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プロローグ
よろしくお願いします。
「今からどっか行く〜?」
「ん〜、カラオケとか?」
「いいね〜いこいこっ!」
いいなぁ……。
道草の約束をする同級生を見て、無意識に言葉は飛び出でいた。
「私も、あんな風になりたかったな」
誰かと一緒に道草をして。
彼氏ができないーっ、そんなことで騒いで。
一緒に笑って、恋話とかも……やってみたりして。
私は、そんな風になりたかった。
望月 灯、16歳。
私は、『みんなと違う子』でした。
お父さんはいない。お母さんもいない。
そんな私に、友達はいない。
心の拠り所は、ゲームやラノベだけ。
1人になればなるほど、私はそれらに没頭するようになった。
まだ読みかけのラノベを開き、読みながら歩き出す。
だから私は、
ブーーーッ
「うわぁっ」
迫ってくるトラックに気づかなかった。
消えていく体温。
「私、死んじゃうのか……」
それなら、
生まれ変わったその時は、
「平凡な、人……生……を、……」
こうして、私、望月 灯は死んだ。