表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊と導者と依人と  作者: 赤城茉莉
2/3

教師と既視感

そして午前の授業もあと一つで終わるという四限目にその男はやってきた。選択ではない必修授業なので、専門教科を教えるはずの彼が担当だとは思ってもみなかった。

「ほら、アイツだよ。例の教育実習生」

「確かに教師には見えない」

小声で隣の鏡に返しながら、教卓の前に立つ男に目を向ける。

前を大きめに開けたワイシャツに黒のジャケット、長めの前髪を横に流して赤いピンで留めている。背は鏡が言っていた通り高く百八十五はあるだろうか。無気力そうな顔には銀縁の眼鏡が乗っている。

「でもニートには見えなくない?」

格好は教師としては如何なものだが、ルックスには合っているし違和感がある訳ではない。

「オレが見た時はジャージだったんだよ。しかも猫抱いてた」

なるほど、それだとニートに見えなくもない。平日の朝に大の大人がジャージ姿で猫と戯れているのを見て労働者と思う人はいないだろう。ただし高校というニートには不釣り合いな場所であるが。

「今日からしばらく数Ⅱを教えることになった来島明です。皆さんよろしく」

外見に対して普通な挨拶から始まった授業。窓から降ってくる日光の暑さに耐えかねて制服のネクタイを緩める。板書を取りながら来島を見ると胸元が小さく光っている。あれ、こんなこと前にもあったような。そうだ、朝礼の時に見た謎の光と同じだ。

自己完結して周りを見回してみても前の教師の胸ポケットから漏れ出る光に気付いた様子の者は誰もいない。ちなみに幼馴染みは夢の中だ。

(後で聞いてみよう)

どうせ鏡に引っ張られて会いに行くことになるだろう。そう結論付けて、教科書の数式に意識を集中させた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ