Eクラスと入学式と決意を
「ここがEクラスか。やっぱりEクラスだけあって皆勉強する気が全然ないなあ。」
叶真は呆れた顔をする。
すると一人の生徒が声をかけてきた。
「よお、叶真。入学そうそう遅刻かよ。」
それは入学前の登校してた時に知り合い仲良くなった結城 健人という高校最初の友達だ。
「健人もEクラスだったのか!よかったー、クラスに知り合いがいて。」
叶真はひとまず安心した。
「入学そうそう遅刻するなんて叶真らしいわね。」
そう言って少し笑ったのは幼馴染みの園田 夏希だった。
「おー夏希、おはよう。夏希もやっぱりEクラスだったんだね。」
「やっぱりってなによ!叶真からは言われたくないし!」
と少し怒った顔で恥ずかしそうに言う。
「なんだなんだ、夫婦喧嘩か?そういうのはよそでしてくれよなまったく。」
健人が割り込んでくる。
「「夫婦じゃない!!!!」」
と叶真と夏希は見事にハモる。
するとすぐ近くから笑い声が聞こえる。
「はははっ。お前ら流石だな。」
それは三島 翔平という生徒。
翔平も健人と同じく入学前に仲良くなった友達である。
「どこがだよ。」
叶真は呆れた声で言う。
「まあまあ。幼馴染みなんだし。」
健人が肩を叩く。
そう。叶真と夏希は小さい頃からの仲で、幼馴染みなのだ。
「結城も三島も、少しは黙ったらどう?」
「そんなこと言っちゃ可愛い顔が台無しだよ?」
「翔平、少しは慎めよ。お世辞もほどほどにしねえと怒られるぞ。」
「あんたら二人とも、なぐるよ?」
「「心の底からすみません。。」」
この雰囲気がEクラスだ。
そしていきなり放送が聞こえる。
「あーあー。あー私はこの学園の理事長だ。今から入学式を始める。」
「「「いや、放送で!?!?!?」」」
Eクラスの教室内にツッコミの声が広がる。
「えー、新入生。入学おめでとう。この学園は他の高校とは違い、特殊な部分もあるがたくさんの楽しい思い出ができるのも確かだ。順風満帆な生活をおくってくれたまえ。私からは以上だ。」
途端にクラスが沈黙になる。
「え、終わり!?入学式大分雑じゃない!?」
「なんか、変わった理事長だな。」
「人前に出れない理由でもあるのかな。」
クラスでは疑問点が生まれる一方。
「まあひとまず、入学式も終わったことだし、寝るか。」
健人は呑気だった。だがしかし、
チャイムが鳴り、ホームルームが始まる。
「よーし、お前ら席に着けー。」
それは朝にも聞いた声だった。
「きょ、教官!?」
叶真は当然のように驚く。
「まさか、教官が担任なのか!?」
健人も驚いた顔で言う。
「お前らに少しでも勉強ができるようにと理事長が決めたのだ。よって、今日からEクラスの担任はこの俺がする。」
「最悪だ。鬼教官が担任だなんて。これが僕の高校生活なのか。。」
「霧崎。何か文句があるなら直接言ってきていいんだぞ。」
「だって、教官が担任だなんて皆嫌に決まってるじゃないですか。」
「本当に言う奴がいるとは。だからEクラスなんだぞ。少しは考えて発言できないのか。」
「まあ、仕方ねえだろ。理事長が決めたことならな。それに俺たちはEクラスだ。成績の悪い奴らが何を言っても意味がないだろ。」
健人が話に割り込んでくる。
Eクラスの皆も叶真と同じような反応をしていたが、健人の一言で静まった。
そう、この学園はあくまで生徒の学力を重視している。最下位クラスがどれだけ文句を言っても負け犬の遠吠えみたく扱われるかもしれない。
「とりあえず、クラス長を発表する。
Eクラスのクラス長は結城健人。お前がEクラス長だ。」
教官のいきなりの発表に叶真が動く。
「ちょっと待ってください教官。なんで健人なんかがクラス長なんですか。健人にそんな素質があるわけないじゃないですか。」
「お前にだけは言われたくないがな。」
「静かにしろ霧崎。これは学園のルールだ。クラスで一番成績優秀な生徒がクラス長に選ばれる。まあEクラスだから優秀というわけではないがな。」
「健人がクラス一番なわけないじゃないか!!」
「叶真、結果に文句を言うな。」
結局Eクラス長は健人に決定した。
そしてホームルームが終わり、健人は叶真を呼び出した。
「なんだよ健人。僕に何か用?」
「叶真、俺たちEクラスはバカだと思うか?」
健人は唐突な質問をしてきた。
「そんなわけないだろ。少なくとも僕はバカじゃない。」
「安心しろ叶真。お前は疑いのないバカだ。」
「なんだと!言ってくれるじゃないか!健人だってEクラスなんだから疑いの余地もない完全なバカじゃないか!」
「それはEクラスがバカだと認めてるぞ。」
「くっ…。
でも、正直なところ僕たちはバカだよ。仮にも最下位クラスなのには間違いがない。」
健人と叶真に少しの沈黙。
そして健人が切り出す。
「お前はこのままでいいのか?
俺はごめんだ。Eクラスだからって下に見られるのはな。」
「健人、まさか…。」
「ああ。バカはバカらしくいこうじゃないか。
俺は証明したいんだ。世の中勉強がすべてじゃない。バカでも頂点になれるということをな。」
「やるんだね。健人。」
「やってやろうじゃないか。目指すは」
「「アビリティトーナメント!!」」