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14.初級クエストを受けに冒険者ギルドへ

長くなりました。この位のペースで更新できるようガンバリたいと思います。出来るといーな。

 

 

 朝早くアパートにやってきた姉に。ギョーザは姉の家にあることを伝えるとガックリ肩を落とし帰ろうとするので、お昼に作ることを約束して2人で朝食を食べる。

 朝食はトーストにタマゴサラダを乗っけたものと、サラダとコーヒー。

 

 お手製のタマサラは期限間際の卵を固ゆでして、白身と黄身に分け、黄身にマヨちびっとに、塩、オリーブオイルを入れてかき混ぜ白身を丸ごと入れて砕きながらさらにかき混ぜ胡椒を適量振って出来上がりだ。

 これをマーガリンを塗って焼いたトーストに、厚めにのせて食べる。またパンを2つ折にして卵サンド風に食べたり、ここにチーズやハムを挟んで食べるのもうんまい。バリエーションは豊富にある。

 サラダは、千切りキャベツに炒めたミックスベジタブルに白出汁とオリーヴオイルを合わせたてきとードレッシング。

 

僕はトーストにタマサラを厚めに乗っけたシンプルなもの。姉はトーストにタマサラ、ハムチーズ、キャベツと山盛りのせてトーストでサンドした豪華なものだ。「うまっ、うまっ」と食べている。相変わらず朝から健啖な人である。

 それをペロリと2個食べて寝室へおやすみーと向かっていった。


「……………」


 まぁ、いつものことだが、自分の家に帰って休めばいいと毎度毎度思う。肩掛け鞄を提げて出掛ける事にする。朝イチから講義があるので、余裕をもって行きたい。鍵を掛けてアパートを出る。(姉はスペアキーを持っている。)自転車にまたがり、今日も一日頑張ろうとペダルを漕ぎ出す。


 ―――――と思ったら、のっけから肩透かしを食らう。

 講義をするはずのフドウせんせーが突然休み休講となったのだ。ロボット工学の第一人者といわれるせんせーは新技術の開発発表があるとすぐに飛んでってしまうのだ。名前と違いアグレッシブなせんせーなのだ。おかげで授業がなかなか進まない。

 

 今日は午前の1コマだけだったので、ポッカリ時間が空いてしまった。

 今は8時ちょっと過ぎ、どうしようかなと考えると、門の方からヒョロ長い男がやって来た。僕と同じ講義をとってるカラサワだ。


「お!ササザキ。何だ帰んの?自主休!?」

「ちがうよ。フドウせんせーが急遽休みで休講になったから帰るところ」

「え!?マジ!!せっかくいー席とろーと朝イチ来たのに、マジかー」


 ガクリと頭を垂れるカラサワ。


「そういやお前。合コン行くってラチられたって大丈夫だったの?」

「ン?ああ、そーいや悪かったな、俺の代わりに呼び出されたって?」

「僕はキノモトさんと話が出来たから良かったけどね」

「て事は実質6:4でやってた訳か」

「でもタカナシくんにみんな集ってたから楽しんでたと思うよ。キノモトさんにもくっ付いてた女子もいたしね」

「おめーも、もっとその格好改めるとモテッと思うけどな~」


 僕の服装をジロジロ見てカラサワが言う。


「いーんだよ。そういうの特に好きじゃないし。それよりあんまミキちゃん泣かせんなよ」

「ミキの嫉妬が俺への愛のバロメーターなんだ。痛みが愛の深さだからいーんだよ」


 何、その刹那的な愛の報告。いらんわ。そのうち刺されるぞお前。


「じゃ、時間潰しにこれやろーぜ。新たに組み直したからさ」


 デッキを取り出しそう言うカラサワ。カードゲームもいつになっても廃れないものだ。僕もなぜか持ってる。


「俺のラァラ様が火を吹くぜ」


 スタスタ校舎へ向かうカラサワの言葉にララのことを思い出し姉宅へ行くことにする。


「これから用事があるんだ。じゃあな」

「なんだよー。付き合い悪ぃぞー」

「悪い悪い。また今度な」


 と言いながら門へと走り出す。

 そうだそううだ。昨日の続きをしなければ、しばらくゲームをやってれば昼にはギョーザを食べに姉も帰ってくるだろうし。少しだけ気持ちを逸らせながら駅へと向かった。



 昨日ぶりの姉宅、今度は門前払いをくらう事なく中に入る。

 テーブルに飲み物をおいて、テレビを点けソフトを選択。ログインしますかのメッセージにYesで決定。

 よし!いざ出陣!!

 ホワイトアウトから目の前に時計台広場が現れてくる。こっちの時間帯は夜らしく、空には星が瞬いてる。

 ヤマトの側に空から光の玉が舞い降りて弾けるとララが現れる。


『マスター、お帰りなさいなのです』

「ただいま。ララ」


 クローズアップ画面になったララは嬉しそうにニパリと笑う。今日も元気そうで何よりだ。


「ん?あれ!?昨日は作業場でログアウトしたのに広場にいるんだ?」

『マスター。それはこの場所がスタートポイントに設定されてるからなのです』

「って事は、街とか外とかどんな所でログアウトしても、ログインするとこの場所になるってことか?」

『その通りなのです。街や村に入った時点で登録される事となるのです。初級クエストで教えてくれるのです』


 右人差し指を立てながら説明してくれるララ。ほほう。


『あっ!!』

「おっ?どうしたララ』


 突然大きな声を上げるララ。あわあわしだす。


『マスターは初級クエスト受けてないのです』


 ん?初級クエスト?さっきも言ってたな。何だろう。


『初級クエストは冒険者ギルドに行った時、初めて受けるクエストなのです。そこで武器や魔法の使い方の基本を覚えるのです』


 僕の心の声を読んだようにスラスラ答えるララ。キミはエスパーか!?

 んーまぁ、ちゃんと戦えたし、魔法も後でやって見ればいいから受けなくてもいいのかな。


 『そして、初級クエストをやらないとサブスキルのスキルスロットが開放されないのです』 


 メニューを開きステータスを見てみる。あー確かにサブスキルの欄は0/0になってる。初級クエストをやらない限り、これが増えることがないってことか………。


「ま、受けなくてもいいんじゃないかな。今とくに困ってないし、メインだけでもけっこー行けると思うから。それにあの受付嬢が何も言ってなかったてことは、受けれないんじゃないかな?」


 面倒イヤスキル発動。人に教え込まれるよりも、試行錯誤するのが好きなんで、ぶっちゃけやらなくていいと思う。


『あれは、あのがバカなんです。別の人に聞いてみるのです。マスターは初級クエストを受けなきゃダメなのです―――――っ』


 ララは涙をポロポロこぼしながらジタバタする。今日は感情の波が激しいな。仕方がない。僕の為に言ってるんだろうし、ここはララの言うとおり初級クエストを受けに行こう。


「わかったわかった。冒険者ギルドに行けばいいんだよね」


 さっきの涙が嘘のようにニバーと笑顔を見せるララ。


『はいなのです。冒険者ギルドへ行くのです』


 まぁ、特にやりたいこともないし、行ってみることにする。

 冒険者ギルドの中は相変わらず受付以外、人の姿がない。こんなんでやっていけるのだろうかと一瞬思ったが、ゲームなんだし問題も何も関係ないかと気づいた。

 

 受付にはやはりやる気なし受付嬢と隣でセッセと作業をしている人がいる。

 どうせこの人に話しても知らぬ存ぜぬ分かりませんとか答えるのが分かってるので、作業中に悪いとは思うが隣の人に声を掛けることにする。


「あの……」

『はい。どういったご用件ですか?』

「あなたじゃなくて、隣の………」

『はい?』


 わざと演ってるんだろうか。隣にいる人はこちらに全く気づいてないらしく、俯いて書類に何やら書き込んでいたりする。

 どうしようか………。


『こうするのです!』


 ララが叫ぶと飛び上がり急降下、すかさず隣の人 (面倒いので職員さんと呼ぶ)の頭へキック。後頭部に衝撃を受けて前のめりになる。


『痛っ!え?なに!?』


 突然の衝撃に驚いて周囲を見回す職員さん。

 ララがえっへんと胸を張って僕の元へ戻ってくる。

 なんかララがはっちゃけてる。一体どうしたんだろうか。まぁ、こんなララも可愛いちゃ可愛いんだが。

 ようやくヤマトの存在に気付いた職員さんが目の前にやってくる。


『スミマセン、ちょっと集中しちゃってて………、どういったご用件でしょうか?』


 どうやら話が通じる人のようだってか頭の上のマーカーが緑だ。プレイヤーなんだろうか。こういうのは、NPCが全部やってるんじゃないのか。


「あの、初級クエストを受けたいんですけど……。あと少しお聞きしたいことがあるんで――――」

『え?あ、あなたがっ。は、ハイ。かしこまりました。少々お待ちください』


 そう言ってその人はやる気なし受付嬢を引っ張って奥のほうへ行く。“ちょっと――――”とか“何で教えないのよ”とか聞こえてくる。ララと2人でボヘーッとしてると。


『お待たせしました。ギルドカードをお願いします』


 言われたとおりにギルドカードを渡し確認して貰う。


『うぉ!Lv5ぉ!アテンダントスッ!―――――………失礼しました』


 うん、この人プレイヤーだね。あんま大声で叫ばんで欲しいよね。人いないからいーけど。


『あの~ぉ。よかったらアテンダントスピリット見せてもらう事は出来ますか?』


 うるうると上目遣いで僕を見上げる職員さん。宝〇の男役みたいな顔立ちなのであまり似合わない。 (かわいくない)

 溜め息を吐きながらララを見るとコクコク頷く。


「いいですよ」


 僕の言葉とともにララが不可視を解いて現れる。


『ふぉぉ~!初めて見ました~』


 と言って、両指で枠を作りながら『ショット』『ショット』と言い始める。


「あれは………なにをやってるんだ?ララ」

『あれは〔スクリーンショット〕と言って、ゲーム内で写真を撮影することが出来るのです。でも本人に許可を取らずにやるのはネチケット違反なのです』


 プンプンと少しだけ怒ってララが不可視化を戻す。彼女からは見えなくなったらしく『あ~~』と声が上がる。この人も何か駄目っぽい気がする。


「断りもなく勝手に写真撮るなんて、マナー違反なんじゃないんですか?ブログや掲示板に載せられても困るのですぐに消してくださいっ!」


 僕が怒る様に言うと『ひ~~~』と言いながら、スイマセンスイマセン謝り出す彼女。


『あ、あの。決して公開したりしません!ですから保存させて貰えませんでしょうか?お願いしますお願いしますっっ』


 ペコペコ頭を下げだす彼女に、僕は溜め息を吐いて絶対ですよと念を押して了承する。マスターはアマアマなのですと声が聞こえるが、まーいーじゃん。


「この手の事で酷い目にあったんでお願いしますよ。あ、ララのせいじゃないからな、気にするなよ」

『分かってるのです。大丈夫なのです』

 

 昨日あった事を説明するが、ララが不安になるといけないのでフォローする。ララは胸の前で両手をグッと握り締めて、凛々しく返事する。

 突然クローズアップ画面になってもピックリしない。慣れたものだ。


『酷い目にあったってどういう事ですか?』


 ララのイベントを終えたら (逃げたので)追いかけられた事、薬草を採取してたらプレイヤーに襲われた (?)ことを話す。


『はりゃ~それは大変でしたね。でもPKってこのゲームには無い筈なんですけど………』


 ウィンドウを開いて何か調べだす職員さん。そして驚いて画面を凝視する。NPCとか、こんなとか解決とか声が漏れ聞こえてくる。


『失礼しました。この件に関しましてはこちらで対処しておりまして、ご迷惑を掛けたプレイヤーの方に10万GINを渡すように指示があります』


 10万Gってララを取得しなかったら貰えた時と同じ額だよな。課金のレートは同じだから10万円相当かと思わず目を丸くする。

 でも迷惑といっても実害があった訳でもないし、いきなりそんな大金貰っても使い道もないので断ろうとしたら。


『分かったのです。頂くのです』


 ララが現れてそんなことを言い出した。職員さんは『ふぉぉ』とか声を上げてから分かりましたと言って手続きをする。


「あ、あと襲ってきた (らしい)プレイヤーがドロップしたアイテムがあるんですがどうすればいいんでしょうか?」

『ドロップしたアイテムは、それを入手したプレイヤーの物となりますんで問題ありませんよ。なんでしたらこちらで引き取っても構いませんが』


 その言葉にお願いしますと言って、アイテムを机に出す。気分的に持っていたくない感じなのだ。

 それを見て言葉に詰まる職員さん。何だろ、何かあったのか?うぁ~~、……の杖、これ……白のよろ……最悪……とかブツブツ言ってる。そして、アイテムのひとつを見てこっちを伺う。


『これはお持ちになった方がいいと思いますのでお返しいたします』


 と水晶が付いたネックレスを差し出す。


『マスター。これを装備するのです』


 ララまでそんな事を言う。ま、言われたとおりに装備する。

 とりあえず色々一段落すると職員さんが立ち上がり話し始める。


『申し送れました。私、冒険者ギルド職員のアリィーナと申します。これより初級クエストを始めますね』




(-「-)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

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