それにしても絵下手」
「うるさい!」
数分後。
「へえ、僕、引きこもりからの最期は子供を助けて死ぬって……どこぞのドラマか何かって感じ」
「えっそんな感想! もっとこう僕最期は人を助けて死んだんだぁ。 あの子は無事でよかったぁっとかの感想じゃないの!」
目の前の彼女はそう言いながら騒いでいるけど……僕が思うのはそんなこと思うのはのどこぞのヒーローだけだよと思う。 まぁ、それ言って彼女がまた何か言い出すのは面倒だし、黙ってよう。
「まぁ、なんで死んだかわかったし、すっきりした。 一応ありがとう」
まぁ、あんな紙芝居……下手だがまで用意してくれたんなら一応お礼ぐらいは言っておかないと。
「……デレた」
「はっ?」
「ううん、なんでもないの」
なんでもないのとか言いながら、めっちゃグフフフフって笑ってんじゃん。 どこの悪役だよ……。
「それよりも、ここからは本題に入ります」
「本題?」
「そうよ!! ふっふっふっふっふーーー」
「うわー」
めっちゃ面倒くさい匂いがぷんぷんする……。
「そ・れ・は・ね〜」
「あっ、別に間に合ってます。 じゃあ、それじゃあ」
僕は立ち上がり、彼女に背を向けて歩いていく。
なんか、彼女面倒くさい……。
しかし、そんな僕の腕をガシッとそれはもう本当に女かと思うほど……強く掴み
「良い加減にしろやーーーー」
僕は上に投げ飛ばされた。
「まじか〜」
もしかして、僕はここで死ぬ……いや、もう死んでるわ。
ものすごく高くあげられ、今、ものすごい勢いで落下していく。
地面に激突か! と思ったが、彼女の腕に受け止められた。
そう、俗にいう『お姫様抱っこ』だ。
「まじか〜」
人生で初めてお姫様抱っこされました。 いや、死んでからか……。
「私の話し聞いてくれますよね」
断れない雰囲気だ。 笑っているのに目が笑っていない……。
「はい」
彼女はごほんっと一度言ってからさっきの続きをはじめた。
「そ・れ・は・ね〜」
彼女はポーズまで決めてノリノリだ。
さっきと同じようになりたくないのでここで合いの手を入れておく。
「それは」
彼女はふっふっふっふっふっ。 と笑っている。
精神的不安定なのかもしれない。
「君を転生させてあげまーす!」
それはもう、どうだ! といわんばかりに彼女はドヤ顔をしていた。
「はあ、ありがとうございます?」
「えっ! 嬉しくないの?」
彼女は心底不思議そうに聞いてくるが……嬉しい? って聞かれても……まぁ、別にって感じだしね。 それに転生先で面倒なことばっかりだと嫌だし……。
「まぁ、別に」
「なんで、なんで、みんなこう言うと喜んでくれるよ!」
みんなって誰?
「それに、転生特典もあるよ」
転生特典? なんだそれ?
「例えば?」
「魔法の付与とか」
「へえ、他は」
「お金持ちの家に生まれたいとか」
「ふーん」
「あっあとは〜」
「あとは」
「いろいろよ!」
「いろいろ」
「さぁ、これで転生する気になったでしよ」
若干疲れているように見えるのは気のせいかな。
でもまぁ、話し聞いてると転生しても、良い気がしてきたけど……。
「けど何?」
「ここで寝て過ごす方が楽だよね」
僕はあくびをしながら横になりはじめた。
「いやいやいやいや、君一度落ち着こう。 ね! ほら! 転生って聞いて不安かもしれないけど、楽しいよ! 魔法とかもあるよ! エルフもいるし! しかも、しかも、ドラゴンとかもいるよ! ねっねっねっ楽しそうでしょ?」
「…………」
「ほらっ行きたくなったんじゃないかな?」
「…………」
「あっ! お姉さん! 奮発して君にいろいろ付けてあげちゃうぞ〜」
なんか、めっちゃこの人面倒くさい。
僕は幼児か何かか……。
でも、まぁちょっとだけ、ほんのちょっとだけ楽しそうかなって思ってしまった。
「…………わかりました」
「本当!!」
「はい」
「よかった〜」
ぎゅーと抱きしめられる。
「ありがとう。 決めてくれて。 大丈夫だよ。 君が頑張っていたってことは私は知っているし、もちろん、これから行く世界だって君のことを認めてくれる。 だから、カエデ、あなたはまた、生きなさい。そして、私はあなたを祝福します」
「………………ありがとう」
僕の身体が光出す。 そして、身体が徐々に薄れていく。 それと同時に、意識も薄れていく。 もう、彼女の顔も見れない。 だけど、わかる、彼女は優しく微笑んでいることを……。
そして、僕は日本という国ではなく魔法やエルフ、そしてドラゴンもいるファンタジーな異世界に転生した。
中原 楓 新しい人生がこれからはじまります。
一言だけ言わせてほしい、僕を面倒ごとに巻き込むことだけはやめてください。