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<序章>ある王国の話

これからどうぞよろしくお願いいたします。


むかしむかし、あるところ。とある『大陸』にはたくさんの「くに」がありました。



たくさんの「くに」の多くは『にんげん』の「くに」で、にんげん以外の「くに」は争い、にくしみ合ううちに、いつの間にかなくなっていました。


たくさんの「くに」は毎日のように争いあい、たくさんの人が死んでいきました。


『大陸』はとてもおおきなものでしたが、ヒトが住めるような土地には限りがあったからでした。




しかし、ある時たくさんのくにのどこかで、フシギな力をあやつる技術ができました。


それは人の内に眠る力を使い、さまざまな「げんしょう」をひきおこすことができました。


人々はそれを「力法」と呼び、しだいに力法の強さが、あらそいの勝敗をにぎるようになりました。




そうして長い時がたち、ほとんどの国は滅びてしまいました。


もう争う力もなくなった人間たちは、とある一つの土地に集まり、


人間みんなで手を取り合い、一丸となった王国を作りました。




王国は何事も力法の力で回っていました。


民はみんなで力法具を共有し、支えあって生きていきました。


国の研究者や力法師は力法の研究に明けくれ、力法によって国を守ってきました。


王国は、人間たちの楽園でした。




しかし、そのころの王国は、いろいろなものが停滞し始めていたのです。


長きにわたる平穏。力法具により開拓の最前線から離れ、交流する他国もなくなった王国は、自然とその技術の進化も停滞し始めていました。


その最たるものもまた、力法具でした。


生まれつきの力量が決まっていた中で、力法具が使える人と使えない人の格差は広がっていきました。


ごくつぶし、役立たず。そう言われ、国の隅っこで生きる人が増えていきました。




 彼女の友人、もう幼馴染ともいえるその子もまた、隅っこに追いやられる寸前でした。

その子の家系はちゃんと使える側の人間であったはずなのに、その子だけ、力法具を使うことが出来なかったのです。


 幸い捨て置かれるようなこともなく、周りの手を借りながらも、一緒に育つことが出来ました。


 だけどそれの限界も近いでしょう。何をするにも人の手を借りるようでは、この国では大人にはなれません。

 そうなれば「人間以下」の仲間入り。彼女だけでは、防ぎようもありません。


 もうすぐ来る期限、それまでは何とかその幼馴染に笑顔でいてもらいたいと、めったに来ない特別な花畑へと足を延ばしていたのでした。



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