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54.キラくんの行動を観察する その12

姉回です

Pt&ブクマありがとうございます(T△T)ゞ

 

 

 武器防具屋の娘にに頼まれたキラくん達は、店を出て冒険者ギルドへと向かうっていってもお隣りなんだけど。

 スィングドアの上をヒョイっと飛び越え中へと入る。中では受付でアワアワやってる三つ編みっ娘がいた。(武器防具屋はポニテちゃんだ)

 少し話をした後、キラくん達が掲示板へ向かい依頼書を眺めている。

 討伐系とララちゃんのオススメの依頼の3つを選び受付に行こうとすると、三つ編みちゃんがやってきて新たに依頼書を貼ってじーっとキラくんを見てきて受付へと戻っていった。

 

 ある意味指名依頼だよね今の。キラくんがララちゃんと話して1つを取りやめて、その依頼書を手に取り受付へと持っていく。

 部屋の影に隠れながら近付き話を聞くことにする。ふんふん、ワイルブモーの討伐と麦の刈り入れと料理の依頼ね。

 でもキラくんが立て続けに話を聞いてきた為、三つ編みちゃんが混乱して目を回している。いやー、あんなんで受付とかって出来るんだろうか疑問だ。キラくんが深呼吸を促し落ち着かせようとする。

 何とか三つ編みちゃんが落ち着いた後、互いにペコペコ謝りだす。何だかなぁー。

 

 再度依頼についての話を聞いて色々と細かい説明を受ける。そうして説明を聞いてから、キラくん達は冒険者ギルドを出てララちゃんが先導して東へ進んだ後、北にある脇道へと曲がってさらに進んでいく。

 初めて通ったとこなので思わず周囲をキョロキョロ見回してしまう。


「あるじ様。どうされたのです?」


 レリーがあたしの行動を不思議に思い後ろから聞いてくる。何やら学習したらしく跨ぐのではなく、いわゆる女の子座り(片側に両足揃えて座る)をしている。


「ん―とね、あたしもここを通るのは初めてなんでついキョロキョロしちゃっただけなんだよね」

「え?そうなのですか?」

「うん、ある程度の全体像は把握してるんだけど、細かい部分ってあまり見てなかったのよ」


 レリーが目を丸くしてこちらに聞いてくるが、いったとおりなのでそう簡潔に答える。実際画面や資料で見るのとVRの中で歩き回るのはかなりの差がある訳だ。

 でもタジマちゃん本当にいー仕事してるわ。平屋建ての家々の質感といい、テクスチャの貼り方といい、グラフィック関連の門外漢のあたしでも思わず唸ってしまう完成度だ。

 そして村を越えて広がる麦畑は圧巻の一言だ。きらきら灯り玉に照らされゆれ輝く様は何とも言えず見惚れてしまう。

 はへーと周囲を眺めているうちに麦畑を抜け草原へと入っていく。さらに北へと進んでいくとモンスターが2体やってきた。


 ワイルブモーでなく山羊タイプのモンスターだ。

 こいつはベェ~ベェ~鳴いて睡眠の状態異常を与えてくる序盤の厄介な奴だ。

 ララちゃんの注意を受けてキラくんとララちゃんが左右へと鳴き声を回避するように避ける。あっウリスちゃんが動いてないっ。準備運動の様に後ろ足を蹴り出し助走をつけようとしているところへステップベメェーの眠りの鳴声をまともに受けてバタリと眠ってしまう。

 

 しかも大の字になって寝転がっている。「ZZZ…」のアイコンが上に表示されている。それを見て正面を避けながらウリスチャンに攻撃が行かない様に注意をそらして行く。“クロスラッシュ”を放ち1体を吹き飛ばし、もう1体にララちゃんが水魔法を放ち水弾でダメージを与え、キラくんが吹き飛ばした1体へ近づき土魔法を放った後、斧で攻撃するとステップベメェーが光の粒子となって消

えていった。


 ララちゃんが正面に回らないよう躱しながら、魔法でダメージを与え続け戦闘をしていると、ララちゃんの横から赤い光が尾を引いてステップベメェーを貫く。

 貫かれたステップベメェーは哀しげな声を上げて消えて行った。

 何あれ、すごっ。

ウリスちゃんが悔しそうに前足を地面に叩きつけている。眠らされたのがよっぽど悔しかったみたいだ。

 キラくんが慰めるとその言葉にウリスちゃんが嬉しそうにそれに応えてる。


 その後は北の端まで行ってモンスターを倒しながら西へ行き南へと戻り、ワイルブモーを目標数倒して村の方へと戻っていく。

 ステップベメェーを見かける度にウリスちゃんが人?が変わったように攻撃しまくる。まだ根に持っているみたいだ。まぁしょーがないか。

 こうして村に戻って冒険者ギルドで精算した時、それは起こった。


 ファンファーレと共にガイドアナウンスがギルドの中に流れ出す。

 ふぁ?これってグランドクエストのジングル?何で!?

 その疑問はすぐに解決されることになる。ありゃー今の今まで誰もここに寄らなかった弊害がこんな形で現れるとは………。


《ただ今、開放中の村、街での冒険者ギルドでの最初のクエストが全てクリアされました。それを記念して近日中にグランドクエストが行われます。詳細は次回運営インフォメーションまでお待ちください。プレイヤーの皆様にお知らせ致します》


 あーはいはい。結局今迄ここの冒険者ギルドが利用されてなかった為に、持ち越されていたグランドクエストのキークエストがいま発動したって訳ね。

 んー今頃開発部長(しゃちょう)を始めスタッフたちは大わらわになってる事だろう。よもや第2サークルエリア開放でやるはずだったグラクエを今頃やることになった訳だから、こりゃあたしも手伝わないといけないかもしれない。いや、なるだろう。

 それにキラくんの事もあるし、いや……ヤマトの事か。


 グランドクエスト?って不思議そうにしてるキラくんに、ララちゃんが少しばかり興奮して説明してるっぽい。

 ララちゃんがやる気マンマンなのは見て取れるけど………。んーどうしよっか。

 運営インフォはNPCには聞こえないので三つ編みちゃんは不思議そうにララちゃんに聞いてくるが、ララちゃんは指を口元に当てて何か行ってる。「秘密なのです」とでも行ってるのだろうか。うやむやにされた感の三つ編みちゃんは仕方なくと言う感じで首を傾げるに留まる。

 

 そして話題を変えるようにキラくんが三つ編みちゃんに何かを聞いている。

 すると三つ編みちゃんが嬉しそうにと言うか期待に目をギラギラさせて説明を始める。その後冒険者ギルドを出て案内のためキラくんたちを引き連れて東街道を歩きだす。

 そこへ隣の武器防具屋のポニテちゃんがそれを目敏く見つけて合流する。なんだろうこれ。カオス過ぎる。

 

 2軒先の宿屋に入り勝手知ったる何とやらでポニテちゃんは掃除を始め、三つ編みちゃんが受付脇の通路へキラくんたちを案内する。通路を入ってすぐの部屋に入ると三つ編みちゃんが軽く説明をし部屋から出て行った。


 ララちゃんが声を掛け、キラくんが何やら準備を始める。まぁここどう見ても厨房だし、やる事って行ったら料理しかないよね。

 メニューを操作して、さっき倒したワイルブモーのドロップアイテムのワイルブモーのお肉をデデンと取り出す。

 おおぅぅ!あれば噂のブランド肉。じゅるっ。かっ、かがやいているぅ。

 思わず身体を乗り出しそうになるのをレリーに止められる。


「あるじ様っ、いけません」


 あわわっ、落ちる落ちる。メギエスがバランスを取ってあたしが落ちるのを防いでくれる。あぶないあぶない。なんとかメギエスに寄りかかり事なきを得る。

 キラくんの方を見やると、お肉を切ろうとするところにテーブルの反対側から声が掛けられる。

 

 その言葉で包丁を少しずらして厚くしている。またずらす、さらにずらす。かなり厚くなったところでお肉を切り始める。あのボリュームは反則だよぉぅ!お肉を切り分けてはしまい、切り分けてはしまいを繰り返し【調理】を終わらせるとテーブルから顔半分を出した女の子が話しかけてくる。

 

 キラくんが事情を説明しララちゃんが自己紹介をすると、その娘が棘付きの言葉を喋ったみたいでララちゃんとウリスちゃんが反撃の言葉を浴びせかけている。

 ショートカットの女の子―――ショートちゃんはその言葉に不服そうに3人を睨んでいる。

 キラくんはララちゃん達を宥めながら、ショートちゃん謝るとショートちゃんも少し気持ちを落ち着けて話をし出す。

 

 そこへ三つ編みちゃんがやって来て、ショートちゃんと少し話をしてから厨房から出て行った。その際に何やら話をして謝罪をしたり何かを確認してるが、少しは離れてところで様子を見ているので良く聞き取れない。やはり【聴き耳】スキルを取った方がいいだろうか。うーん。

 

 2人が出て行った後【調理】で切り分けたお肉に下拵えを終えると、ララちゃんとウリスちゃんに後を頼んでオートアクションプレイを起動させる。

 すると、ヤマトが意識が切り替わったように手を握り締め、首をぐるりとめぐらせ周囲を見回す。コントロールに個性は無い筈なのに、何故かそんな風に感じる。不思議だ。


 キザワの組み上げたAIにあたしが少しばかり細工をしたものの筈なのに、まるで別のもののようだ。

 確かヤマトのデータを送った後連絡があって、しばらくデータは送らなくていいと言ってきたが、たぶん自分達のスキルで手に負えなくなっていたか、他者による物騒な利用法を恐れてるんじゃなかろうか。

 

 ララちゃんといい、レイちゃんといい予想外のファクターが現れてる今を思うと、それもやむ無しと見るべきか。

 アイツ危機察知だけは妙に鋭いからなぁ。でもあたしは送る。

 ということで今迄のデータをパッケージングして、ありゃけっこーあるな。よし、データ圧縮して、ん―これでよしっと。はい、送信。

 これをどうするかはキザワの判断に任せよう。相談してきたら応えるのも吝かでは無い。


 おっと、みんなが移動を始めた。えっと今度は麦の刈り入れだね。




(ー「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

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