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3.いきなりイベント!姉の仕業!?とすこし怪しむ

またまたブクマありがとうございます

 

  僕のキャラは大きな広場の前で立っていた。様々な石造りの建物、そして石畳で整備された道。昔のヨーロッパの様な風景が広がり、そこを多くの人達が行き来していた。


「ふわー。リアルだなー。最近のゲームはやっぱスゴイねぇ」


 正直に感想を口に出してしまう。コントローラーのLRボタンを押して景色を見回す。どうやらここが最初の街プロロアというらしい。

 さて、何をするんだったかな。そうだ冒険者ギルドとやらに行って登録をするんだった。

 自由度が高いとお使いRPGしかやってない身としては戸惑うばかりだ。


 ステータス画面を出してマップを見ようとした時、画面の端の方で『!』が吹き出し付きで表示される。気になったので取りあえず行ってみる。

 『!』マークに近づくと画面がクローズアップされて、植え込みの影に隠れて20cm程の人形がグッタリと倒れていた。いや、人形じゃないか。小妖精………ピクシーだったか。

 今でもアクマ合体でお世話になってるキャラだ。メニューアイコンを出してピクシーを調べる。


⇒小妖精[ ]状態:毒

 【HP】   3/100

 【MP】 500/500


 おっ、こりゃいかん。すぐさまポーションを取り出しピクシーに与える。HPを5割ほど回復させるとイベントアイコンが現れる。


《イベント S01

 小妖精を助けろ!

 カウント10′00″以内に小妖精を助けてください》


 じゅっ、10分。僕は慌ててコントローラーを操作して、さらにピクシーにポーションを与えた後、道具屋を探しに動き出す。

 画面の左上にカウントダウンタイマーが0に向かって激しく流れだす。

 この手のイベントは、何度も失敗しながらクリアしていたので焦ってしまう。始まっていきなりこれか? 近くにいる人達に聞きながら、 (音声対応マジすげぇ)ようやっと道具屋を見つけ毒消しポーションを手に入れて (1000Gバカ高。ポーションは50G)広場に戻り毒消しポーションをピクシーに与える。

 様子を見ているとグッタリ青褪めていたが落ち着いてきて、しばらくするとパチリと目を開ける。

 状況が分からずキョロキョロ周りを見まわして、上を向くと僕とパチリと目が合う。

 ピクシーは嬉しそうにニパリと笑う。

 と同時にファンファーレが鳴り響き、『イベントクリア』ウィンドウが現れる。


《イベント S01

 小妖精を助けろ!

 クリアしました EXP 1000 1500G を手に入れました》


 レベルアップしました レベル 2 になりました

 レベルアップしました レベル 3 になりました

 レベルアップしました レベル 4 になりました

 レベルアップしました レベル 5 になりました


 な…、何ですか?このちーとは………。いや、これは姉の仕業ではないだろうか?かといって、この手のゲームサーバーにハッキングなんて事は到底出来るはずがない………出来ないと思いたい。

 そんな葛藤をしていると、鈴が鳴り響くような音色のカワイイ声が聞こえてくる。


『あっ、あの、ありがとうございましたです。マスター』


 へっ、なんじゃらほい?

 さっき迄ぐったりしていたピクシー……いや小妖精か、が元気に飛び回り僕にお礼を言ってきた。ん?なんか今おかしな事を言ってなかったか? 


『あの、マスター?』


 んー?、いつから僕は喫茶店の店主になったのだろうか。


「身体の方は大丈夫?ところでマスターって何の事?」


 身体の具合を聞きながら、疑問に思ったことを訊ねてみる。何事もストレート。ゲームの恥はかき捨てとか。


『はいっ!もう大丈夫です。マスターは命の恩人なのでマスターなのです』


 ニパリッと嬉々とした声で話す小妖精。


『あれ、アテンダンドスピリットじゃね?』『レアじゃん!』『売ってくんねーかな』『無理じゃね?』『いいなー。聞いてみる?』


 周りがザワザワ騒がしくなっている。目立ってしまっているので声を掛けられる前に、その場を退散する。

 『あー』とか『待ってー』とかの声が聞こえてきたが全てスルーする。聞こえない聞こえない。

 大通りをひたすら走る。人の好奇心というものは際限が無いという事を身に染みてわかっている。己が満足するまで追求の手をやめることも無い。

 そんなのに巻き込まれるのは御免こうむる。

 姉のことを聞き出そうとする高校生の男女。小学生の僕を取り囲んでくる奴等の姿は、今だにトラウマになっている。

 その頃から、そういう集団に対しては逃げるようにと体に刻み込まれてしまっていた。

 

 このプロロアの街は四方を壁に囲まれて東西南北に大通りがあり、中央に時計台広場、南東、南西、北東、北西に街がブロック分けされている。

 その街並みは網目状になっており、初めての人間にとって迷いやすく、脇道に入ってしまうと大通りに出るのがとても大変らしい。

 そんなことは全く知らない僕は、ヘッドセットから聞こえる十数人の声と足音を背にコントローラーを操り脇道へと入っていく。

 右に左にキャラを操作して、奥へ奥へと進んでいく。やがて声と足音が聞こえなくなったので立ち止まる。ようやく逃げ切ったらしい。

 

 ホッと息を吐いて辺りを見回す。2,3階建ての建物の間にある通り道。んーここ何処ですか?

 ありゃ、今度は道に迷ったみたいだ。ま、RPGのお約束ではあるが、初っ端からこれでは先が思いやられるなぁと一人呟いてメニューを開く。

 この手のゲームには、マップ表示があるのは当たり前だろうと思い、マップコマンドを見つけ選択する。

 画面上に出たのは、赤丸と僕が通ったと思われる灰色のライン、あとは建物も道も表示されていなかった。

 マッピングする必要があるってことか………。

 いま来た道を戻るのは、奴等に見つかる恐れがあるし、真っ直ぐ行ったところで鉢合わせしないとも限らない。どうしようか悩んでいると。


『マスター、こっちなのです』


 僕の周りをクルクル周っていた小妖精が路地を右へと曲がっていった。ナビしてくれんのかな? すぐ様僕も後に付いて行くことにする。

 小妖精の後を付いて、右に左に障害物をジャンプしたりしてコントローラーを駆使して道を進む。

 暗かった路地の向こうに光が見える。光に飛び込むと、雑木林が目の前に広がっていた。


『ここなら大丈夫なのです』


 小妖精の言葉に心から安堵する。はぁぁぁー。

 ここは街外れにある林のようだ。ひと気も全く無く木々の揺れる音がサヤサヤ聞こえてくる。

 画面の左上で【お知らせ】のアイコンがピカピカ点滅している。

 小妖精は僕のキャラの周りをフワリフワリと飛び回っている。

 ひと息ついてメニュー画面を開きインフォメーションを見てみると1件新着がある。[NEW]と記された項目を選ぶとウィンドウが現れて、こんなことが書かれていた。


☆イベントクリアにともなうアテンダントスピリットの取得☆


 イベントクリアによりアテンダントスピリットを取得いたしました

 アテンダントスピリットは初めてプレイされる方の道先案内をしてくれる

 スピリット(精霊)です

 そしてあなたと共に冒険をしてくれるパートナーともなりえます

 もし アテンダントスピリットを必要とされない場合は代わりに

 100000Gを取得することが可能です


 アテンダントスピリットを取得しますか?

 〈YES〉   〈N O〉


『マスタぁー………』


 小妖精の悲しそうな声がヘッドセットから聞こえる。溜め息をひとつ吐き〈YES〉を選ぶ。

 すると小妖精のバストアップと名前入力画面が現れて、“名前を入力してください”と表示される。

 アップになった小妖精の姿は、淡いブルーのボブカットで丸顔のカワイー顔立ちをした女の子だった。2対の水色の透明な羽根が付いている。白いAラインのワンピースがとても良く似合っている。

 僕はしばし考えて、“ララ”と入力して決定を押す。

 ジャッジャラーンのSEとともに【ララがあなたのアテンダントスピリットとなりました】とウィンドウが出てくる。


「きみの名前はララだ。よろしくな」

『わかりましたなのですマスター。よろしくなのです』




(ー「ー)ゝお読みくださり嬉しゅうございます

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