観察
レイカは既に食べ終わった。
お腹が減っている風にも見えなかったのに…
あの…ガッツキ様には、何かある。
案の定…レイカはみんなの食べる様を一瞥し…
僕の皿へと目を止めた。
僕は反対側のテーブルについていたのだが…
レイカはテーブルを離れて僕の横に来て…
『どけ!!』と、良い放ち…僕を椅子から追いやり…
まだ…殆ど手をつけてない僕の皿へと箸を伸ばし始めた。
『お姉ちゃん?
いつもレイカはこうなの?』
『うん…麺類の時はいつもそう…
麺類じゃなければ…
食べさせるのに、いつも苦労する。』
これじゃ猿と変わらない。
『お母さんは止めなかったの?』
『止めると拗ねて、何の反応もしなくなる。』
『それをお前竜はグレるって言うのか?』
『うん…それと…直ぐに鍵を閉めて閉じ籠る。』
『どこに?』
『みんなと家を出るときなんかに、家中の鍵を掛けるの…
一番閉じ籠るのは、トイレかな?』
ふぅ~ん。
この…行為は、自閉症だけのものでは無さそうだ。
好き嫌いが激しいのは、自閉症の特徴の一つだが…
ここまで行くと…ゼロ歳時からの食生活にも影響されてるかも知れない。
やがて…メニューも尽きて来るだろう。
僕はレイカに栄養が片寄らない食事を取らせていけるのか?
少し不安にはなったが…
閉じ籠りには、何の心配もしてない。
レイカは養護施設で平日5時迄すごす。
養護施設に通っているなら…
信頼関係さえ築ければ扉を開かせる自信はある。
しかし…
当面の障害は、食事の好き嫌いと、僕とのコミュニケーションだ。