発進
なにも・・ なにもなくなった・・・
私は進藤猛、今日14年連れ添った妻の美代子から別れを告げられた。美代子とは、お見合いで結婚した。何回も会ったわけではないが、それなりに居心地がよかったのだろう。プロポーズまで6カ月とスピード結婚ってやつだ。夫婦生活は、単調なものだった。私が会社で働いている間、美代子はガーデニングをし家事をするごく普通のものだった。帰ってきてからも少しの会話はあるものの笑顔で会話するわけでもなく平凡な生活を送っていた。美代子はその平凡すぎる生活が嫌になったというのだ。
「なにも楽しいことはない、ただ平凡い生活するだけ。私の人生こんなので終わりたくない。」
とまで言われてしまったのだ。
私は反対などできなかった、美代子を愛していた。ただそれだけにこんな人生で終わりたくないと言う言葉に感じるものがあった。私は、美代子の貴重な時間を奪っていたのだと。こんな私とは早く別れたほうがいい。手続きはスムーズに行われた。実家に帰るための準備も手伝い、家には私一人になった。
そんなある日、私はテレビを見て心を奪われたのだ。
「これをやってみたい。」
そう思ったのは、いつ以来だろう。だができるのだろうか・・・
私の心を動かしたのは「「ゴスペルだ」」