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98.とあるプレイヤー達のレイド戦 side B

 

 

「やぁ、レギオル(かいちょう)。今どこだい?」

『あ?決まってんだろ。いつものところだよ』


 ということはプロロアの冒険者ギルドってことか………。いや、……言うまい。あいつ等に注文以外の会話とか期待しないほうがいいんだろう。


「他に誰が来てるんだい?」

『えーヴォリとハヴォとヒロキーだな。オルはクラウンの用事で来れねぇって』


 6パー、もしくは5バーティーのレイドパーティーなら、やれるか……な。


「実は折り入って相談があるんだけど、カアントまで来てくれないだろうか」

『いや、俺は久々のゲームだから会長としてキリーさんとだな………』


 照れながら話しているレギオル(じゅんじょうおとこ)を遮る様に続きを話す。


「その事なんだが、実はキリー嬢はそこから異動になったようなんだ。そこの娘に確認してみたらいい」

『えっ?まじかっ!!あ、ちょっといい?キリーさんて――――――』

『『『『『浮空大陸に異動したぁあ――――――――っっ!!』』』』』


 その声を聞いて私はチャットを切ってメニューを閉じて溜め息を吐く。


「さてと、準備だけはしとくかなっと」


 おっちゃんに勘定を払って酒場を出て、必要なものを買いに向かう。

 HPポーション、MPポーションを購入限界度数までNPCの店で買い、状態異常回復薬もとりあえず購入。

 さぁ、カアントの街で奴等を待つとしようか。


 カアントの街へ転移してしばらくすると、5人がゲートポータルから現れてきた。

 私に気づいた5人がレオギルを先頭に近づいてくる


「急にチャット切るなよ。あせんだろうがよ」


 黒銀の鎧をガチャガチャ鳴らしてレオギルが文句を言ってくる。


「いやいや、すぐに行動に移るだろうと思ってさ」

「で、浮空大陸ってのはどこにあるんだ?」


 はぁ、相変わらず下調べもせずにすっ飛んできた訳か、言った私もなんだがこの脳筋共が。

 オルソウがいれば、また違った話になったのだろうけど………仕方がない。

 私だけがあのイベだったのか確認の意味も含めて、こいつ等5人で戦ってもらうとしよう。くくく。


「おい、おめ-悪い顔してんぞ。何企んでやがる」


 口元を引きつらせ眉を顰めこちらを見てレオギルが言ってくる。

 お、いかんいかん。つい顔に出てしまったか。


「いやいや、何も企んでなどいないよ。ただ私じゃ駄目だったんで、皆に試して貰いたいという事さ」


 私がボーナスイベで戦ったモンスターについて話をする。


「へぇ、そんなのが出てくんのか。面白ぇ!」

「「僕等だけで倒しちゃっていーんだよね」」

「ま、俺達だけで充分だろ」

「まぁ、やってみるさ」


 掲板のスレを見たらしいPCがちらほらと南門へと向かって行く姿が見える。

 私達も彼等と同様に南門を抜け浮空大陸へのゲートポータルへと向かう。


 私を含めトップクラウンと呼ばれるところに属しているので、途中に出てくるモンスターは手間取ることなくあっさり倒していく。

 まぁ、ここら辺は勝手知ったる何とやらだ。サクサク倒しながら突き進む。ただ奴等が時々口々にキリ-さんとかキリータンとか呟いている。ちょっと引くぞ、お前等。


 ゲートポータル(とりい)に到着した私達は、私を除いた5人でパ-ティーを組み鳥居の中へと消えていった。

 ほへぇ~、こんな風になってるんだ。

 他人の行動をつぶさに見る機会は無かったのである意味面白いなぁと思いつつ鳥居に寄りかかりしばらく待つ。


 その間にもPCがやって来ては鳥居をくぐり消えていく。

 興味深かったのは、装備がいい――――――おそらくLv100越えのPCばかりが戻って来てることだった。


 「ありえねぇしー」とか「どうするぅ?むりくね!?」とか仲間同士で話しながら南へ北へと街道を去って行く。

 そしてあいつ等がやっと戻って来た。けっこー粘ったみたいだ。


「だはー、近寄れねぇよあれ」

「「ちょーきびしいね、あれぇ」」

「……………くっ」

「はあぁ、疲れた………運営メッ」


 5人が疲れた様にドサリと腰を下ろす。かなりダメを受けたようで装備もボロボロだ。

 私は彼等に戦闘内容を確認する為話を聞く事にする。


「で、何体目でやられたんだい?」

「4体目だ。あとちょっとだったんだがな………ちっ」


 私の問いにレオギルが歯噛みしつつ答える。


「ってめぇジーカ、知ってたんなら教えるよな!“4”体出て来るってよ!!」

「「そうだよっ!知ってたんなら配分ちゃんとやって倒せてたよっ!」」

「キリーたん………」


 1人変な事を呟いてるが概ねそんな所だろう。つーか近接でアレ3体た倒すのもある意味大したもんだと思う。

 だが5体目はちょい私が入っても無理そうだ。ちっ、運営メッ!

 それはさて置き、これで話を持ちかける事も容易くなるだろう。


「悪い悪い。皆が自信満々なんでつい言いそびれてしまったんだ。それでだね、パーティーで無理ということが分かったと言うことでレイドを組んでってみようと思うだが………どうだろう?」

「………レイドか………」

「「………それしかないかもね」」

「なるほど!レイドかっ。そうだな、おうっ!」

「っつっても人数集まるか?今すぐ………」


 私の提案に5人は思い出したように言葉に出して、レオギルは気が急いているのか今現在の問題点を上げてきた。


「うん、今呼び出せるギルメンと………。今戦って戻ってきたPC達にお願いしてみるのはどうだろう?私も成る早キリー嬢のところへ赴きたいからね」


 私の言葉に頷き5人がメニューを開きチャットを始める。

 気ぃ早や〜。


「サブマス〜来ましたよ〜。急に来いなんて言うから焦っちゃいました〜」

「え〜?お姉ちゃんジーカさんに呼び出され〜って喜んでたじゃ〜ん」

「ジーカさんちゅーっす」「何あるんスか?」「ちわ」


 マップペイント(うち)のギルメン5人を前もって呼び出していたのが、ようやくやって来た。やれやれ。

 私は彼等に浮空大陸へのゲートポータルの件と、その前にあるボーナスイべのモンスターについて話をし

作戦もどきを伝える。


「了解しました〜」

マップペイント(うち)じゃあたし等1番乗りですね〜」

「でも珍しいっスね、ジーカさんこの手のイベ1乗りしねーし」

「そーすね、何かあるんすか?」

「うんうん」


 私のいつもと違う行動に興味津々の5人にウィンクしつつ誤魔化す。


「な・い・しょ」


 30分程して南から北からPCが続々やってくる。各ギルドのメンバーと思しきPCがレオギルや他の4人と話を始める。

 しばらくすると私達の方へと皆が集まって来た。


「じゃ、さっそくレイドを組んで挑戦しようか。っと誰がリーダーをヤるか決めようか」

「いや、言い出しっぺのお前がやりゃいーよ。お前の指示に従うって事で話はついてっから」


 レオギルがそう言って話を纏める。私はメニューを出してレイドパーティーの申請を出すと、すぐに受諾の返信がやって来る。


「じゃ、みんな行くよ―――ーっ!」

「「「「「「おお――――――ーっっ!!」」」」」


 私が右腕を掲げて鼓舞すると、皆がそれに声と腕を上げて応える。


 鳥居を抜け半端階段を駆け上がると周囲が白く染まりすぐに戦闘フィールドが現れる。障害物はなく、土の地面のところどころ草が生えているやたらとだだっ広い場所だ。


「1陣に盾職、2陣に近接、3陣4陣は魔法と遠距離で隊列を組んで準備!」


 私の指示に遅滞なく隊列をそれぞれ組み上げていく。

 さすが伊達にトップクラウンに属してないって訳だ。


 私達の前方上空に大きな魔法陣が現れる。そしてその中から巨大なモンスターがドシンと地響きを立て降りて来た。

 ぐらりと揺れる地面に耐えながら前を見やる。


 モンスター:ヴァルチャリオン・ファイヤ Lv100

       HP 600/600

       MP 300/300

       属性:火


       ハゲワシ型のモンスター

       その翼で相手を撃ち、風を巻き起こし嘴で

       はむはむ噛み砕く恐ろしい存在

       属性によってそれぞれ攻撃方法が異なる


 前回と比べて余裕があったので【識別】をかけてモンスターを見てみる。

 全長5m程で全体が赤くて翼は朱く首と頭部は赤黒くて目は爛々と赤く光っている。強靭そうな後と鋭い鉤爪。心持ち長い首は上から下に垂れ下がり頭はこちらを睥睨している。


 相変わらず訳分からんコメント付きだが、しかしロボットアニメのタイトルみたいなモンスターだな、こいつ。


「相手は火属性だ。風のバフ掛けるよっ!」

「「「「「了解!」」」」」


 私が呼んだ魔法職のギルメンが広範囲に耐火属性の魔法をレイドメンバーへと掛けて行く。

 碧のエフェクトが光の粒子となってPCへと纏わり注がれていいく。


「盾組はヘイト稼いでタゲとって、近接組は待機、魔法組は風と土で攻撃、弓組は左右に展開して斉射―――ー開始!!」


 私の号令の元、皆が攻撃を始める。

 羽根ミサイル、体当たり、ブレス等を躱しすかしながらヴァルチャリオン・ファイヤ、ウィンド、グランアクアを危なげなく倒していく。

 レイド戦の肝といえば、集団がひとつの存在としてことにあたるのが重要になる。そして、その全体を

漏らすことなく管理し指揮する管理者リーダー

 昔取った杵柄ならぬ、現実リアルとった杵柄――――営業職でエリアマネをしている私にとってはそれほど難しくもない作業となっていた。

 回復を指示し、攻撃を割り振っていく。そしてその指示に異論無く従う優秀な(PC)


「おっしゃあ――――っ、倒したど―――――おっ!!」


 勘違いしたPCが喜びを表すように声を上げる。

 たくっ、空気が弛緩する前に私を声を上げ注意を促す。


「みんなーっ!気をつけろ!!大ボスが来るよっ!!」

『『『『えええっ!?』』』』


 すると倒されていたヴァルチャリオン4体が赤、青、碧、黄の光の粒子と化してくるくる回りながら上空に魔法陣を形作る。

 4色の魔法陣を囲むようにさらに金色の魔法陣が現れ光り輝く。

 ピカアアッと魔法陣が眩しく光るとゆっくりとそれが地面へと舞い降りてきた。


 いやぁ、さっきも思ってたけどデカイねぇ、これ。

 ドススズズゥゥウウウンと地面を揺らし土煙を上げて奴が現れた。


『『『『『『『キ◯グギ◯ラかよっっ!!!』』』』』


 いや、首1本多いから違うがな。


 一回り大きくなった黄金の胴体と翼を持ち、鱗に覆われた強靭な足とその黒く光る鉤爪は、あらゆる物をあっさり引き裂く事は容易に想像しえた。

 そして胴体の上には左から赤、青、碧、黄の4色に彩られたハゲワシの頭が周囲を警戒する様にユラユラ揺れている。

 モンスター名はヴァルチャリオン・カトルヘッド。まんまだ。


『『『『ゲェェラララァァアアガァラララァァアアアッッ!!』』』』


 4つの咆哮がPCの動きをピタリと止めてしまう。

 ちっ、【威嚇】の状態異常か。さらに翼を羽ばたかせて風を起こして来る。

 風を受ける度にジリジリHPが減って行く。

 ソロの時と攻撃が変わっている。レイドで難易度上がったか?


「魔法と遠距離組は対抗属性で各頭部を攻撃!近接と盾組は足元の攻撃を――――――っっ!!」

『『『『おっしゃ――――――っ!!』』』』『『『『『やったるで――――――っっ!!』』』』』『『『『にゅひょうわぁぁっっ!!』』』』「キリ――――――たんっっ」


 私の指示で攻撃を再度開始する。

 向こうも様子見なのか、突くや踏み付けなどの物理攻撃ばかりだったが3本あるHPゲージの1本が消えると本格的な攻撃へと移行して行った。まぁ、私はそれを待ち構えて用意をしているんだが。

 4つの首が上下に揺らされブレスの予備動作が始まる。


「ブレスの連続攻撃が来る!魔法組は反属性魔法で頭を攻撃、遠距離組は翼の付け根を遂次攻撃!」


 私1人では対抗し得なかったブレスの4連続攻撃を、出される前にこちらが攻撃してキャンセルさせる。

 そして吹き飛ばしや羽根ミサイルが出る前にこちらも先に攻撃してキャンセルさせていく。

 うちのギルメンに指示したのはこの部分だ。

 

 下手に全員に説明するよりは、少数が率先して行うと現状を理解出来てないと通常それに倣う事が人はままある。みんなと同じ事やってりゃいいやという感じに。

 相手の攻撃が出る前に潰して行く。この作戦はある程度功を収め2本目のHPゲージが消えて行く。

 4本の首が力を失い目を閉じぶら下がっている。


 さぁ、ここからは私も経験していない戦いだ。行き当たりばったりではあるが、負けても次に生かせば良いだけの事。

 一気に攻めるつもりでみんなに指示を出す。


「HPゲージ残り1本だよ!全員アーツ、魔法で一気に攻めるよ!!」

『『『『『おおおおうぅっっ!!!』』』』』』


 私の言葉を合図に皆が一斉にコンビアーツや魔法を放ち始める。

 ある意味蹂躙に見えなくもないが、大きさが大きさなんで、まぁ大丈夫か。


 HPゲージが残り3割まで減ってくる。さて、スタイルチェンジかあるいは別のアクションが起こるのか。

 なんてな事を考えてると、ヴァルチャリオン・カトルヘッドに変化が起きる。

 ヴァルチャリオン・カトルヘッドがグラリと後ろ向きにズズンッと倒れ込む。あれ、何で?HPゲージは3割を切ったところだ。………ちっ、まずっ!!


 PCの間に倒したと勘違いして弛緩した空気が生まれる。次の瞬間カトルヘッドを中心に衝撃波が爆発的に広がり私達は吹き飛ばされてしまう。


『『『『うわっあああっっ』』』』『『『『だはああっっ!!』』』』『『『『くううっっ!』』』』『『『『はぇえええ〜〜〜〜っっ!』』』』


 砂塵がカトルヘッドを中心に巻き上がり渦を巻く。

 そこから2本の鍵爪を備えた腕が飛び出てくる。

 やがて砂塵が空へと舞い上がり、それの姿が現れる。


「あ゛〜〜〜、これ詰んだんじゃね?」


 その姿はさっき迄のフォルムと違ってより人の形に、太く力強そうな強靭な腕と足と凶悪そうな鋭利な鉤爪。

 背に黄金の翼を携え1本になった長く伸びた太い首の先にある頭は目を閉じ泰然自若に佇んでいる。


モンスター:ヴァルチャリオン・ロード Lv150

      HP ????/????

      MP ???/???

      属性:火・水・土・風

      ヴァルチャリオン種の覇を統べる存在

      現界に出現することは稀で

      その力はドラゴンに匹敵すると言われている

      相対した時は跪き許しを乞うべし


「何やねん!それっ!!」


 思わず【識別】に突っ込みを入れてしまう。

 Lv的には同等かそれ以下なのだが、大きさがカルトヘッドより小さくなったにも関わらず威圧感が半端ない。

 しかも半分以上のPCがさっきの爆風の影響のせいか状態異常にかかっていて身動きできずに悶えている。

 どうすればいいかと、グルグルと対策を思い悩み考えを巡らせ立ち上がろうと手を着いた時、何かに触れてホロウィンドウが目の間に現れてくる。


「へ?“よんのぞ くせい のちからをこ めひかりのく さりで とらえたの ちそのか くをつ らぬくべし”………」


 4の属性に力を込め光の鎖で捕らえた後その核を貫くべし………。っ!そっか、ギミモンスっ!


 ギミックモンスター――――ある特定の条件下でのみ倒すことの出来る存在もの。大抵ハミテ出現時のモンスにあるヤツだ。

 私は周囲を見回しそれを探し出す。あった。黒く光る4つの石柱。


「スズ、イナ、mk、ハイリ!モンスの対角線上の酒にある石柱に向かってありったけの魔法をぶち込んで!!」


 私はうちのギルメンに向けて思いっきり叫ぶ。あっ。

 ロードのHPゲージが3割から自動回復している。おそらくあれが全回復したら本当の蹂躙が始まるだろう。

 いかん、注意事項があった。石柱にどの属性の魔法の指定はないはずだから、個々に指定しなくちゃならない。


「スズは火、イナは水、mkは土、ハイリは風魔法を何でもいいありったけぶち込んでっ!早くっ!!」

「「「「わっわかりました」」」」


 最初のは聞いてなかったらしい4人に再度指示すると、皆が散らばって私が指定した石柱に向かってそれぞれ魔法を放ち始める。

 HPが8割まで回復する。私は魔力弓を構え最大MPを込めて矢を番える。


「ジーカ!一体どうすんだ?あれ、ちょー無理っぽくね?」


 状態異常をレジストしたレオギルがこちらにやってくる。


「今から一か八かの勝負に出る。奴に近付いて私が攻撃したところと同じ箇所を攻撃してくれ。後はない」


 私の真剣な物言いにレオギルは頷きヤツへと向かう。

 9割…………。間に合うか。


 ロードの対角線上の先4ヶ所から赤、青、碧、黄の光を発し、ロードへ直線を描き貫き絡め取る。


『『『『クラ゛ラ゛アアアァァガラアァァアア――――――ッッ!!!』』』』


 ロードが抗うように叫び声を上げる。

 4色の光の鎖がロードの両腕両足をがっちり拘束する。

 そして胸の中央部分に虹色に光り輝く丸いものが現れる。おそらくあれが核。


「っ行っっけえええぇっっっ!!」


 限界までMPを込めれられた矢を放つ。

 シュヒィ―――――ンと甲高い音を立て、矢が一直線にそれへと向かう。


 キィィピィ―――ンッと音を鳴らし矢が命中する。っ!ダメか、足りない!?


「でうりやあああああっっ!!“アクセルスパイラルスパイク”ッ!!」


 両手剣を構えたレオギルが、光の粒子を纏い螺旋を描きながら流星のように突っ込みアーツを放つ。

 虹色の輝く核が剣に貫かれる。

 ロードのHPゲージが完全に戻る前にピキリと音を立て虹色の物体―――核が割れ砕ける。


『『『『グァゲェラアアアアァァアッッ!!』』』』


 光に縛られたロードは叫びながらドスウゥゥンと後ろ向きに音を立て倒れ伏す。

 そして4色の光の粒子と化して弾けヴァルチャリオン・ロードは消えていった。


 私はしばらく呆けた後、安堵の息を吐く。

 そしてパンンパカパーンというSEと共にコングラッチュレーションの文字。

 それを見て私はへたり込む様にドサリと尻もちを着く。

 あーしんどー。キッツイわーこれ。くそ運営メッ!


 リザルトを見てるとかなりのEXPとアイテムが手に入ってるみたいだ。

 溜め息をひとつ吐いてよっと立ち上がり周囲を見渡す。

 どうやら状態異常から回復した様でみんなが喜びを表している。


「サブマス~おつか~」「やったっスね~」「乙、びっくり」「いやぁ美味しかったです」「サブマスぅ~」


 ギルメンの皆が私の元にやって来る。やれやれ、皆のお陰で助かった。


「皆ありがとね。とおーっても助かった」


 それぞれとハイタッチを交わし労う。

 ファンクラブの5人もやって来て、互いの健闘を讃えあう。


「よっく気付いたな!ジーカ、おめぇすげぇよ」

「「さんきゅ~ジーカ、さぁ、行こ!」」

「おう、行こうぜ!浮空大陸」

「………キ、キリーたんっ!」


 ………うん、コメントは避けとこう。曖昧に笑っていると、やがて私達の前方に石造りの巨大な鳥居が現われる。


「さあ、行こうか。キリー嬢が待ってるからね」


 私は足早に鳥居へ向かって歩を進める。

 ふふ~ん、キリー嬢。

 

 


 

 

 私は浮空大陸の人族の街の冒険者ギルドの軽食コーナーのテーブルに頬杖を着いてキリー嬢を愛で眺めている。

 他のメンバーはタワータイプダンジョンが面白いらしく、間を開けて来ているようだ。

 私は私らしく安らかな気分でここに落ち着いている。


「ジーカさん、お替り如何ですか?」


 ウェイトレス姿のキリー嬢が飲み物のお替りを持って来てくれる。


「ああ、頂くよ。キリー嬢」


 ふふん、世は事も無しと。

 

 

 

 

(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます


遅くなってすみません

雪が、雪が、いっぱい降って入力作業が滞ってしまいました

ほんと雪いっぱい   (ヒーッ)((((T△T))))

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