16.ギョーザを焼いてラーメンを作る
一部読み難いと思いますがご容赦を
結局ラーメンとギョーザを作って食べておわた
ptとブクマありがとうございます
ギョーザを焼くためにキッチンに行こうとすると、姉がさらに注文を追加する。
「あとラーメンもお願い!ライス付で!!」
「何味?」
「ミソバタ――――ッ☆」
冷蔵庫からギョーザー取り出し解凍ルームへ移す。全部食べそうな雰囲気だけど、とりあえず聞いてみる。
「ギョーザは何個食べる?」
「あるだけ――――――☆」
だよねぇー。
麺も具も材料は全然ないので、買い出しに行かなければならない。
「ちょっとスーパーまで行ってくるから」
「わかったーっ。あとついでにビールもお願い。ハイファイの黒生ぁ」
「りょーかい。っと、いかんいかん」
リビングに戻りヘッドセットを掴みララに声をかける。
「ララ。用が出来たから一旦ログアウトするな」
『あ、でもマスター。初級クエストの途中なのです』
「っそっか。じゃクエスト終わらして………」
「いいよーキラくん。あたしが続きやっとくよっ」
姉がソファーに寝転がりながらVサインを目元にビシッ。か、かわいくないから。
「んじゃ、ヨロシク。ララ出掛けて来るからちょっと頼む」
『はいなのです。マスター』
キッチンへ戻り出掛ける前に大きめの鍋に水を張り火をつける。そして、冷蔵庫にストックしていたスープを取り出してマグカップに具とともに注いでレンジへ入れスタート。
「アルデ。火の番を頼む。あとスープが温まったらサキちゃんに知らせてほしい」
『かしこまりました』
僕は何を買うか考えながら、姉宅を出てスーパーへ向かう。
*
キラくんが出掛けたので、私はゲームを始めようとコントローラーを握る。とその時、謎のひとつがあっさり解決した。
「な~る。これを使ってた訳だ」
コントローラーの中央には、オートアクションプレイ用のボタン類がついていた。
「これで作業させてギョーザとか作ってたんだぁ」
さっそく縦斬り横斬りとかを適当に操作して登録してからオートアクションプレイを起動させる。プレイキャラが木人形相手に斧を振るい始める。
ヘッドセットを首に引っ掛けて、私はララちゃんに話を聞くことにする。
「初めましてララちゃん――――」
『はいなのです』
突然アップになったララちゃんを見てビクってなった。ビックリした。心臓にいくない。
*
たてたてよこよこたてよこよこ。おれはきにんぎょうにむかってひたすらおのをふるう。
たてたてよこよこたてよこよこ。みているだけでもたのしいものはやはりたのしいものだとじっかんする。じっかんのいみもいしきもでーたにはないはずなのにわきあがる。
たてたてよこよこたてよこよこ。ただきにんぎょうにあたえるだめーじがおなじじゃないのがすごくきになる。
18、16,15,15,17,14,12。おなじようにふっているのにだめーじがちがう。なぜだ。きになる。
いや、おなじでない。とうろくされたうごきにちがいがある。なにがちがう。たいみんぐ、てんぽ、りずむ?ん、からだがうごく。うごくならやってみよう。
おれのたいみんぐで、おれのりずむで、おれのてんぽで。
たて・たて・よこ・よこ・たて・よこ・よこ。だめだちがう。
たて・たて・・よこ・よこ・・たて・・よこ・よこ。ちかい。
たて・・よこ・よこ・・たて・・たて・・よこ・よこ。だいぶいい。
たて・・よこ・よこ・・たて・・よこ・よこ・よこ。これだ。
りずむとてんぽをかえ、たいみんぐときりかたをかえ、おれはおのをふりつづける。
20、15、15、20、15、15、15。だめーじがそろう。
20、15、15,20、15、15、15。ふふん、きぶんがいいぞ。
ピロコリン[【斧】が Lv4 に なりました]
すきるLvがあがる。めっせーじはおのをふっているのですぐきえる。
だんだんたのしくなってきたので、ながめにこうげきをつづけることにする。
たて・・よこ・よこ・・たて・・よこ・よこ・よこ・・たて・・よこ・よこ。10れんげき。すこしばかりてんぽとたいみんぐがずれる。しゅうせいしながら10れんげきをくりかえす。
22、17、17、22、17、17、17,22,17,17。ん、ばっちりだ。
しばらくくりかえすと、またSEがなる。すきるLvがあがったのだろう。
ピロコリン[【斧】が Lv7 に なりました]
[〈コンビネーションアーツ〉 “アクストルネド”を 取得しました]
なにかあーつをてにいれたみたいだ。
『ン〜〜美味しいー』『マスターはお料理上手なのです』あいぼうとだれかのこえがきこえる。いつものにんげんではないようだ。そんなこえをききながらつづけざまに10れんげきをきにんぎょうへくりだす。
24、19、19、24、19、19、19、24、19、19、10れんげきのあとおのがあおくてんめつしだす。あれはすかさずたてきりをきにんぎょうへくらわせる。
「“アクストルネド”」
あーつをさけぶとどうじにおのがあたって、きにんぎょうをちゅうしんにたつまきがはっせいしてまきあがる。
きにんぎょうはてんじょうまでふきとばされてぶつかりじめんへとたたきつけらられる。
250とだめーじがひょうじされて、きにんぎょうがひかりのつぶとなってきえていった。
『え!?』『すごいのです』ふたりのこえとともにおれはこうげきをやめる。
どうやら、おーとあくしょんぷれいをかいじょしたようだ。
*
ようやく姉宅へ戻れた。玄関を開け「ただいま〜」と声を掛けてキッチンへ向かう。
ちょうど昼前なのと、サービスデーが重なって買い物を終えるのに30分もかかってしまった。
店員さんは手際よくお客をさばいていたが、人数が人数だけに大変そうだった。ってか350円弁当20個も買うってビックリだよね。
キッチンに買ってきた物を置いて、ひと息つく。何やらリビングが盛り上がっているようだ。
沸かしていた大鍋を見ると、お湯が沸いてあって火が止められていた。
よし。すぐ取り掛かれるな。
「アルデ。ありがとう」
『おそれいります』
コンロの火をつけ沸騰するのを待って、フライパンを出して隣のコンロへと置く。
解凍ルームからギョーザを取り出し、海鮮と肉ギョーザを10コづつフライパンに並べてすぐ火をつけ、しばし待つ。その間に水溶き小麦粉を作り、フライパンがあったまって来たところで、水溶き小麦粉を流し込み蓋をする。
収納棚から大皿とラーメンドンブリを2つ取り出しテーブルに置いて、ラーメンスープを注ぐ。
今回は≪鳥男爵 かがやきのしお≫と≪バターはともだち 腕白ミソ≫を使う。
「アルデ、タイムカウントを頼む。7分で」
『かしこまりました』
つぎに具の用意をする。長ネギ、チャーシュー、メンマ、バター、煮玉子、刻み海苔を出しているうちに大鍋のお湯がグラグラ沸騰しだす。
そこへアリタニ食麺の生めんストレート中細麺と生めん卵縮れ太麺を解しながら投入。湯の中で麺が踊りだす。
「アルデ。タイムカウントもう一つ10分で」
『かしこまりました。タイムカウントA残り4分です』
吹き零れないように注意しながら、菜ばしで麺をかき混ぜる。
フライパンの音を気にしながら小鉢に刻み海苔をドサリと入れて、ポットのお湯を少しと塩と白だしを加えておいて置く。
『7分経ちました。タイムカウントB残り6分』
「おっけー」
フライパンの蓋を取り様子を見る。ジュワーという音と湯気が目の前に広がる。もうちょいかなと音を聞いてチリリとしたので、ごま油を流しいれ強火で仕上げる。1分ほどでパチパチとしてきたので火を止めてヘラでこそぎながら大皿へギョ-ザを移す。
皮ぱりぱりの羽根突きギョーザの完成だ。
すかさずリビングへと大皿を運ぶ。
「はい。ギョーザおまたせ」
「マフー!キラくんギョーザ〜〜☆」
大皿と割り箸と小皿を置いてキッチンへ戻り、ビールとコップ、醤油とラー油をリビングのテーブルへと並べる。姉はいつの間にかシュシュで髪を纏めて、今か今かと待ち構えていた。
「ご飯は持ってくる?ラーメンはもちょっと待ってて」
「後ででいーよ」
缶ビールのプルトップをプシっと開けて、黒めの琥珀色の液体をコップへ注ぐ。そして、一気に飲み干していく。
「ぷっふぁ〜〜〜〜」
本当に美味そうに声を上げて、又ビールを注いでいく。
そんな声を聞きながら、キッチンに戻って麺の様子を見ながらかき混ぜる。
『タイムカウント残り2分です』
アルデの声を聞いて、仕上げにとりかかる。
まず味噌スープを入れたドンブリに電気ポットのお湯を麺が入る量を考えて適当な量入れていく。同じ様に塩スープのドンブリにもお湯を入れていく。
『10分経ちました』
「ありがと」
箸で短めの麺を取り口に入れる。ん、おっけー。
掬い網で太麺と中細麺が半々になるように掬いとり、チャッチャッとお湯を切りドンブリへとササッと入れる。同じく半分をもうひとつのドンブリへ。
そこにチャーシュー、メンマ、刻みネギ、煮玉子を入れていく。さらに小鉢に入れて、解れた海苔を箸でかき混ぜ半分づつ入れていく。最後にレンゲを差し込む。
これでミソラーメンと塩ラーメンの完成だ。っといけね、バターも入れてっと。よしっ、出来た。
まずは、味噌バターをリビングへ運びテーブルへと置く。ギョーザが2/3がなくなっている。
「ひゃっふぅうーー!味噌バターだ☆」
姉は早速麺をすすり出す。もぐもぐ咀嚼しながら手をホッペをに当てて体をクネクネさせる。
「おいひぃ―――☆」
作る人間にとって最高の褒め言葉だ。急いでご飯を取りにキッチンへ戻る。
茶碗を2コ持って、ひとつを姉に渡し、ひとつをテーブルへ置き塩ラーメンを取りに行ってテーブルに置いて食べ始める。
まずはスープを一口すする。ん、鳥の出汁と塩の旨味が口いっぱいに広がっていく。次に麺をかき混ぜて、海苔を全体に広げていく。
麺をすすると、塩味と麺に絡まった刻み海苔がえも言われぬハーモニーを醸しだす。 2種類の麺がアクセントになって、どんどん食べ進められる。
麺を箸で掬って、ご飯の上に乗っけて汁を吸わせてすする。その後汁の染みたご飯をパクり。
ん――――っ!んまい。自分で作っておいてなんだけど。
ラーメンをすすり、ご飯をぱくり。ひたすらこれを繰り返す。
1/3程に減ったラーメンに視線を感じて姉の方を見やると、物欲しそうにこっちを見てる。(いつもの事だが)あのプロポーションでどんだけ入るんだか。
空になったドンブリと大皿と茶碗を動かし、塩ラーメンを姉の前に移動させる。
「ありがとキラくん。大好き☆」
「はいはい。ギョーザもっと食べる?」
「うんうん食べるぅ〜〜」
空になった食器を持ってキッチンは。僕はちょうど腹8分目ってとこだ。
「ずずぅ、うまっ!これもうまっ」
そんな叫びが後ろから聞こえる。思わず口元が緩む。
再び残りのギョーザを焼き始める。こんどはあっさりオリーヴオイルで焼いてみる。
―――30分後―――
「くはぁぁっ!!ごちそうさまっ!!!」
姉が残りのビールをくいっと煽ってダンっとコップをおいて、満足そうにソファーに寝転がる。
僕は食器を片付け洗い収納棚へとしまう。
冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し、ソファーに座ってゴクゴク飲んでひと息つく。
お酢に山盛りコショウは危険だ。やめられない止まらないの状態になってしまう。僕にとって10コは食べすぎだ。姉は14コペロリと食べたけど。
テレビ画面を見るとララがジト目でこっちを見ていた。後ろでシュバッ!バシバシビシッとか聞こえてくる。
まだやってたんだ。すっかり忘れてたよ。いかんいかん。
「どうしたんだ?ララ」
ヘッドセットを首にかけて不機嫌そうなララに問いかける。
『マスター!ララもラーメンとギョーザが食べたいのです!!』
いや、無理ですがな。
(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます