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129、キラくんの行動を観察する その22

姉回です

 

 

 

 ――――その光景はある種の美しさを画面から放っていた――――

 

 サーバーPC接収事件は、レイちゃんに任せ(丸投げともいう)あたしは後ろで聞いてるだけだったけど、疲れる事は疲れるのだ。

 これからは合法非合法問わず、政治関連やつらの動向の把握と隠し事(じゃくてん)を集めた方が良さそうだ。

 いちいちこっちに興味を持たれても面倒だし、正直言えばほっといて欲しい。

 

 話し合いと言う名のこちらの条件(おねがい)を全て呑ませる場で、あたしはそんな事を頭の片隅に記録しておく。

 なぁに、大した条件でもないのだ。互いにwin―winがモットーなので、その事に関してはある程度レイちゃんにも話を詰めている。

 

 そもそもミラ達でなく、レイちゃんを表に出しているのもあちらをある意味困惑させる目的があるからだ。

 欺瞞情報というか、彼等がこちらを調べ尽くしていたとしても、それ以外の情報を開示しある種の陽動というか、意識をレイちゃん(そちら)へ向ける方針に決まったのだ。

 もともとはあたしとミラで対処するつもりだったんだけど、何故かレイちゃんが現れて、私にも1枚咬ませてと言ってきたからだ。

 

 彼女の用意した資料けいかくは充分というか、こちらの思惑以上のもので納得のいくものなんだけど、レイちゃんが何の見返りも無くこんなものを出してくる筈もなく、ミラが恐る恐るその目的を聞いてみる。

 それはキラくんの料理を食べさせて欲しいいうものだった。

 何じゃそりゃとも思ったが、確かにキラくんの料理はVR(ここ)でも現実あっちでも美味しい。

 特に補正とか掛けてない筈なんだけど謎だ。(単にあたしの身贔屓なのかも知れないけど)

 

 本人の承諾は無いものの、あたしやミラが頼めば快諾するのは分かっているので、レイちゃんの要求を丸呑みする。

 会議自体はこちらがイニシアチブをとってあっさりと終了したのだが、それなりに疲れていたので癒しを求めてVR会議室からVRルームへと戻り、メギエスに撮って貰ったキラくん動画を見る事にする。

 

 ソファーに横たわりホロウィンドウを大画面にして動画を見始める。

 そこはプロロアーノ商店街の一角で、キラくんが1人のPCと仲良く話していた。

 キラくんもあたしが知らない間にいろいろ知り合いができてるみたいで、このゲームを満喫していると分かり嬉しく思う。(ちょっと寂しいけど)

 

 本来ならばキラくん動画を隅から隅まで万遍なく楽しむのだが、明日からの予定こともあるし、なる早で休んだ方がいいと思うので、少しだけ早送りして見ていく事にする。

 本意じゃない!むしろ不本意だけどっ!涙を呑んで早送りしていく。

 PCと一緒に1軒の家に入る所で再生。


 ってかキラくんもいろんなNPCと知り合いになるよね実際。

 今度はテーラーのおばあさんか。遠目からではっきりとは分からないけど、そのツンデレっぷりは何とも愛らしい。

 そこでPCペイくんだったかが布を持って来て、服を作り始める。

 どうやら早送りした中で、服の作製の依頼をキラくんがしたみたいだ。

 

 でもペイくんが着てるのは着物のような前袷の和装のもの。

 ここの世界観にはあまりそぐわない物に見える。

 が、ここら辺はPC(プレイヤー)の行動に基本任せる事にしている。

 この世界(ゲーム)で表現できるものに関しては、よほど逸脱しない限り自由にさせている。


 ネット小説とかの異世界召喚や転生物の工夫チートに近いものがあるだろうか。

 ただ今のところ大概のPCはそのの事に気づかずテンプレプレイをしているけどね。

 このゲームって生産系って前まではそれほど見向きもしなかったせいもあるから、そういう背景もあるかもしれない。


 ペイくんは【裁縫】スキルのLvが高い様で、流れるように布を裁断し縫っていく。おおっ。

 あっという間に仕上がったそれを受け取ったキラくんは、改めて装備し直す。

 

「おおっ!!」

 

 あたしはつい声を上げてしまう。色は地味だけど、かっこいーしとっても似合ってる。

 悪目立ちしそーではあるけど、キラくんの表情は超ご機嫌ですんごい満足してるのが映像越しでも丸分かりだ。

 その後テーラーを出て時計台広場で2人のPCと合流して街の外へと移動を始める。

 しかし何とも個性的なPC(ひと)達だ。年下っぽい幼さが垣間見える。ぷっ、ポーズ取ってるし、同時に喋ってるし、ぷぷっ。

 

 モンスター狩りはさほど苦労することなく、サクサク進んでる。

 皆それなりに戦えてるので、フィールドを右に左に移動しつつ経験値を稼いていく。

 それに数の力がモノを言っている。

 攻撃回数が少ないとは言え、3体のアテンダントスピリットの力は侮れないものがあるのだ。

 何よりララちゃんやウリスちゃん、それとキラくん達の参入が大きなアドバンテージを生んでいる。

 灰闇の中で灯り玉の下、3人をフォローする様に立ち回っていた。

 

 しばらく戦闘が続きそうなので、早送りをしていると映像の中で何やら異変が起こっていた。

 南から大量のモンスターの群れが、砂塵を巻き上げてキラくん達に向かって突進してきた。

 うんにゃ、キラくん達に向かっていたのでなく、偶然の不幸でモンスターをトレインしてしまったPC達に向かっていたみたいだ。

 その彼等もモンスターの波に呑まれて、あっさりと死に戻って行った。

 

 距離的には100mもない、たとえ左右どちらかに逃げたとしてもモンスターの大群はキラくん達に襲い掛かってくるのは火を見るより明らかだ。

 灯り玉の光の中、キリリとした表情でPC3人組に何かを告げる。凛々しかっこいー。

 そして3人組が脇へ移動すると、モンスターの群れへとキラくん達は対峙する。ふおぉ、なにこれ、ぞくぞくする。

 

 そして10mほど距離が狭まったところで、ララちゃんが土魔法を唱える。

 モンスタートレインの真ん前に無数と言っていい程の大量の窪みが地面に現れる。

 そこへ何の躊躇もなくモンスター達が突っ込む。

 ドガガガガという轟音とともに、先頭のモンスターを始めに順に窪みに足を取られ転倒していく。


 相変わらずララちゃんの魔法は凄いというか酷い。

 ある意味パランスプレイカーになりかねない筈なんだけど、なんの他愛のない土魔法でクールタイムもMPも気にせず、最弱ゆえに大量に発動する事によってその力を如何なく発揮させる。

 

 ララちゃんだからこそ、制約プログラムの隙間をすり抜け事を成す。

 そしてそれを可能としているのが、あたしが先輩から買った宇賀神博士が作り上げたサーバーPC(オーパーツ)

 

 システム周りやスぺックはある程度使う分には問題ないし、不満どころかお釣りがくるぐらい能力には満足している。

 ただ何の為に宇賀神博士があれを作り上げたのかは、先輩に聞いたことはあったけど俺も分からない(なんじゃそりゃ)と言ってたので謎である。

 今はミラの会社の地下室で厳重に管理運用されてるんで、あたし的には正直助かってはいる。

 面倒な事といえば、週1で生理食塩水の交換が必要なぐらいだ。

 

 冷蔵庫の出来損ないの様な見た目なのに、PC10万人余、NPCはその数倍。その他諸々を稼働させているのにも関わらずラグも不具合フリーズも起こったことがない。

 もちろん事前テスト段階で極力精査はしている。

 ただヒューマンエラーってのは必ず出るものなのだけど、いまだ何の問題もなく実行されている事は本来あり得なく、ミラ達と一緒に首を傾げる事もあった。

 

 どちらかと言えば危険な綱渡りをしている気分なのだけど、週1のメンテでも異常がないとなればユーザーがいる限りは続けるのがベターなのだ。

 まぁ、予想外の出来事とか色々出てきたのには驚いたけど。ララちゃんとかレイちゃんとか………。

 あたしも人の事は言えないけど、皆フリーダム過ぎる気がする。

 この後そのレイちゃん(フリーダム)に振り回される事となるとは、正直この時のあたしには思っても見なかったのだ。

 



 ララちゃんの魔法を皮切りにウリスちゃんが足音少なく前へと駆け出す。それと同時にキラくんもモンスターの群れへと突き進む。そして―――

 

 その光景はある種の美しさを画面から放っていた。

 

 このゲームではVR上で身体の動きを表現するのに幾つかのシステムを稼働させている。

 その1つがモーションアクトリレイトシステム。

 性別、体格(身長、体重)別に分類カテゴライズされた予め登録してある基本動作モーションを利用して、最初はその登録されたモーションでVR内でPCは行動をする。

 

 そして活動する事により違和感や不快具合の状態の脳波を感知して、その都度修正と補正を行っていく。

 その修正・補正した動きをフィードバックしてHMVRD内のメモリーに記録して、現実との齟齬を極力減らすようにしている。

 ある程度の閾値はあるものの、動きに関して言えばほぼ現実の動きと遜色ない様になっている。

 ただし、ゲーム内で出来る現実と異なる行動アクションはまた別である。

 違和感を感じても、修正しようがないから仕方ない。(大ジャンプとか空飛ぶとか)

 

 そして画面に映るキラくんの動きは、淀みなく流れる様に現実と同じ動きをトレースしていた。

 あ、あれは剣山。次に山彦。そして星屑。 

 じー様から伝えられた技を、モンスターに向かって次々と繰り出していく。

 キラくんの拳が、蹴りが、モンスターを刳り、飛ばし屠っていく。

 

 幼い頃よんどころない事情により、じー様に自身の身を守る術を教えられたキラくんは、今でも鍛錬を続けている。

 その動きは若かりし頃のじー様を彷彿とさせ、あたしの目を惹き付けて止まない。

 血の繋がりがないキラくんが、1番そのわざを受け継いでるというのも不思議だと思う。(あたしは付き合い程度なのでそこ迄の力は無い)

 

 じー様はキラくんが滅茶苦茶可愛くてしょーがなかったからなぁ。

 ララちゃんの魔法にウリスちゃんの突進、そしてキラくんの拳により数多いたモンスター達は光の粒子となって消えて行った。

 あたしはその光景を見てのんでいた息をはぁと吐き出す。

 

 3人組がキラくん達に近づき何か言っているが、ちょっと離れ過ぎている為言葉は聞き取る事は出来ない。

 メギエスでは接近すると気づかれる恐れがあるので、おいそれと近づくのは悪手である。

 とは言え、今日はもうお腹いっぱいだ。(いろんな意味で)

 考える事を明日に回して、今日は寝ちゃう事にする。

 明日は早めにアパートに行こう。

 あたしはそう決めて、ライドシフトしてHMVRDを外してそのまま眠りにつく。

 

  

 目が覚めるとその足でアパートへと向かい朝食をごちになる。

 ゴハン美味しー、卵焼きうんまい~、そして浅漬けの格別な旨さ。

 朝食を取り終えてまったりしながら今日からプレイできる事をキラくんに話しして、これからの予定を軽く説明しておく。

 と言っても西に行くよってだけなんだけどね。

 

 午前はお得意様である取引先に新年の挨拶をして、午後からはゲームに専念できるかな

 ミラ達も大丈夫そうだったけど、万が一の時はキラくんとあたしでパーティー組んで行けばいいのだ。ふふん。

 漬物の詰まったタッパーをちょろと戴いて、アパートを出て取引先へと愛車を走らせる。

 一応前もってメールで新年の挨拶はしているのだけど、遅ればせながらと顔を見せるのも社会人の常ではある。

 

 1軒目は郊外にあるでっかいお屋敷で、相手は80を越えた爺さんだ。

 やたらと高そうな車の側から少し離したとこに愛車を止めて、荷物を持って屋敷へと向かう。

 そこであたしは盛大なミスを犯してしまった。荷物なんか車の中に置いとけばよかったものを。はぁ。

 

 玄関でチャイムを鳴らし、お手伝いさんに案内されて応接間でお茶を頂きながらしばし待つ。

 やがて奥の間から取引相手の爺様がやって来た。

 80を越えてなお矍鑠かくしゃくとしているその姿は日に焼けたように黒く元気そのもので、冬にも関わらず作務衣を着て裸足でやって来る

 

「おう!サキ坊。元気だったか?」

 

 女子に坊はねぇだろと思いつつ、あたしはその爺さん、ゲンゾウ氏に新年の挨拶をする。ペコリ。

 

「新年明けましておめでとうございます。昨年は色々お世話になりました。今年もどうぞ宜しくお願い致します」

「おう!よろしくな。土産はねぇのか?サキ坊」

「ないですよ」

「じゃ、それは?」

 

 新年の挨拶に来た人間にお土産を要求しないで欲しい。

 しかも目敏くあたしが脇に置いた紙袋を指差して聞いてくる。

 

「これはあたしが食………自分用のものですので、お土産じゃないですから」

「何かよ、食べ物っつ―か漬物のいい匂いがするんだわ」

 

 ちっ、鼻の良いことで。でもこれはやらない。ちびちび日本酒ポンシュをやりながらパリパリ食べる予定なのだ。

 

「ほらほら食わせろよ〜。どうせサナさんの作った漬物もんなんだろ?」

 

 残念ニアピンです。あーあ、駄々を捏ねる様にパンパンとテーブルを叩き始めた。これを超えるとこの爺さんは拗ねるのだ。いー年をして。

 

「もー、ちょっとだけですよ………」

 

 仕方なく紙袋からタッパーを取り出しテーブルの上へと置くと、爺様はタッパーのフタを外して目を輝かせる。

 1つを手でつまみ口に放ってパリパリ食べ始め、そして次から次へとっ口にしていく。ああ………。

 

「すんげー肉厚だなこの白菜。……ああ、Fベジってヤツか」

 

 よくご存知で。ってかもう食べるのやめてっっ!

 しまいにはお手伝いさんに皿とお酒を持ってこさせて、1/5を皿へと移して1人で晩酌を始めだした。朝っぱらからいーのか?(朝酒?)

 

「サキ坊もやるか?」

「い〜え、他にも挨拶回りがあるんで、これで失礼します」

「おう!皆によろしくな!」

 

 次は気を付けて車に置いて挨拶に行くと。


「ゲンゾーさんばっかりズルいじゃないか!アタシにも食べさせな!」 

 

 と言われ最上階から地下駐に取りに戻り食べられる。

 いつの間にやら連絡網が敷かれていて、行く先々で知られていて山盛りにあった漬物が結局無くなってしまった。涙目。

 じじばばズはじー様からの伝手なので無下にも出来ず、後には空になったタッパーが残るのみだった。とほほー。


 この後は定番の会社巡りをして挨拶交わしを繰り返し、心底くたびれたあたしは癒やしを求めてアパートへ突進する。

 そして卓袱台の上に、あのチまみ〜バーガーが2つ鎮座しているのを発見する。ごきゅうり。

 キラくんが買って来た時からチェックはしてたんだけど、なかなか出会う機会がなくてちょっとだけ悔しくもあったのだ。

 

 さっきまでのへんにょり気分も吹き飛んで、チまみ〜と連呼してパクパクっと食べていく。キラくんが呆れているが、気にしない気にしな〜い。

 チまみ〜バーガーの余韻にしばらく浸ってから、キラくんにひと言告げて寝室でHMVRDを被りライドシフトしてログイン。


 場所はもちろんラビタンズネスト。

 広場の方で何か騒がしくなっていて、ラビタンズ達が輪になっているのが見える。

 あたしは気になってそちらに行くと、ミ……ラミィとアンリが喧々諤々とやり合っていた。

 聞いてみると、アンリが行きたくないと駄々を捏ねてる様だった。(行きたくないっていうか、ラビタンズネスト(ここ)から離れたくないって感じだ)


 まー侍従長なんて職業になるくらいだから、相当ラビタンズに入れ込んでるのは分からないでもないけど、何だかなぁである。

 そこへキラくんがやって来て、何事かと聞いてきのたので軽く説明してるとちみっ子達がお出かけするの?とキラくんに尋ねると、キラくんは蕩けるような笑顔でお土産持ってくるねとちみっ子を撫でながら言っている。はうっ!あたしにもその笑顔プリーズ!!

 

 話を聞いたちみっ子達がアンリの方へてててと行って説得おねだりを始める。

 最初は渋っていたアンリも最後にはに涙目でキラくんを睨みつけ了承していた。

 なぁ〜に睨んでんのあんた!あたしが冷えた視線をアンリに向けると、キラくんに注意されてしまう。むぅ。


 ラミィ、キラくんとイヤイヤ顔のアンリともパーティーを組んでラビタンズネストから西へと出発する。

 そのまま街道に向かわずにまっすぐ進み、森の中を突き進んでいく。

 フィールド適正Lvを10以上超えてるので、モンスターをサクサク倒しながら森の中を通り抜けて行く。

 途中ラミィのアーツを見てキラくんが目をキラキラしてるのについジェラシーを感じ、ラミィを睨み付けるが、どこ吹く風と知らん顔をされてしまう。

 アンリはやる気だだ下がりで、メイド服のまま後ろを歩いている。

 

 途中ヒヤッとした画面はあったものの、何とか森を抜けてそこから斜めに街道に向かって進み円門を潜ってしばらくしてルウージ村へと到着する。

 この村でポーションや消耗品を買ってすぐに通り抜けようと考えていた時、いきなり虫唾が走る甘い声(ひぃぃぃっ!)があたし達に掛けられる。

 そして目の前にホロウィンドウが。

 

 ちっ、ルウージ村の5兄弟と早々に接触とか運が悪い。

 彼等5兄弟はモニターヴュー時代からのキャラで、やって来る女性PCの誰にでも声を掛け甘い言葉を囁くNPCだ。

 アプデの度にキャラを変更するか度々い検討されたのだけど、嫌ってのと、どーでもいーのと、チヤホヤされたいのと3つの派閥?が出来てしまっていたので、今の今まで存続しているのだった。

 こいつらを躱すのは至って簡単で、触れ合い申請を10回拒否すればいいだけだ。

 

 8回拒否したところで、彼等を怒鳴りつける声がしたのでそちらを見ると、ゴスロリっぽい衣装を身に付けた子が4人を説教して仕事場へと戻してしまう。

 あれ?こんな仕様だったかしらん……。

 少しばかり唖然としてると、その子があたしとラミィ達へと謝罪してきたので、とりあえず受け入れる事にする。

 

 確かこの子あの4人を兄さんって言ってたような………。

 あれ?ルウージ村の5兄弟なんだから全員男だったはずだ。

 にもかかわらず女の子の(こんな)格好をしてるこの子はもしや………。

 

 男の娘っ!?

 

 キラくんを見たその子が目をギラリと輝かせたかと思うと、シンディと名乗りキラくんの名を尋ねる。

 するとホロウィンドウが現れ、触れ合い申請の許可を聞いてくる。

 いっか―――んっ!女子はダメだけど、男子はもっとダメだ!いけない、あたしは「フ」ではないのでそんな状況シチュは嬉しくも有り難くもないので、すぐに行動へと移し妨害に入る。

 

 キラくんの腕を取り(あぶなっ)シンディと名乗ったその子に急ぐ旨を伝えてルウージ村を逃げる様に立ち去る。

 なんか声が聞こえるけど聞っこえなーい。

 前までは男だった筈なのにいつ変わったんだ?しかも男の娘とか!

 誰だ!?あんなNPC()作ったのっ!!もおおっっ!!

 

 こうして何の準備も村でしないままカアンセの街へとあたし達は向かったのだった。

 

 


(ー「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

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