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自閉症スペクトラム  作者: カモメ
2/6

出会い。

僕が昼過ぎに、家に帰ると…

一通のメールが届いた。

それは、離婚して久しく顔を見てない長女からだった。

内容は、


『パパさん助けて…』

どうせ連絡が来るなら

声が聞きたかったが…


助けて…


こんなメールに反応しない親は居ない。


取るものも取らずに…

バスに飛び乗り

今は元嫁の住まう昔の我が家へ扉を開いて飛び込んだ。

『○○どうしたの?』


『お母さんが入院させられた。』


入院したのではなく…

させられた。


その一言で嫁の状況が手に取るようにわかる。


実は元嫁の兄は、精神的異常者で、調子の悪い春先などは、包丁を手に徘徊する。


姑達には、家系的な疾患だから病院に入れなきゃ!


と常々、諭していたが…


あの子は頭がおかしいんじゃない。

何かが取り付いて悪いことをさせてるだけだ!!


と、聞き耳すら持たなかった。


この軋轢が離婚の元となったのだが…


元嫁は二人目の娘を産んだ辺りから、少しずつ、言動がおかしくなった。


嫁自体を責められない理由もあった。


次女は、生まれながらに、車椅子で、生活を余儀無くされる体で産まれた。


将来の不安がそうさせたのか?

支離滅裂な要求を僕に突きつけて来るようになった。

当然…姑も、一緒に傘にかかる様に僕を責め立てる。

一週間に数時間の睡眠で…働き続ける僕に、

何処かに遊びに連れて行けと言う。それも…命令口調で…


『少し休ませてくれないか?

このまま休まずに…

運転出来なくも無いが事故を起こすかも知れない。

三日間…寝ずに仕事したんだ。

少し休ませてくれ』と、哀願したが…


『休んだらいかん!』

『じゃあ?事故を起こすかも…』


『それも…駄目』


答えなど…

何処にも見当たらない。

万事こんな具合なのだ…

僕は、元嫁は兄の様に頭がおかしくなったと…


思った。


だから…今回強制的に入院させられた。

と、言うことは、娘の言葉を借りなくても解った。


中学を卒業したばかり…

高校入学を控えた娘に家事と…次女の世話…


次女は車椅子生活では有るが…

手が掛からないとは言え…

自分で食事の用意をさせるのは…難しい。


『で…僕が家事をすれば良いの?』


『ううん…』と長女は首を振り

部屋の奥を指差した。


『あの娘の面倒も見てほしい。』

と、言う。


長女の指差す先には…


元嫁に顔立ちが良く似た

少女が…


僕らの会話などに、一切の関心を寄せず。

ただ…そこに表情すらも変えずに、立っていた。


『パパさん…

あの娘は、レイカ…

お母さんが再婚して産んだ娘…


でもね…その再婚相手とも離婚して、レイカは父親に引き取られたの…


ある時…レイカに会いに行ったら、体中に青アザがあるの…

直ぐに虐待されてる。

って理解したから

うちに引き取ったの…』


『そうか…虐待か?

心の傷を癒すのは難しい。

でも…パパさんはね…

子供には優しく…

そして…平等に接するから虐待を受けた子供は、うちで引き取ってたから…


多分…上手くやれると思うよ…』


『それは…あんまり心配してないの…

パパさんなら…何とかしてくれる。

そう…思ったから…

思ったんだけど…


あのね…


レイカは、《自閉症》なの。


流石に、子供の頃から小さい子の面倒は見てきた。

いや…見させられた…


それなりの経験もある。


しかし…《自閉症》は、経験がない。


レイカがこちらに関心を持たないのは…周囲からの極端な孤立…

まさに《自閉症》の特徴の一つだ…


よりによって…

難易度マックスな子供の面倒を見なければいけなくなった。


これにより僕とレイカとの…

1000日に渡る。

戦いが始まった。




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