237.ロリのじゃは健在
ブクマ2000件突破という事で急遽?更新します
(T人T)
「………おぉー………」
星霊大樹にばかり気を取られたいたんだけど、その根元の方を見てみると他の街とは違った形態を為しているのに気付いた。
街の周囲の壁は生垣というのが、まずはの第1印象である。
今まで見て来た街の壁は石で出来たものだったんだけど、このエルフの街は緑の壁に覆われていたのだ。
そう。どこぞの植木職人が丁寧に整えた様な、そんな印象を持たされるものだ。
高さ的には他の街と似た様なものでそれなりの高さがあるんだけど、やっぱあの星霊大樹と比べてしまうとちょっとばかり錯覚してしまう程度のものだからだけどね。
アパートのご近所さんにもなんとも立派な生垣があるとこがあって、そこを通る度僕はなんか凄いなぁーって感嘆したものである。
そのご近所さんの何百倍もある規模と素晴らしさのそれであったけど、それでも全部星霊大樹に意識は持っていかれてしまった。
すげーな。星霊大樹………。
天辺にある星のオブジェは、クルクルと回転しながら放っていて何とも派手ではあった。(キランキララって感じ。パトカーですか、そうですか………)
何とも派手だなぁーと感じつつ、僕達は街道をエルフの街へと歩を進めて行ったのだった。
近づけば近づく程、やっぱり緑の壁はその威容さを感じる事ができた。………やっぱでっか。
それにも増して、あの樹はもっとちょーでかかった。
エルフの街の門前まで来ると樹が大きすぎて天辺は全然見えなくなっていた。
「ふむ、………君は未踏破者であるか」
「は?」
「なのです!よろしくなのです!」
「………まずは長老様の元へと向かうがいい」
門番のエルフの人がそう言うと、目の前にホロウィンドウが出てきて目標の指示が表示される。
「……………」
どう見ても星霊大樹へ向かう道標だったりした。
「まじかー………」
「けっこ―そんなものなのですマスター。まずは長老様の元へとレッツゴーなのです!」
ララがビシシっとその大通りを差し示す。
「グッ!」
「れつご」
「チャチャチャ!」
僕はテンション高めのそんなララ達の後について、エルフの街へと入ったのだった。
「ふへ〜………ははぁ〜………ふぅん〜………」
僕は星霊大樹へと続く大通りを進みながら、お上りさんよろしくキョロキョロと周りを見渡していた。
このエルフの街は星霊大樹を中心に東西南北に大通りがありその通りの間に中くらいの通りがあって、そこに等間隔で4つの同心円が通りを作っていた。
上から見れば米の通りに4重丸の通りがそれに重なっているといった感じだろうか。まぁベタではあるかな。
そんで建物と言えばそのほとんど全てが木製のもので、一部に石材を組んだものがあるぐらいだ。
中には一本の樹をくり抜いて作った様なものがあったり、樹々がその中を貫くように飛び出ている建物とかがあったりだ。
「………まさにファンタジーだねぇ」
長老様がいるという場所へと向かう道すがら、僕はシミジミ〜と周囲を見ながら独り言ちる。
「あっ、そうなのです!せっかくなのでアレを作って欲しいのです!!」
僕がそんな風に街の感想をここの中で諳んじてると、ララがいきなり声を上げ要望を出して来た。
「へ?アレぇ?」
「はいなのです!アレなのです!!」
「ッ!グッグッグっ!!」「いかどっ!!」」「チャア?」
………いや、さすがに僕はエスパ―じゃ無いんで、アレと言われても何の事かは分からな―――あ、もしかして………。
「えっと、ララ。もしかしてカレーの事かな?」
少しばかり恐る恐るとララに訊ねると、ララはむふーんと鼻息を荒くさせながらコクコク頷いて同意する。
「やっと!やぁ〜〜〜〜とっ!マスターのカレーが食べれるのですっ!!」
ララが感慨深げに拳を握り締めて声を上げた。
………そういやカレーって、ここじゃ作ったってなかったかな?
たしかに現実だとけっこ〜頻繁に作ってた気がするんだけども、ゲームじゃ作ってなかったか………。
とは言っても野菜やら肉なんかはそれなりにあるけど、カレーの素になるものなんかは今迄見当たらなかったと思う。
今のところあのスパイスパイダーのドロップだけだったりなので、少々量的に心許ないものがあるのが実情だ。
「ララ………気持ちは分かるけど、量的にちょ〜っと無理があると思うんだけど………?」
作る事に関しては否やではないんだけど、ドロップアイテムの量を鑑みるとちょっとどころかかなり足りないとしか思えないのだ。
「マスターそれなら問題ないのです!あとでお店を巡ってカレーパゥダを探してみればいいのです!!」
「あっ」
僕の胸の内を読んだかの様に、ララがそんな提案をして来た。……盲点だった。………はぁ敵わないなぁ、ほんと。
あのネタモンスのエリアを考えてみれば、ここら辺にも需要は出ている事は自明の理ってやつだろう。
実際プロロアの街のヒィデーオ食堂では、カレースープなるものがあったんだから。
「うん、そーだね。もしアレが売ってたら、ソレを買って作ってみてもいいかもだね」
「なのです!」
「グッグッグ!」
「れりご」
「チャ!!」
食に関する追及は僕よりもかなりのものである4人は、そんな力強い言葉を発した。
まぁ………いいんだけどね。
とまぁやる事は色々と出て来たものの、まずは長老様への面会が先だったりする………のだ。
門番さんから教えて貰った長老さんのその場所は、まさにその星霊大樹の側だったのだ。
南門から入りそのまま大通りを真っ直ぐに進んで行くとその大樹の威容さ、巨さを実感できたのだった。
「ふぅお………でっかいなぁ〜」
「でか過ぎなのです」
「グゥ〜グッ!」
「でっか」
「チャア〜アッ!」
まだかなりの距離があるにも拘らず、その巨大さだ。側に行ったのならばどれだけのものなのやら、
僕はそんな感嘆混じりの息を吐き出しながら、大通りを進んで行った。
そして星霊大樹の元へと到着する。
「おおー………」
いやまぁ、近付く毎に分かっちゃいたけど、想像したよりでっかい。でかかった。
目の前にあるのは、ただただ巨大な柱?があるだけだ。
その幹幅は50m近くあり、葉がある枝の先は200m、いや、300mはあるかもだ。
そしてその幹から伸びている枝葉は、その3倍を超える長さで広がっていて地面に影を作っていた。
「………何なんなのですこれ?なのです」
「………ほんと、何なんだろねこれ」
もはやこれは呆れるしかないでしょ―って感じのものだ。
今迄もたしかに現実と隔絶したものが一杯あったんだけど、さすがにこればかりは勝手が違うって感じだった。
もちろんデヴィテスの別荘なんかも凄いとは思ったけど、スケール的にはこっちに軍配が上がる。
その星霊大樹への往来を遮るように、蔦が絡んだ高さ3m程の石垣の壁が街との境界をなしていた。
そして大通りに面した部分だけ石垣がなく空間が広がっていて、その両端に警備と思しき2人のエルフ族の男性が立っている。
何気に美形なのは、いわゆるお約束なのかなぁ。
とりあえず門番さんに言われた通りに、こちらの警備さんへと話をしてみる事にする。
「あのーすみまさん………」
「うむ、未踏破のものであるな。よく来られた。中に入って長老よりこれからの事について話を聞くがいい。入りなさい」
僕が何かを言う前に、警備さんはそれを察した様に話しかけて来て指差して行く先を指示して来る。
その指の先には、またアレな建物が建っていた。
「………ん〜パル〇ノン?神殿かなぁ………」
この手のファンタジーもので、ありとあらゆる所でお出ましする三角屋根で石柱がいくつも立ち並ぶ荘厳漂う建造物。
他にも星霊大樹の根元にはたくさんの建物がたっているんだけど、ここだけはやたらと大きく立派なので目を惹いていた。
「マスター行くのですっ!」
「うん。あ」
「れつご」
「チャ!」
ララが声を掛けてきて僕の返事を待たずにピューっと飛んで行き、ウリスケがそれに続いて駆けて行く。
アトリが頭の上で号令を発し、ルリが左肩に身体を預けてそれに応じる。
………あぁ、へーわだなぁ。
現実であの3人のお替りコールに少しばかり辟易していた身としては、何とものほほ〜んな気分になって来るのだ。
おそらくはゲームも僕の生活の一部になりつつあるんだろうなぁ、なんて事を考えながら建物へ入り柱の列を歩いて行くと両開きの扉が目に入って来た。
その脇にはやはりエルフ族の警備さんが控えていた。
「急ぎなさい。まもなく長老のお話が始まる」
相も変わらずの美形さん(堅マッチョ)が僕を見てそんな事を言って来る。
「は?」
僕が何の事かと訊ねる前に、警備さんが扉を開けて中へ入る様に促した。
それに消化不良の気分のまま、渋々と従い中へと入る。
「……!」
中は高校の教室ほどの広さで、そこにはたくさんのエルフ族のPCがある1点へと身体と視線を向けていた。
「うむ!よく来たのじゃ。未踏破の同朋の者達よ!歓迎するのじゃ!」
皆が注目してるその人物は、一段高くなった台座の上に立ってそう言った。
のじゃ?
人垣の合間から見えたのは、薄緑のローブを纏った小さいおじいさん?だった。
腰まで届く銀髪にぴょんと横に伸びる笹葉耳。前髪に隠れて目は見えない。
口元も髭で覆われてるので分からない。
右手にはその背丈を超える木製のいかにもな杖を手にしてる。
「………あれが長老さんなのかな?」
「なのです」
「ちっさ」
「チャ?」
僕の呟きにララが答え、ウリスケはPC達の足の間から前脚を組んで頷いている。(目立ちそうなので2本足で立つのはやめて欲しい)
声は老人にしては少しばかり高い気がしないでもないけど、まぁお爺さんである事には違いない。
「ではさっそくなのじゃ。我等エルフの試練について説明するのじゃ」
おー………エルフの試練。僕は思わず喉をコクリと鳴らす。
だけど目の前の他のPC達は、特に身構える事なく聞いていた。
あんれ?他の皆は試練が何か知ってるのかな?
僕は長々とエルフの街の歴史を語る長老さんの話を聞き流しながら、そんな事を考えていた。
「うむ、それでは今回の試練の内容なのじゃ」
『『『『……………!!』』』』
「?」
長老さんがそういった瞬間、PC達の弛んでいた空気がピリッと引き締まった。何ですか?これ………。
「うむ、今回は木登り………すなわち星霊大樹の登攀なのじゃ!」
『『『『うぉおおおおっっ!!』』』』
「??、!?」
とうはん………!登攀か、えっ!?あれ登るん?
目の前ではPC達がラッキーとか楽に行けるなとか、互いに言い合っている。
どうやら試練とやらにはいろんなパターンがあって、その都度難易度が変化しているんだと会話を耳にしながら察する事ができた。
「木登りの他には、星霊大樹にいる蟲の討伐とか素材の収集なんかがあるのです」
相変わらずの読心スペックの高いララが、僕の疑問に答えてくれる。………もしかして僕の表情って分かり易い?
………気にし過ぎ、だよね?
「ではこれより大樹さまへの出入りをここにおる皆に対して許可するのじゃ。ちなみに悪さをする者には、それなりの罰があるので注意するのじゃ!これで話は終わりなのじゃ」
長老さんが杖でコココンと床を叩くと、ホロウィンドウが現れ“星霊大樹への出入許可がえられました”と表示される。
それを確認したPC達が、一斉に後ろを振り向く。あっまずい、ここにいると巻き込まれそうだ。
「ララ、隅っこに移動しよ」
「なのです」
「グッ!」
「zzz」
「チャ―ムニャ〜」
ちょうど扉の真ん前にいたので、慌ててこそこそしながら部屋の隅っこへと移動する。(ちなみにアトリとルリは長老さんの話の途中から寝てたりする)
移動を終えた瞬間、PC達が我先にと雪崩打つように扉を開けてドドドと走り去って行った。
あー、まじやばかった。危うく巻き込まれるとこだった。
そしてPC達がいなくなったので、僕達も部屋を出ようとしたところに声を掛けられる。
「お主、ちょっと待つのじゃ!」
ん?何かあったのかなぁと振り返ると、長老さんがちとちととこっちに向かってやって来るのが目に入って来た。
「その従魔達は―――あっ」
歩きながら何かを言おうとしていた長老さんが、ローブの裾を踏んでしまってそのままビタンっ!と前のめりに倒れてしまう。うわぁ〜いたそー。側近の人達があっ!とか声を上げる。
それと同時に頭からひゅーんと銀色の何かが飛んでぺひゃんと僕の足元へと落ちる。
「づら?」
「ヅラなのです」
「グッグッグッ!」
「zzz………チャァ」
アトリがその物体の正体を呟き、ララとウリスケがそれに追随する。ルリはまだお眠の様だ。
「あたたた………いたいのじゃ〜」
長老さんがムクリと鼻を手で押さえながら起き上がる。と同時に口元の髭がポロリと落ちた。
「えぇっ?ショビッツさんっ!?」
思わずその姿を見て口走ってしまったけど、あれ?ショビッツさんにとても良く似てるけど………違った。
ショビッツさんと比べると、長老さんの方がやや幼い感じがする。
「ぬほっお!?お、お主大伯母上様の事をどうして知っているのじゃっ!?」
長老さんが目を見開きそんな問い掛けをして来た。
おおおばうえさま………?
「………ロリのじゃなのです。ショビッツさんはやっぱりロリババァだったのです」
………ララは何気に辛辣だった。
(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます
ブクマありがとうございます!感謝です!(T△T)ゞ
評価Ptありがとうございます!超うれしーです! Σ(T人T)
おかげさまでブクマが2000件を突破しました
これもひとえに読んで下さる皆様のおかげでございます
更に頑張って書いていきたいと思います
このような時期ですので、暇潰しの一助になれば幸いです
ではこれからも良ければよろしくお願いいたします




