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自閉症スペクトラム  作者: カモメ
3/6

コミュニケーション

最初からレイカには、何をすれば良いのか?

どこから手を付ければいいのか?


僕に…

自閉症の知識は無い…

無ければ調べれば良いが…どうせ…


元嫁の事だ。

何もケアなどはしてこなかった。

筈だと思った。


知識より先ずはコミニュケーションから始めよう。


『レイカ…』と手を差しのべる。

しかし…全くの無反応…

レイカの手を取り繋いでみた。


肩を揺らすようにして僕の手を振り払う。


レイカと僕の関係に置いて…レイカに主導権を渡す事は無い。

かといって僕は子供に強制もしないし…自由にもさせない。


あくまでも僕が主導権を握らなくては…

躾も…おそらくズレている常識も修正出来ない、

こう言うときに、

知識とは、約にたつものだ。


近所の子供達が魔法のリュックと呼ぶ…


その中から色紙を取り出した。


折り紙を始めるのではない。


《奇跡の人》のアニーサリバンは、ヘレンの手のひらにdollの綴りを 書きその綴りを真似させた。

それを見た…


ヘレンの兄は、

『猿に芸を教え込むのと一緒だ。』と

笑った。


だが僕は敢えてヘレンをお手本にした。


三重苦のヘレンには嗅覚と味覚、感触だけが全ての世界であり…


遊びでもあった。


僕は子供は遊びの中で、成長する。と、思ってる。


一体幾つの知能かも解らない四才のレイカの関心を遊びに向かせるには…


単純であれば…

単純てあるほど…

失敗はしないはずだ。












そこで…

色紙の一枚をレイカの目の前で真っ二つに、破いて見せた。


レイカの大きな眼が更に大きくなる。


すかさず…

レイカの手に新しい色紙を渡す。


この時レイカの手を取り一緒に破こうとしては行けない。

これは…

普通の子供にも当てはまるのだが

鋭敏な感性を持つ自閉症児はパニックを起こす。


折り紙をグシャグシャにしようが…

手は出さない。


元より感触を楽しませる為のものだ。

慌てる事は無い…


今はこの子をジックリ観察する時期だと思った。


やがて握り潰した折り紙がこれ以上小さくはならないと、判断したのか?


ポイッと放り出した。


これは、経験上…

ハイハイを始める頃か…

歩行器に乗る頃に良く見られる行動か…


ならば…


レイカの知能は一歳半前後かも知れないと思いつつ。

ポイッと捨てられた色紙をレイカの目の前で広げ…

またも…

ビリビリと裂いて見せた。

新しく、色紙を…

手渡すと今度はビリビリと破いた。


次々と手渡される色紙を破き。


遂に色紙が無くなった。


すると…レイカは急に機嫌が悪くなりうつむいた。


娘は

『レイカちゃんかグレた。』と口にした。


脅迫的な同一性障害…

行動は同じ手順を踏まないと…いけない。

または…

行動を強制的に終了させると、何をしても…反応しなくなるか?パニックを起こす。


やはり…

自閉症だと理解した。


半分に破った色紙を拾い…

また、レイカの目の前で真っ二つに破る。

レイカは足元に散らばる色紙を拾い上げ…

それを…また破き始めた。

色紙が…

もう…これ以上破けなくなるまで破いた所で


『ハイ!!お仕舞い!!』と声を掛け僕は紙屑を…ゴミ箱に詰め込んだ。


娘は…

『レイカにも後片付けさせないと…』


『そうか…お前たちのお母さんらしいな…

でも…先を急ぐとな…

失敗が待ってる事が多い…

今日はレイカと遊ぶ…

この目的は達成出来たからこれで良いんだよ。』







『ところで…飯作ろうか?』と…娘に問いかけた。




次回は好き嫌いです。

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