51.リアルとゲームで料理を作る
僕はリビングからキッチンへ向かうと、お昼に買っておいた食材をテーブルへと置きながら夕ゴハン作りを始めることにする。
今晩のメニューは鍋焼きうどんと、なんちゃってキノコおこわだ。
そして包丁を手に取り材料を切り始める。
白菜を縦に4等分に切り分けてそのひとつをざく切りにしていき、人参は3cm幅に切ってその後短冊切りにしていく。
長ネギの半分を4cm幅で斜め切りにして、厚揚げを四角へと小振りに切っていく。
湯通しした油揚げを2枚、1枚はそのままでもう1枚を2cm幅で切り全部をザル付きボウルへとまとめて入れていく。
次に椎茸、まい茸、しめじ、エリンギを取り出して、椎茸を石突きとじくを取り傘をスライスして、まい茸としめじは同じく石突きを切り取って手で裂いて小分けにして、エリンギも縦に半分に切り、手で縦に裂いていく。
別のボウルにキノコ類を入れて、人参、ゴボウを取り出し5cm間隔で切って表面をピーラーで剥いてキノコの入ってるボウルへ剥いたものを入れていく。
これで下拵えは完了だ。さっきから下拵えばっかしてる気がするがまぁいっか。
炊飯器から内釜を取り出し無洗米を5合入れ、軽く1回すすいで適量水を入れ炊飯器へと戻す。
その中へ軽く砕いたおかき(しょうゆ味)を袋分ザザラと入れてから、キノコ類と人参、ゴボウの薄皮を投入。
フタをパチリと閉めて炊飯開始のスイッチを押す“炊飯開始シマス”の声が炊飯器から聞こえる。
収納棚から土鍋を取り出し(何故かあった)、コンロの上へ載せてちゃんこ鍋用鶏白湯スープを流し入れうどん4玉(讃岐2玉、平打ち2玉)を解し入れてから、ザル付ボウルに入れておいた白菜人参長ネギ厚揚げ油揚げを順に入れていく。
コンロの火をつけ、まずは中火でスープが沸いてきたら弱火にしてフタを被せてしばらく置いておく。
「アルデ、しばらく鍋の様子を見てて何かあったら知らせてくれる?」
『かしこまりました。キラさま』
さまって呼ばれる人間じゃないけど、と詮無いことを思いながら客室――――姉が寝込んだ時に使った部屋へと向かう。
片付けてあるかなぁと扉を開けてみてみるが………やっぱ片付けて無かった。予想通りなので、敷っぱだった布団をたたんでから押入れにしまい。軽く掃除機をかけてキレイにする。
僕もそれほど潔癖症というものでは無いので、部屋の掃除なんかは週に1,2回やるくらいだし、散らかってなけりゃ問題ないっていうタイプなので結構適とーだ。
片付けも終わったのでキッチンへ戻ってしばらく様子を見ることにする。後は煮込み終わるのを待つだけなので少し手持ち無沙汰になる。
んーと、ちょっと考えてもう1品作ることにする。
冷蔵庫から卵を6つ取り出し、キノコ類を入れていたボウルを軽く洗ってから水を切って卵を割りいれて白出汁、水、コショウを入れシャカシャカ箸でかき混ぜていく。
そしてこの前見た時にあった卵焼き器(長方形型の小さいフライパンみたいなの)を収納棚から出して、オリーブオイルをしいてコンロの火をつけ馴染ませた後、卵液を流し込み薄く満遍なく広げ泡を潰してしばし待ち手前に丸めていく。
次に奥の方へ卵液を流して薄く広げ奥に転がし手前に流し――――を数回繰り返し卵焼きが完成する。
そして残った卵液を土鍋のフタを開けくつくつ煮えてきている中へと円を描くように流し入れる。
ふんふん、野菜が煮えるまで後ちょっとと言ったところか。
冷蔵庫からあらかじめひと口大に切り分けておいた鶏肉をザバリと入れて、再度フタをして煮えるのを待つことにする。おっとその前に食器を出しておかないと。
箸と茶碗と小鉢とドンブリを、収納棚から出してテーブルへと置く。よし準完了。
さて、ララたちの様子でも見てみようかとリビングに行こうとした時、ドアがガチャンと開いて姉が帰ってきた。
「キラくん!ただいま―――――――っ!!」
「ぐぼおっ!!」
姉に横から体当たりされ、わき腹に直撃を受け悶絶する。しばらく痛みに耐えていると追い討ちを掛ける様にぐりぐりと頭をこすり付けて来た。いたたたたっ。
「サキちゃんッッ、ちょっ、ストッ!」
「ん~~~~~~っ。キラくんのにほひぃ~~~」
くっ、耐えるんだ。しばらくすればきっと落ち着く。それまで耐えっいたたっ。
その時ちょうど炊飯器からピーッと音が鳴り“炊飯完了デス”の声が聞こえる。
「あ、ごはん?」
ぐりぐりしていた頭と身体を離してキッチンへと向かいコンロの前へ行きくつくつ湯気を出してる土鍋から漂う匂いをくんくん嗅ぐ。
「鍋焼きうどんねっ!じゃ着替えて来るから」
匂いだけで何を作ったか分かるのは謎だけど、姉は嬉々として自分の部屋へと入っていった。
姉がすぐにでも戻って来そうなので土鍋のコンロの火を止めてから炊飯器のフタを開けしゃもじでゴハンをかき混ぜていく。
かき混ぜていくごとに次第にねっとりと手元に抵抗が出てくる。これでなんちゃってキノコおこわの出来上がり。フタを閉めてしばらく蒸らしておく。
リビングに食器類を持ってテーブルへと並べて鍋敷き用にテーブル下に置いてある雑誌を2冊中央へ置く。キッチンへと舞い戻り鍋つかみを手にはめ土鍋を掴んでリビングへと運ぶ。
そのタイミングを見計らったようにスエットに着替えた姉がリビングへやって来た。いつもの定位置に座り笑顔で土鍋のフタを取る。熱くないんだろうか………。
「むひょ―ーーっ!」
むはわぁ〜と土鍋から湯気が立ち上り、すっかり煮えて出汁を吸った野菜が目の前に現れ姉が奇声を上げる。
姉が自分の箸を使ってうどんをよそおうとしたので、慌ててトングを渡す。
「サキちゃん、これ使って」
「ありがとー」
ドンブリを左手に持ち、右手にトングを携えてうどんを掴み山盛りに取り分けてお玉で汁をたっぷり入れていく。
「いただきま〜すっ」
白菜をパクリとひと口食べ頬を押さえてプルプル悶える。次にうどんをずるずるとすすりはふはふと口の中で冷ましながら咀嚼していく。
ずるずるはふはふしている姉を横目にキッチンへ戻り炊飯器を持ってまたリビングへ行く。
「サキちゃん、おこわどれくらい食べる?」
僕の言葉に眼を輝かせてお約束の言葉を発する。
「山盛りっ!!」
姉の希望通りにドンブリに山盛りのおこわを盛って手渡す。
「ありがと〜」
そう言っておこわをひと口パクリと食べる。
「んふぅ〜。もひもひ〜〜っ」
再び身体を震わせ喜びを表す。おこわを口いっぱいに頬張りもぐもぐ咀嚼している。
僕も姉に食べ尽くされる前に戴くことにする。
小鉢に盛ったうどんを手に取りまずは汁を啜る。ん、野菜と鶏肉が出汁にちゃんと効いていてなかなかだ。
次にうどんをずるずると啜る。種類の違う麺を使うのはかーさんからの受け売りだけど、平うどんとトロミのついたうどんが何ともいい食感を与えてくれてとてもいい感じだ。
鶏肉は噛む度に、ジュワリと汁と脂が口に広がって思わずん~と唸ってしまう。
息をひとつ吐いて今度はキノコおこわへと箸を向ける。パクリモグモグ………。ん、キノコの旨みとおかきから出たしょーゆの味がいい塩梅にバランスをとっている。もっちりとしたゴハンは噛む毎に口の中でいい弾力を与えてくれる。
以前料理関係のデータアーカイブで見て1度はやってみたいと思って思いつきで作って見たけどけっこー美味い。んぐんぐ。
卵焼きも思ったよりふわふわに出来ていていい味だ。姉も「ふわふわ〜」と言ってパクパク全部食べてしまった。
TV画面ではヤマトが麦畑で麦を刈ってララとウリスケがそれを運んだり、鳥のモンスターと戦っていたりしている。
うどんとおこわを自分の分を食べ終えたので、お茶の準備をする。
このメニューじゃコーヒーよりお茶のほうがいいかなと思い、食べ終えた食器を持ってキッチンへと向かう。
姉はいそいそと炊飯器からおこわをよそっている。ほんと良く食べる。
いつも思うけど良くあれだけ食べて太らないもんだ。かーさんも仕事柄良く食べてるのにあのスタイルと考えると遺伝なのかも知れない。
食器をシンクの中へ置いて急須にお茶っ葉を適量パララと入れて電気ポットからお湯を入れていく。僕のコーヒーカップと姉のやたらとごつい湯呑みを用意してしばらく待った後お茶を注いでいく。
お茶を持ってリビングへ入ると姉はすでに土鍋の鍋焼きうどんを食べ尽くして、おこわの上にうどんの汁をぶっかけてずるずると啜っていた。はやっ!
ま、いいタイミングだと思えばいいかな。
テーブルに湯呑みとコーヒーカップを置いて、食器やらの後片付けを肘める。炊飯器と土鍋を持ってキッチンへ向かい炊飯器をテーブルに、土鍋をシンクへと置き汚れが落ちやすいように水を流し入れる。
炊飯器のフタを開け中を見ると空っぽになっていた。5合炊いたのに………。
作った僕が言うのも何だけど少し注意しておかなきゃと思いながら、内釜をとり出しこれもシンクに入れて洗い始める。
「ごちそうさま。美味しかった―――っ!」
姉が自分の食器を持ってキッチンにやって来た。いつも思うけど作る人間にはこの言葉が何よりのご褒美だ。
食器を受け取り全てを洗い終えてリビングへ向かうと、お茶を飲み終えた姉がリビングを出て自分の部屋へ行くところであった。
「キラくん、続きやるんでしょ?あたしは部屋でやることあるからガンバってねっ」
そう言って自分の部屋へと立ち去っていった。何故か「おにくおにく〜」と聞こえたけど、さすがにあれだけ食べてまた食べるわけは無いだろうと思考を止めてリビングへ向かう。
ソファに座ってTVの前に陣取ると片付けていたヘッドセットを首にかけコントローラーを手にララへ呼びかける。
「ララ、どんな感じ?」
麦を運んでいる様子のララに状況を聞いてみるが、僕に気づいたララが“しまったぁ”という顔をしてバストアップ画面になる。
『マスター、ゴハン食べちゃったのです?』
「うん、いま終わったトコだよ」
ぐはっとボディブローを受けたようにララが身体をくの字にする。
『ちなみに今晩のメニューは何だったのです?マスター』
「鍋焼きうどんとなんちゃってキノコおこわだよ。あと玉子焼き」
『分かったなのです。(あとで検索するのです)』
「え?何か言った?」
『何でも無いのです。麦の刈り入れはあらかた終わったのですマスター』
バストアップ画面から小さな画面にララが戻り、麦畑が見える中でヤマトの周囲が綺麗に刈り取られそこだけ空間が広がっていた。ありゃ、終わっちゃったか残念。でもないか。
よく考えてみると僕って鳥型のモンスターといえばビッグスパローとしか戦ってないよな。(いや、戦ったというより逃げ回ったというのが正しいな)
まぁ、このゲームをやってればそのうち戦えるよなと、気持ちを切り替えオートアクションプレイを解除する。
「ありがとうな、ヤマト」
楽しんでいたであろうヤマトに悪いなと思いつつも、コントロールを自分の手に戻す。
麦畑の周囲を見回すと3人の男女がこちらにやって来る。
『一緒に借り入れをやってくれた、ヴァーバさんとコルドンさんとアインハさんなのです』
年配の人がヴァーバさんで女性がアインハさん、そして男性がコルドンさんらしい。
『あー、ご苦労だったなし。お陰で助かったなや』
手を上げて年配の―――ヴァーバさんが声をかけてきた。
『お疲れ様なのです』
僕の代わりにララが返事をしてくれる。ヤマトと替わったいま僕が何か言うのはたしかに変だろう。
『これで俺らの依頼は完了だなし。これをギルドに持ってけばいいだな』
そうしてヴァーバさんが何かの木片を渡してきた。
ピロコリン
《マルオー村 の 麦の刈り入れ を クリアしました》
SEとともにウィンドウが表示される。はぁー討伐以外の依頼はこんな風になるんだ。ふむふむ。
『ありがとうなのです』
『おう、報酬の麦は粉にしてスーちゃんに渡しとくなし』
「よろしくお願いします」
そう言って僕は言葉を返して踵を返し、麦畑から脇道へと向かう。やっぱ不思議そうな顔をヴァーバさんがしていた。だよなぁ。
とりあえず冒険者ギルドに行って、依頼の完了と料理の事についてスーさんに聞くとしよう。
脇道を抜け東街道を冒険者ギルドへ西へと進む。宿屋と武器防具屋を通り過ぎ冒険者ギルドの中へと入る。
『ようこそ!冒険者ギルドへ。あ、ヤマトさん』
ギルドの中で掃除していたスーさんが条件反射で挨拶をして、僕に気づいて声をかけてきた。
「どうも、刈り入れの依頼が終わったんで一応来てみたんですが、どうしましょう?」
『それじゃ、先に採算しちゃってから料理をお願いします』
料理のことと気づいたスーさんが、そそくさと受付へと戻り手続きを始める。
ヴァーバさんから受け取った木片を渡して、GINと麦粉の大袋を3つ渡される。
GINはそれ程の額ではなかったけど、麦粉の袋を3つ出されてけっこー驚く。そりゃ60kgの袋を目の前に出されりゃヒックリもする。
「けっこー刈り取ったんだな………、ララ」
粉の状態でこれだと実際はもっと大変だったろう。
『これで色々作れるのです』
『グッ!』
ララが嬉しそうに手を上げそれにウリスケも続く。それを聞きながら麦袋をしまうとスーさんが話し掛けてくる。
『料理の方は今から大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ。えっと宿屋ですよね」
『レッツゴーなのです』
『グッグ―――ッ!』
ララの言葉を合図に冒険者ギルドを出て途中道具屋へ寄って野菜をいくつか購入してルーさんと合流して宿屋に入る。サァンさんとリャンさんとウーさんがテーブルに座って待っていた。店はいいのか?
『『『『よろしくお願いします』』』』『……ます』
前から4人が後ろからやって来た1人に挨拶されながら僕達は厨房へと向かう。
サァンさんはあんな人見知りで宿屋なんて大丈夫なんだろうか。他人事ながら心配になる。
厨房に入るとさっそく料理を始めることにする。調理用テーブルの前に立ち【調理】スキルを選びまずは下拵えの続きを始める。
ワイルブモーの厚切り肉を取り出して一つ一つに麦粉をまぶすように振り掛けていく。
次に道具屋で買った野菜――ジャガポとキャロン(じゃがいもと人参みないなもの)をザク切りにしていく。
切るだけなのに+3とかが連発で出て来る。レベルが上がるとやっぱ違うんだな。
野菜を切り終えたので今度は“煮る”を選ぶと画面がくるりと回ってコンロの前に立つ。
色んなシステムがあるんだなぁと感心しながら鍋を選んで水を入れるを選ぶと水が入った鍋がコンロの上に現れる。
火力を中火にして野菜を入れ茹でていく。しばらくすると水がぐつぐつと沸いて野菜が踊りだす。
すると鍋のフチが黄緑に点滅しだす。
あいていた間隔がだんだん短くなっていき、激しく点滅する前にララが声を掛けてきた。
『マスター今なのです』
その言葉にコンロの火を止める。
点滅が収まるとピコンというSEとともに【D】と鍋の上に出てきた。
これが野菜の評価ってことなのだろう。
“煮る”を終了して次に“焼く”を選び フライパンをコンロに載せて肉を焼いていく。
サァンさんの注文によりだいぶ厚くなった肉なのでうまく焼けるか甚だ不安だが、試しに僕のやり方でやってみる。
フライパンに油をしき強火で温め熱くなってきたところへ厚切り肉を投入し表裏、側面に焼き目を付けて弱火にして焼いていく。
しばらくすると、フライパンのフチが黄緑に点滅してくる。
するとチリチリとしていた音がジュワ〜という音に変わっていく。
点滅が徐々に激しくなってきたのを見計らってタイミングを見ていると、ララがまた声を掛けてくる。
『今なのですマスター!』
ララの声にコンロの火を止める。するとさっきと同じ様にピコンとSEが鳴り【C】と表示される。
いったん【調理】スキルを解除しララに味見をしてもらう。出来上がった料理はこんな感じだ。
ワイルブモーの厚切りステーキ:ワイルブモーの肉を厚く切り分け塩、コショウ、
麦粉をまぶし味を整えたもの Lv3
旨味と肉汁を封じ込めた肉肉しいひと品
脂身がアクセントになり食欲をそそる
(HP+60 満腹度65%)
ゲームのシステム―――ロジックでなく我流でやったにも関わらず(ララのフォローがあるにせよ)料理が作れるとは………。
「自由度高過ぎ……」
僕にとってゲームってのは、不自由を楽しむものだと思ってる。
あるいは道筋を探り進んでいく。特にACGやSTGなんかは何度もやられてパターンを覚えクリアしていく。
RPGなんかはストーリーを楽しむために、レベルを上げ強くして最後をエンディングを見て余韻に浸る。そんな風に思ってたけど。
なんか違うんだな今は―――
何日もこのゲームをやってたのに今さらそんな事に思い至るとか、はぁぁと溜め息が漏れる。まぁ、今はこのゲームを楽しむとしよう。
「ララ、試食して貰える?」
『了解なのです』
『グゥ〜?』
「あ、ウリスケも頼むな」
『グッ!』
ホカホカの厚切りステーキを前に、ララとウリスケがナイフとフォークを使って切り分け食べ始める。
『ふわぁ!美味し〜です!』
『グッグ―――ッ!』
喜びながら2人がパクパク口に入れ、あっという間になくなっていく。
その様子を見ると、問題ないみたいなので続けて作ることにする。
えー全部で7、いや8枚かヤマトも食べるだろうしさっそくその数だけ焼くため【調理】スキルを起動させる。
『マスター全部で9枚焼いてなのです』
とララが焼く枚数を指定してくる。
「ん?他に誰か食べる人がいるの?」
『いえ、レベル上げにいいのです』
なるほど作ればそれだけ経験値も得られるって事か。ん、わかった。
こうしてワイルブモーの厚切りステーキを9枚焼いていく。
これで【調理】スキルがLv7へとアップする。
ララとウリスケが収納棚から皿を取り出しステーキを盛り付けていった。
それが終わると茹でた野菜を、軽く炒めて皿へと添えていく。
「ララ、スーさんを呼んで来てくれる?数があるから運んでもらおう」
『はいなのです』
ララがスーさんを呼びに行くとすぐさま5人がやって来て全ての皿を持って行った。
「じゃ、僕達も行こうか」
『はいなのです』
『グッグ――――ッ』
僕達が食堂に向かうと、5人はすでにステーキを食べ始めていた。どんだけ飢えてんだか。
『はぐはぐ』『…………(むにゅむにゅ)』『ふあああんっ!』『脂身うまっ!』『Σ(T△T』
5人5様でひたすらステーキを貪り食っている。欠食児童か。
ララとウリスケもいつの間にかステーキを食べ始めていた。
僕もヤマトに食べてもらう為にオートアクションプレイを起動させる。ヤマトもテーブルにつきステーキを食べ始める。
さて、僕はちょっと休憩としよう。トイレに行き、その後キッチンでコーヒーを入れてリビングへと戻る。
ソファに座りコーヒーを啜ってTVヲ見るとすでに皆が食べ終わりヤマトとララとウリスケと5人が満足そうにお腹を叩いてまどろんでいた。
はやっ!
オートアクションプレイを解除するとスーさんが代表して話し掛けてきた。
『ヤマトさん、ありがとうございました。これで依頼完了です』
料理の代金を受け取りマルオー村でのクエストは終わりになる。
冒険者ギルドで処理しなくていいんだろうかと思ったが、依頼主がスーさんなので問題無いみたいだ。
まだ時間はあるけど今日はここまでにしておこう。
せっかくなので宿屋に泊まって行くことにする。サァンさんは何故か涙目で手続きをしている。
部屋に入りメニューを開きログアウトを選ぶ。
「じゃララ、ウリスケまたね」
『はいなのです。お待ちしてるのです』
『グッグッグッ!』
色々やった記憶はあるんだけど、忙しなかったせいかリアルでもゲームでも料理しかしてない気分になる。ま、こんな日も悪くないかな。
(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます
遅くなってしまいました




