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自閉症スペクトラム  作者: カモメ
6/6

チロ

そうだ…

コイツが居たん他だ。

コイツこそ、レイカの自閉症に対し、改善への手引きをしてくれる筈だ。


コイツの名前はチロ…

長女が七つの時に同級生から譲って貰った。


既に食べ物はドックフードでも構わない位に成長はしていた。


娘が、『パパさん犬もらって来て良い?』

と聞いて来たので

『構わないけど…

出来れば雄が良いな』


『どうして雄なの?』


『昔から雌犬は、情が移るって言って敬遠するんだ。

だけど…

お前が気に入った奴を連れて来たら良い。』


そうして…我が家に貰われて来たのがチロ、

恐る恐る接する娘たちに、

『犬なんて、こうやって 遊ぶんだ。』

と、ての中でぐるぐると回した。


そんな頃から十年近く顔を見なかった僕をコイツは覚えてた。


子供は必ず犬を飼ったら散歩へ連れて行く。

と、約束する。

が、そんなもの守られた話は聞かない。


必ず友達との遊びを優先する。


チロは散歩に連れて行って貰えなくなって何年経つだろう。

ブラッシングもしてない…

生え変わる体毛が至るところへ絡み付いてる。


それだけ放置されて居るのに番犬としての働きは十分だ。


『明日…

お前が大人しく散歩に付き合ったら

綺麗にブラッシングしてやるからな』

と語りかけ…

チロの頭を撫でてやった。








次の日、朝の食事を済ませ、次女の車椅子を乗せ、小学校へ…

次女を校門前で下ろし、レイカを、施設へと送り届ける。


その施設には10人程の子供が通園している。


一目で、重度の障害がある。と見受けられる子も数人いる。

しかし…普通の子も居る様に思える。


殆どが自閉症らしいが

普通の保育園の様な光景は見られない。


互いが孤立するからだ…


レイカをこの環境で育てて…

社会へと順応出来る日が来るのか?

少し疑問に思えた。


僕の用事を済ませ

夕方になり…

レイカを迎えに行き。


帰って直ぐにチロと一緒に散歩に行った。


最初リードは僕が持ち…

チロはいつ以来かの散歩に喜び勇み…


リードが引きちぎれんばかりに引っ張っていく。


こんなとき普通の子供はリードを持ちたがるものだがレイカは僕の手を持ちついてくるだけ…


チロはあいも変わらず地面をかきむしる様に前に進もうとする。


すると…

チロの尻尾が大きく揺れる。

チロの尻尾をレイカが掴もうとするが…

掴めない。


人間が投げられたボールを掴む時は反射神経だ

やはりテレビの悪影響が出ている。


無理にテレビから引き剥がすなんて出来ない。


ならば…

楽しい事はテレビだけじゃない。

と、理解させてやる。


そんな決意も…

いつ…実現出来るのか?

まだ…

何の感触も無かった。



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