236.ほしつき、ちょーおっきいもみのきっぽいもの
何とかできましたので更新します(けして半分書き上がったからでは………)
………はい、装備できちゃいました。(まじか〜………)
右手に出刃包丁、左手に菜切り包丁。心に戸惑い。
いや、どう見ても危ない人的な?
「さすがにマスターの包丁さばきは絶品なのです!」
「グッグッグ!」
「チャ、ア?」
「……………」
結果を見れば手甲も弓もこの街道では相性がよろしくなく、結局いま僕は包丁を手にモンスターを倒していったのだった。
ここまでは弓や手甲でモンスターを倒していたんだけど、やっぱりドロップアイテムがどうにもなんとも残念なものばかりだったのだ。
崩れたとか、砕けたとか、穴が開いたとか。
いやねぇ、ゲームなんだからそこら辺はちょっとばかりでも配慮していただきたいという気持ちが僕にはあるんだけど、そこら辺は認識の違いというかゲーム内での仕様と言われればしょーがないとしか言いようがないかも知れない。(レトロゲームであれば容量の関係で、そこまで細かく設定は成されてないと思うのだ)
だけど現代のゲームは容量を気にする事もなく、製作者が思い描いたものが出来る限り可能となっている。(のようだ。ってか他のゲームって僕知らないし)
制約と制限がない世界で人がどれだけその先へと進めるのかは分からないけど、人とAIが手を携えた状態でどこまでその先へと進み、そしてどれだけの物が出来上がるのかは僕もそして余人も知る由はないだろう。(今のところは)
であらばこそ、臨機応変な応用が効いたりしたんだと思うのだ。
普通のゲームでならばとかく頑迷だ。融通が利かない、その範疇を越えるとどうしようもなくなる。
もーなんで!?ちくそー!!ってな気分になったりする。
まぁそこで、ならそっちに合わせてやろうじゃんか!ってなる奴がゲームを楽しめる人間だったりするんだけど。(閑話休題)
だから今現在、なんともこんな応用が効いたりしていたりするのだ。
すなわち、弓や手甲で攻撃するのではなく、それ以外―――食材としての対処という形での武器を使う事によって。
そしてその僕の予想に狙い過たずドロップアイテムは、そのものの状態の野菜の形を成していた。
まぁ第3者から見たらどう見ても危ない人にしか見えないんだけど。(両手に包丁を持った人間って………)
ってか、包丁持って戦うってどうにもシュールだなぁと思なわくは無いんだけど、効率を考えると選択肢のない僕であった。
いや、ほんと気持ちいいぐらいスパスパ切れてくれるんで、めっちゃ楽でした。
特に面倒もなく街道を進んで行くと、それにつれて次第に食材が変化していった。
ニンジンから始まって、ポテピッグ、ピーマントヒヒー、トマントロール、キューカンバット、レタスネーク、リークトレンタ、バナンナモンキ、ピィチモンガー、パパイヤンガース等々。
エルフの街に近付くにつれドロップアイテムは野菜から果物へと変わっていったのだった。おぅふ(駄洒落ですか、そうですか)。
「甘くて美味し〜〜〜〜のです!」
「グッグッグ―――――っ!!」
「すぅい〜〜〜と♪」
「チャ!チャチャッ!!」
ララ達に請われて食べた果物は甘くてめっちゃじゅ〜〜しぃであった。(うまうま〜)
「はぐはぐ、でもマスター。アレはびっくりだったのです」
「………うん、まさかアレが素だったなんてねぇ………」
そう偶々だったのか、いきなり上方からキチチィッ!っと襲って来た50cm大のおっきな蜘蛛―――スパイスパイダーを手に持った包丁ですぱりと分断した時に、出たドロップアイテムがこれだった。
カレーパゥダー:ありとあらゆる香辛料を配合したひと品 Lv24 ☆☆☆
ある民族が欲してやまない調味料
様々なアレンジで料理を作る事が出来る逸品
すごいぞ!伝説の料理人が作り上げた品を
いま君の元へ!
(HP+0 MP+X(PCのステータスで上下する)
ふぉお………。なにやらなんともレアなものだったみたいだ。
スパイスパイダーがアレなのはとりあえず考えない事にする。するったらする。
それよりある民族とか伝説の料理人って誰なんですか!?とか思わず突っ込みたくなるところだ。
まぁそれよりなにより、蜘蛛かよ〜って気分だった。
だからこの一瞬、このスパイスパイダーを狩りに街道を外れようかと考えてしまったのはここだけの話だ。
結局そのまま街道を進んで行ったんだけどね。
そして進んで行くと木々が途切れ、やがて森を抜ける事が出来たのだった。
「マスター、あれがエルフの街なのです」
「ふおぉ…………でっか」
「グゥ………」
「めりーくりすま」
「チャチャチャッ!」
食材街道の樹々を抜けた先には、高く広がる青空とまぁ何とも目立つモノが目に入って来た。
そしてララの言葉に僕は目を瞠りそれを見上げる。
第1印象はとにかくでかい、大っきい。巨大な1本の樹木。
そしてその天辺にはキラキランと光り輝く星型のオブジェ。
「なのです。あれが星霊大樹なのです」
「………クリスマスツリーですか。ですかっ!?」
そう言葉が出てしまったとしても、無理はないと思う。思います……はい。
*
満足した面持ちのまま滞在先のホテルのスゥイートに戻ると、マネジメントプロダクターのソーウェイズが冷めた様相でこちらを見ていた。
「シア。君は一体どこで何をしてたんですか?今日の午後の打ち合わせをすっぽかして」
わたしの歌を見出し、ここまでサポートしてきたアングロサクソン系の男はそう説教して来た。
だが、ラーメンにギョーザ、そしてあのカレーを食してきた今のわたしは、無敵と言っていい。いいのだっ!!
そもそも打ち合わせなどとはいっても、この国の政治屋とかどこぞの有力企業の重鎮との会談が主なものなのだ。
それを打ち合わせなどと称して予定を組んだソーウェイズに対する意趣返しもあって、打ち合わせという馬鹿会合を無視したのだった。けっ。
だからわたしはオールウェルズへと反論する。
「お前はそれが本当に必要だと思ったのか?本当に!」
「…………」
ソーウェイズは私の言葉に二の句を継げず、押し黙ってしまう。
わたしの性質や性格を知悉してるこいつが、理解できない筈がないのだから。
たとえこの国の重鎮とやらが何か文句を言ったとしても、わたし自身にとって何の痛痒も感じる事は無いのだ。
まぁそんなソーウェイズの姑息な企みのおかげで、旧知の友人の元へ赴き望外なる人物と見えたと思えば、それも無駄とも言えない。
しかしなんとも不可思議な人間だった。
艶やかで煌びやかな金に光る茶髪を緩くくって目元を前髪で隠したその人物は、何とも表現に困る印象の人間だった。
なんとも目が離せないのに、ふわんとその意識を何故か逸らしてしまう。最初に見た第1印象はそんなものだった。
意趣返しのひま潰しで来た知人のアキラに案内された連れて来られたその場所には、人が乗り込めるだろう巨大な人形。それの周囲に幾人もの人間が集まり何か作業をしていた。
だが、それよりもわたしのその視線が向かったのは、室内の隅から匂う何とも言えないもんであった。はふぅん………。
………ラーメン。………ギョーザぁ。………そして、カレー。いや、カツカレ−。
「あぁ………あふ」
「っ!?」
あれを思い出すだけで自身の意識が蕩けそうな感覚へと陥る気がしてしまう。
あの類稀なる料理人。わたしとて在りとあらゆる美食をこの立場で味わって来た自負があるにも拘らず、なおその味力に酔いしれてしまった。
しかも本業はアキラ達が傅かせているベリーベリープリティーラビッツの製作者その人だとか。
いきなり彼の都合も考えずに、こちらの要望を提示したのは少しばかり失敗だった。(だがそれも仕方ないと思うのだ)
であればこそ、まずは彼の為人を知る必要があるのだ。なれば―――
「まぁ………。今回は事なきを得たが、次は必ず会って貰わないと今後の運営に支障が出るかもしれない。そうなれば君も困るだろう?」
ソーウェルズが肩を竦めながら、わたしを諭すようにそんな事を言って来た。
………まぁ多少の我慢や辛抱は、この島国で歌う為には致し方ないのかもしれないが、わたしに何のメリットがないのはなんとも癪である。
なので―――
「………そうねぇ。なら条件があるわ。ある人物についてあらゆる事柄を調査してくれたなら、それに付き合って上げる」
「?ある人物?君が興味をひく人物とは一体誰だい?」
ソーデウェルズの興味津々に光らせるその瞳を見ながら、ニヤリと口元を歪ませて答える。
「ええ、それは―――」
そしてその調査によってではないが、わたしはとあるVRMMOゲームをプレイする事になるのだった。
(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます
ブクマありがとうございます!感謝です! (T△T)ゞ
評価Ptありがとうございます!ガンガリマス! (T人T)
PC修理に出すのでまた時間が空くかもです<(_ _)>(WiFiでつなぐと熱暴走の上電源ダウン………Orz)




