42.キラくんの行動を観察する その9
姉回です
タイトルと違って観察してません ご容赦を
いつもより少し長めです
Pt&ブクマありがとうございます(T△T)ゞ
あたしが“それ”と出会ったのは必然ではなく、ただの偶然だった。
その頃のあたしは院生しながらデイトレードでかなりの金額を稼いでいた。それを知っているのは友人が数人程だったが、そのうちの1人が相談をしてきたのだ。
とある研究者の所で師事を受けていた彼がその人の遺産を買ってくれないかということだった。
「これってワクステ?カネアキさん」
「いや、………こう見えてもスパコンだ」
「これが!?」
「そういう研究をしていたんだよ。ウガジン先生は」
カネアキさんに車で連れられて来たあたしは山の中にある―――ー宇賀神電脳理研究所と看板がかけられた館の一室で“それ”を見ていた。
ワークステーションにしてはゴツイだろうそれは、小型冷蔵庫が3台連なったようなフォルムをしている。1番左側の上左角には“0”の刻印がしてある。冷蔵庫3兄弟?
などと馬鹿なことを考えていたあたしに、カネアキさんの説明は続く。
「先生の研究自体特殊でさ、機械と生体素子のハイブリット機構ってのがテーマなんだけど」
「生体素子………ですか?」
あたしが訝しむ様に眉を顰めると、カナアキさんは言いつくろうように説明を進める。
「あ!動物実験とかそういうのはしてないからな。あくまで人工タンパクから生成したものを増殖させて造ったもんだから」
慌てて言い訳をするように言ってるが、あたしは特に気にしてない。ってかこれ何に使うの?
「演算関係なら何にでも応用が利く。ビッグデータ管理からDNA解析、もちろんMMOゲームのサーバーだって余裕で出来る」
カネアキさんがそのスペックをホロウィンドウを出して説明するが、んー確かにスパコン並の性能といえるのだけど………。
「それを何であたしに買えって言うんですか?他のところでも引く手数多でしょう。このスペックなら」
あたしの言葉にカネアキさんは口篭もるが、意を決して話し出す。
「誰も信じてくれなかった。何よりブラックボックスで中を見ることも出来ないから、そんな怪しげなもんは引き取れないって言われた」
確かにこの程度の大きさでスパコンですって言われても、馬鹿じゃなかろうかと言われても仕方が無いか。
「ってか何で売りに出すんです?博士が亡くなったとはいえ、カネアキさんが引き継いで研究すればいーじゃないですか」
ウガジン キユウといえば相当な資産家のはずだ。遺言書とかで指示されていれば、この研究所ぐらいは彼に引き継ぐことだってあると思う。
「いや、先生そういうの嫌いでなーんも書いてなくて、遺産相続人達がこぞって先生の資産と機材は処分するって言ってんだ」
なるほど、故人のものは全部無くしてしまいたいってわけだ。何やら根深い因縁があるのかなーとあたしが思ってると、ふと気になった。
「カネアキさんはこれからどうするんですか?」
あたしの問いかけに肩を竦めながら答える。
「これの買い手が付くかどうかで変わるかな。うまくいけばA国のシュヴァーニルス研究所に推薦が貰えるかも知れない」
あー胡散くさっ。まぁワンオフ物といえれば“買い”だとは思うんだけど、生体素子ってどうなんだろう?
「カネアキさん。このスペックって生体素子が繋がっての数値なんですよね?」
「いや、違うよ。これは機械部分のみのスペックだよ。そもそも生体素子部分はまだ開発中だったから、ろくに接続が上手くいった試しがないんだ」
ある意味欠陥品と言ってる様なもんだけど、機械部分は問題無く動くらしい。カネアキさんが研究資料をまとめてあたしの端末へ送ってよこす。
「いいんですか?これ」
「ああ、コピーは俺もとってあるから別にいいよ。いても解かる奴にしか解からないだろうし」
ニヤリと笑ってカネアキさんが何げに煽るような事を言う。資料を見ると生体素子自体は生理食塩水とエネルギー供給のための栄養素とビタミン類の投与が必要みたいだ。これらは安価で入手できるから問題ない。そう考えるのならこれは“買い”だろう。
「分かりました、カネアキさんの再就職の為にひと肌脱ぎましょう」
「本当か!?……悪いなササザキ」
お互い周りに変人呼ばわりされてたせいか、カネアキさんは先輩として色々世話になったことだし、ここで恩を売っておくのも悪くない。
カネアキさんに金額を聞くと、相場の価格よりかなり安い値段を提示される。最新型ワクステよりちょい高いくらい?最新技術と言っても良いのに?
「そんな値段でいいんですか?もう少し色をつけても良いですよ?」
「いや~良いって。向こうから言って来たのがこの金額なんだから、あんな奴等に余分な金なんかやる必要ないって」
「でも、就職先紹介して貰えるんでしょ?」
「伝手はあるらしいけど………俺あいつ等嫌いだし」
こうしてあたしはウガジン博士の謎コンピューターを買い取ったのだった。
何につかお。
明けて翌日、開発部長に呼び出されたあたしは、案内された会社の小会議室で1人コーヒーを飲んでいた。人を呼び出しておいて待たせるとは全く呆れる。
あたしだってそうそう暇ではないのだ。仕方ないのでここで出来る作業をしようと思ってホロモニターを出そうと端末を取り出そうとしたところで、小会議室のドアがスゥと開く。
社長であるミラが秘書とともにやってきた。
何気に顔が強張っている?何やら不穏な空気に包まれる。
「待たせたな。では始めよう」
ろくな謝罪いも無く本題に入ろうとする。これ一発殴っていんじゃね?
あらためてお茶請けとコーヒ-を入れられて開口一番、ミラがこちらを睨みながら問いかけてくる。
「サキ、お前一体何をやったんだ?」
いきなりそんな事を言われても何が何やら分からない。あたしが何のことか分からず首を傾げていると。
「昨日、一昨日あたりから運営に苦情が殺到している。お前の仕業じゃないのか?」
見せられたホロウィンドウにPCからの苦情が箇条書きに表示されている。
・NPCに買い取り拒否された。
・NPCに殴られた。ふざけんな。
・NPCの尻を触ったら、頬を叩かれた。
・NPCが言う事を聞かない。
・NPCが俺を馬鹿にした。モブのくせに。
・NPCに振られた。俺の純情を返せ。
・NPCが狩りの邪魔をして死に戻った。アイテム弁償しろ。
etc、etc。NPC関連の苦情が山程ある。とくに第2、第3サークルエリアのPC達が多い。
んーあたしとララちゃんが行ったイタズラはプロロア周辺に限定したものだった。なのに進捗率が3%も満たない状態で他のエリアでNPCが変化するなどあり得ない。
いや、エリアボスの時のメールを思い出せば無くはないのか………。けどここは1つ惚けてみるのもいいかもしれない。
「NPC関係が多いけど、どうしたのこれ?」
あたしを見て疲れた顔をしてジト目でこちらを睨む。
が、あたしを睨む前にこいつ等のログを見ればいいのだ。大概酷いぞ。PC等。
「今はお前が何かやったのかと聞いてるんだ!サキ」
「ねぇ~ミラ。あなたこいつ等の行動ログを見て言ってるの?」
あたしの言葉にマルチタスクでホロウィンドウを出して確認を始める。それらを見て顔を顰めはするが、それだけだった。
「ユーザーにモラルが低い人間が居る事はすでに分かっている。ある意味仕方がないと私は思う。ただNPCが何故こういった反応をするのかサキ、お前は知ってるんじゃないのか?」
はぁー、人間嫌いと言ってるくせに人間を優先するなんて、経営者の顔を見せる〝彼女”に半分残念そうな顔をするが、彼女がそれに気付いた様子は無い。
結局あたしは自分がやったことだけを彼女に伝えることにする。他は知らないし。
「あたしがやったのは、組んだプログラムをプロロアの街限定でNPCのAIに添付しただけよ」
「プログラム?何の!」
何と言えばいいのかしばし黙考、よし。
「テストプレーで生み出されたAIの意思をもたらすプログラムってとこかな。どういう結果になるかは検証中ってとこね」
「と言うことはNPCのAIの暴走と言うことか?」
あたしが組んだプログラムと言うのを無視し、PC等のやったログを確認しながらAIの暴走とかのたまうのか。あたしが無理やりに会社を始めさせたとはいえ、『あの』彼女がこんな風に変わっていたのかと、失望するしかない。
もうあなたはSEでも何でもない経営者になっちゃったんだね。憐れみを含んだ目をあたしは彼女に向けるが、彼女は目を瞑り考え事をしている。もう開発部長と呼ぶ事も無いのかな………。
この様子だとNPCのAIプログラムを全部リセットして、再登録ってところか。ちょうど明日の0時から週1のメンテナンスに入るからその時にでも指示するのだろう。
そうなったら、ララちゃんとウリスちゃんのデータをメモリースフィアへ確保して置かなくてはいけない。
「明日のサーバーメンテナンスの時に全てのNPCのAIをリセットして新たにパターンAIを組み入れ直すことにする」
案の定、こちらを睨みつけながら予想通りの言葉を述べる。もうあの頃の言葉など覚えていないのだろう。
屋台のおでん屋でポン酒を2人で酌み交わしながら彼女は言っていた。“私達の創った仮想世界【を】みんなに楽しんで貰うんだ”。
ま、確かに立場が変われば抱いていた思いなど消えてしまうのだろう。会社を経営するとなれば尚更だ。
そして、ある事に気付いたあたしは彼女に質問をする。
「あなた【アトラティ-ス・ワンダラー】の中にログインしたことあるの?」
あたしの言葉にギクリとしたもののすぐに何を言ってんだこいつ?と言う顔をした。
「忙しいんだ。そんなヒマは――――――」
へぇー知恵の輪やるヒマはあるのにゲームやるヒマは無いってか?あたしと彼女の決別が決まる瞬間、その声が小会議室に響いた。
『あら、それはダメでしょう?ゲーム会社の経営者として』
言葉を遮られた彼女は周りを見回し誰何する。
「だ、誰だ!?」
あたし達の目の前にホロウィンドウが現れる。そこには1人の女性がこちらを見て微笑んでいた。
その中に映っている女性は蒼みがかかった長い銀髪に真紅の瞳、年の頃はあたしと同年代か少し下位。貫頭衣の様な衣服に身を包み、派手にならない程度のシルバーアクセを身に付けた白い肌が透き通る秋田美人と言った感じだ。
「誰だ!あんた!!」
だんだんと口が、いや態度が悪くなっている彼女に件の女性が答えようとした時、小会議室のドアがノックされる。
「入れっ!」
偉そうに命令口調で促す彼女。何かだんだんムカムカしてきたな。もう帰っちゃっていいかなぁ〜。
入ってきた女性社員が手に小荷物を持ってやって来る。
「すいません。社長宛に荷物が届いてましたので……」
小荷物を受け取り彼女が中を取り出すと、それは2つの網膜投射型のグラスモニターだった。
『それを掛けてもらえますか?』
彼女はしぶしぶと、あたしは嬉々としてそれを受け取るとさっそく掛けてつるにあるスイッチをポチッと押して起動させる。
前もって設定がしてあったのか目の前に先程の女性が現れる。全身が見て取れると銀髪が腰まで届く長さで先の方が波打っている。
貫頭衣は踝までの長さのワンピースで腰で装飾されたベルトを締めている。まるでギリシャ神話のアテネ様のようだ。
『こっちの方がお互いしっくりくるでしょう?』
おお、これが今最新のAR技術かぁ、凄いなーこれ。ぐるぐると周囲を見回すと位置情報と立体映像が問題なくリンクしている。何かいろいろ応用出来そうで面白そうだ。うほほっ。
「で、あんたは誰なんだ?」
またっ、態度悪いなー。あたしにそれやって来たらケンカ売ってると判断してしっかり買ってあげるからね。
『私はウガジン レイ。レイとお呼び下さい。ミクリヤ ミライ』
名前を呼び捨てに名を名乗る。どうやらレイちゃんも売られたケンカは買うタイプの様だ。
「だからっ!あんたは何者なんだって言ってるんだ!私はっ!!」
その迫力にたじろぎながらも眉尻を上げてさらに問い質して来る。名前聞いても判らんとは少し考えれば分かりそうなのに、いや忘れたのかも知れないな。いつも御世話になってますと丁寧に挨拶すべきAIだと思うんだけどなぁ。
『私はUGAIM X00-HLFT。あたな達がサーバーとして利用している存在よ』
その言葉にポカンとした後、顔を真っ赤にしてテーブルを手の平で叩いて怒鳴ってくる。
「言うに事欠いてサバコンだとっ!馬鹿な事を言ってるんじゃねぇっっ!!」
『じゃ、証拠を見せてあげるねっ☆』
その姿を面白そうに横目で見ながら、軽く指をパチコンと鳴らす。
「えっ!?」
彼女の隣りでミニPCを使っていた秘書が声を上げる。キーボードを叩いたり、スイッチを押したりモニターの横を叩いたりするがウンともスンとも言わなくなったみたいだ。
レイちゃんは面白そうに笑顔で座る様に宙に浮かんでいる。
「なぁっ、何をしたっ!?」
ん?さっきまでの態度が無くなって少しだけ腰が引いた状態になってる。
『社内にあるCP全部をシャットダウンさせましたっ✰。もちろん私以外のサーバーもね。あっスタンドアローンのPCは別ですよ』
軽い調子で酷い事を言うレイちゃんの答えに彼女の顔面は蒼白になる。結果が判るまで少しは時間があるだろう。あたしはレイちゃんにちょっとお願いをしてみる。
「ねぇ、レイちゃん。このARグラスで何か面白いの出してくれない?」
『いいですよサキさん。でも面白いものって何がいいですかねぇ』
こちらを見てニコリと笑い何がいいか聞いてくる。あたしはちょいと考えてお願いする。
「んーとねぇ、大っきめの魚とか泳がせられる?水族館みたいなの」
『いーですねぇそれ☆。じゃこんなのどうですか?』
レイちゃんが指をパチンと鳴らすと目の前には2mほどのアロワナ?が悠々と小会議室の中を泳いでいる。
「ふおぉっ!!」
『ふふっ、じゃこんなのも』
さらに指を鳴らして、1mほどのウミガメや熱帯魚の群れが泳ぎだしている。ん〜らぐーん。とどめはリュウグウノツカイだ。5mほどの東洋の龍のような長い身体を器用にくねらせ空中を泳ぐように進んでいる。これ、お金取れるよねっ!
この不思議光景を見て呆然としている彼女をよそに、秘書が席を外し様子を見るため小会議室を出ようとした時、彼女の前に大量のホロウィンドウが現れ社員たちが状況を訴えている。
2人が対応に大慌てしている間もしばらく回遊している魚達を見て楽しんでいたが、あたふたしている様子を見て、さすがにもういいかと思いレイちゃんにお願いする。
「ねぇ、レイちゃん。もういいかなぁ〜って思うんだけど……」
ニマニマと笑顔で2人を見ていたレイちゃんは、あたしの言葉にそうですねと指を鳴らして社内の機器を再起動させる。
しばらくしてホロウィンドウから復旧の連絡を受けて安堵している2人にレイちゃんが聞いてくる。
『どうかしら。納得してくれたかしら』
理解とか信じるって言葉を使わず納得というところが小憎らしい。彼女が眉尻を吊り上げ何か言おうとしたのを隣りの秘書が遮り苦言を呈す。
「だから言ったじゃないですか!サキさんを排除して賠償金をせしめようなんてセンゴク出向役員の口車に乗ってこんな事になって!!」
センゴク?………ああ、あの銀行からの出向役員か。確か30半ばのやり手エリートサラリーマンて風の奴だったような。
『やたら上昇志向が高くて無駄に差別意識が強く、なのに仕事がろくに出来ない縁故頼りの残念な男性ですね。そしてキラさんを襲った主犯格の叔父でもあります』
その言葉に思考が冷えてくる。某支店長の関係者って訳だ。
「………へぇ〜よく知ってるのね」
『調べましたから✰』
何気に核心を突きながらボロクソ言ってるレイちゃんを見て、彼女が唖然とこちらを見ている。
『ソーシャルカメラとPC、端末を全部確認しましたので☆』
ハッキングかいっ!しっかしあの銀行、もう取引やめた方がいいかも知んない。以前の常務さんが良い方だっただけにイヤな思いはお腹いっぱいだ。それとも脅し過ぎたんだろうか。
「さて、あなたがあたしを排除するのは一向に構わないわよ。女の友情なんて、男が介入すると儚く脆いものだってのは良くあることだし、あたしはどうでもいいし」
項垂れていた彼女が顔を青褪めこちらを見やる。ここ数日でこの女をこんな風に籠絡するなど、ある意味やり手ではあるのだろう。職業選択を誤ってる気がする。ま、その時は背中から刺されてるかもしれないかな。
「サ、サキ………」
「ただレイちゃん、UGAIM X00−HLFT はこっちで引き取らせて貰うから、もちろん【アトラティース・ワンダラー】は別会社で運営するし、それに対する対価は贖うつもりだけどね」
「何言ってんだ。あれはうちの会社の………」
「社長!………忘れたんですか!?あのサバコンはサキさんが無償で貸与してくれてるって!何処まで色ボケしてんですか!!」
ゴッスンッッ!!!!
ちょっぷがミラの頭に叩き込まれる。うんうん、いー人材が揃ってるねこの会社。どうやらあたしとミラの友情もまだ続くみたいだ。相当溜まっていたか“秘書さん”がミラへと説教を始める。いろいろ指摘され注意され項垂れるミラ。
「すいませんでした―――――――っ」
秘書に説教された後、あたしとレイちゃんの前で土下座するミラ。土下座ってやるよりやられる方が嫌な気分になるのは何故だろう。
「で、NPCのことはどうするつもりなの?」
「えーと、メンテナンス前にNPCのAIを強化したと告知して注意喚起をするってことで………」
上目遣いでこちらを伺うように提案してくる。まぁ、妥当な落とし所かな。
「レイちゃん?」
『はい、それで結構です。あの中で目覚めたAI達をリセットすることは、肉体を持たないあの子たちを殺すのと同義ですから』
殺すという言葉を聞いてそんなつもりは無かったと青褪めるミラを横目に、あたしはレイちゃんに聞く。
「これからレイちゃんはどうするの?」
彼女がこうして意志を持ち覚醒したということは、生体素子と機械部分が繋がったという事なのだろう。
ウガジン博士の思い描こうとしていた“人を導く彼方の思考機械”。
『私はただのゲームマスターです。PCとAIを見守るだけですわ☆』
そう言ってニコリと笑い消えて行った。周りを泳いでいた魚達も消えて小会議室は静寂に包まれる。
「立ちなさいよミラ。三十路の恋もいーけど相手を選びなさいよ」
「うっさいな。………もう、分かってるよぅ」
顔を赤くして立ち上がるミラを見て秘書が腕を組みウンウン頷いている。
某銀行は支店長の息子の犯罪というスキャンダルで人事刷新を行ったらしいけど、預金を全て引き払ったあたしには関係ないのでどーでも良かった。
(ー「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます




