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自閉症スペクトラム  作者: カモメ
5/6

テレビの弊害…

お姉ちゃんと下の子にレイカを寝かしつけるように頼んだ。


レイカは、食事が終わった後…

誰の力も借りずに、DVDの機械を操作し、アンパンマンを見始めた。


(これは?経験上アンパンマンに嵌まるのは二才位からで…

四才児のレイカの頃には、男の子は戦隊物などのヒーロー物へ、女の子は、魔女っ子物や、ヒロイン物へと移行するものだ。


DVDの操作を見ても、手慣れてる。

画面に見入って…

凄く大人しい。


これは…テレビに守りをさせる習慣を続けて来たに違いない。


僕は自閉症は、何も先天的だとは、思わない。


後天的に産み出される部分も多分存在する。

と、思うのだ。


健常な子供との食事の時でも…

テレビをつけっぱなしにしていれば…

必ず、食事が疎かになる。

特にDVD…CM等の邪魔が入らず…絶え間なく食事への注意を妨げる。


だから…いきなりテレビを消せとも言えない。


確実にパニックを起こし

娘たちの口にする。

《グレる》状態に陥ることは、目に見えている。


これでは多分改善にはかなりの支障がでる。


『お姉ちゃん…どうして…レイカは自分でDVDが操作出来るの?』


『いつの間にか…』


『じゃあ…施設から帰ってきたら…ずっと….アンパンマンのDVDを見てるの』


『うん…大人しくしてるから…』


『あのね…お姉ちゃん…

小さい子に、DVDを見せるのは構わないとは思うんだ…

だけど…時間は限定しなくちゃ…』


『どうして?』


『現実の世界は全てが立体で構成されてるから…

いくらテレビやDVDが

遠近法を使い立体的に見えようと二次元であり。


決して肌で感じられる三次元ではないから。


手のひらの感覚実際の距離感が育たない。』


『どうして…解るの?』


『お前がそうだったから…

お母さんは専業主婦で、

僕は、仕事で中々家に居ない。


子守りの経験がないお母さんは、何時もお前に、DVDやテレビを見せてた。


理由は、お前が…言った様に、大人しくなるから。

手が掛からないから…

それに頼ると、洒落にならない成長を始める。』


『どんな?』


『笑える程にどんくさくなる。』


『どんな風に?』


『ボールを投げると顔で受け止める。

しっかりと、反射神経が育たないから、テレビを見るように目だけで動くものを追う…立体を認識せず平面で理解してるから…

近づいてきてもぶつかるとは思わない。


お母さんには説明しても理解はしてもらえ無かったから

僕が積極的に…

お前と触れ合ったんだよ。

そしたら…

いくらか…お前のどんくささは解消されたが?

お前…今でもどんくさいって友達に言われるだろ…


いや…テレビ世代の子供はみんなどんくさいのか?


でも…レイカはお前が見てもどんくさいだろ』


『………』


『はいっ!!あのビデオが終わったら、レイカもお前たちも寝なさい。


後片付けをしながら…

寝入った子供たちの顔を覗きに行った。


お姉ちゃん…下の子…

そして…レイカ…

大人しく寝ている。


レイカなど…自閉症とは思えない可愛い寝息を立てている。


引き受けた以上…

自閉症を持ったままでも…

社会に対応できるだけの力はつけさせたい。


元嫁が帰ってくれば…

又…元嫁と衝突するだろう。


どちらかと言えば元嫁の方が難敵だ…


しばし…これからどうやって…

レイカの手を引っ張って行こうか?


と、思案している時…


庭先で…












ワン!!












と、声がした。

そうだ…コイツが居たんだ。

少しだけ…

レイカの進むべき方向に光明が射してきた。



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