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前編

主人公視点です。

「貴女とこうしてゆっくりお茶会をするのも、久しぶりですね」

「ええ、お父様もお母様も国に携わる者としてお忙しいのに、こうしてお母様と二人きりのお茶会なんて贅沢でとても嬉しいですわ」

「私もですよ。半年前は、貴女が倒れてお茶会どころではありませんでしたからね。

…そういえば、あの時もこのチョコレートがありましたね」


お母様はテーブルの上に置いてあるカップに入ったホットチョコレートを眺めた。

私、シアトリーゼが前世の記憶を思い出した日もチョコがきっかけだったよね〜。





「今日のお茶会に少し変わったものを持って来たんだよ」


そう言ってお父様は卵型の木の実のような物を取り出しました。

……あの形は何処かで見た様な気がしますわ?何処でかしら?



「南の地方でしか採れない果物で難点は食べられる箇所が少ない事だね。

こうして割ってから種の周りの果肉を食べるんだよ。シア、食べてごらん」


私は恐る恐る受け取り口に含みました。

!瑞々しくて、何てフルーティーなのでしょうか。初めての味に驚きます。

…初めて?本当に?

それにしてもあの実は一体何処で見たのでしょうか?



あれは………あ。



「カカオですわね」


思い出しましたわ!

あれはカカオですのね。



「カカオ?この実はチェロの実と言うんだよ」

「え?で、でもお父様、何処からどう見てもカカオですわ。チョコレートの原料の」

「チョコレート?…それは何の事かしら」

「え?チョコレートはお菓子でしょう?世界中で………」



チョコレート?そうチョコ。何ですかそれは?お菓子。食べられるもの?勿論食べれるよ。何故知っているの?何故って私の好物だし。好物?お菓子は毎日食べてたよ。中でもチョコレートを使ったお菓子が大好物で、、、



わたくしとわたしの言葉がグルグルグルグル頭の中が回って行きます。

そして、私は気を失いました。






喉の渇きに目を覚ました。

見慣れた天井。

どうやら私はあの後倒れたらしい。

そして何と、前世の記憶を思い出しました!

パンパカパーン!




…………………。

…マジ?…


…マジで!?………マズイマズイマズイ〜。

うわー。私どうする!?転生って妄想の中だけじゃないの!?ってマズイよ〜。

前の私何やってるの!?あんなイジメ漫画の中でもやらないよ。

しかも家でも窓枠に指でなぞって埃を確認するって、あんたいつの時代の人だよ!

うあ〜、絶対周りから嫌われ者になってるよ〜。マジか〜。




「!お嬢様、お気づきになられたのですね〜」


思わず頭を抱えてると、一人の若いメイドが顔を覗き込んだ。

えっと、……誰?初めて見る顔だよね?


「良かったです〜。お嬢様は3日も起きられなかったんですよ〜」

「…3日も!?」

「お医者様は心因性によるものだから待つしかないとおっしゃられて〜、旦那様や奥様達も心配しておられたのですよ〜」



あ〜、それ多分知恵熱だ。

一気に前世の記憶が戻ってきたから脳がオーバーヒートしたんだろうね。


「あ、お医者〜、メイド長〜、誰か呼んで来ますね〜」

「待って、今はもう遅いのでしょう?報告は明日でもいいわ」


今後の人生設計を考える時間が欲しい。今こっちに来られたら考えが纏まらないよ。


「でも〜」

「ね、迷惑はかけたくないの。それよりお水を頂けるかしら?」

「あ〜。すみません〜私ったら……どうぞ〜」


ぬるま湯の中に少し蜂蜜が入っていてとても飲みやすい。

2杯一気に飲んだ後に一息ついた。



「ありがとう、とても飲みやすかったわ。ところで、貴方のお名前は?」

「二週間前から此方にお世話になってます、新人メイドのローサです〜お嬢様には初めてお会いしますね〜」

「ローサね。これからもよろしくね」

「はい〜」



ふむ。私の事は噂でいろいろ聞いているだろうけど、初対面とは都合がいい。

先ずは利用、もとい仲良くなって私が真っ当な人間になったことを周囲に伝えてもらわなければ。


「もう深夜なのでしょう?私は大丈夫よ。ローサも、もう休んで」

「大丈夫ですよ〜。さっき交代したばかりですし、お仕事ですから〜」

「そう?じゃあお話に付き合って下さる?」

「ええ!?わ、私なんかで、よろしいのですか〜?」



私はお母様譲りの顔でにっこり微笑んだ。

見え方は儚げな雰囲気で斜め45度から上目遣いでお願いすることがポイント。

演劇部こもんの先生、貴方の教えは私の中で生きていますよ)



「貴女とお話したいの。…ダメ、かしら?」


ローサは、首を何度も振った。ふ。チョロいぜ。




それから、いろんな話をした。

私が倒れた時のお父様とお母様の慌てようや屋敷の事。ローサの事。なんとローサは両親が傭兵で、自分も幼い頃からその道で活躍していたんだけど、両親が亡くなったのをきっかけに、穏やかに暮らしたいと傭兵稼業を辞めメイドになったらしい。

因みに何故メイドかと言うと我が家のメイド服に憧れたと顔を赤くしながら言った。う〜ん。可愛いな〜。



それにやっぱりガールズトークは楽しいね。

始めはぎこちなかったけど今は全くそんな事はないもん。

話題は屋敷の話になったんだけどローサがそういえばと、私に話し始めた。



「お嬢様は、この前退職した門番のデリルさんとメイドのラミーさんが付き合っていたのは知っていますか〜?」

「デリルは先月、ラミーは二週間前だったかしら?二人とも辞めたわよね?」


確か組合を通じて紹介して貰った人達だったよね。


「ええ。私は面識は無いのですが先輩が見たらしいんですよ〜。お二人が屋敷内で隠れるように何度も会っていたって〜。

しかもこの前、外で二人、歩いていたって〜。きっと恋人同士だったんですよ〜、お祝いしたのにみずくさいって言ってましたよ〜」

「………………」



職場結婚ですか?そうですか?

へ〜。へ〜。へ〜。

前世、私なんか職場で10年近くも働いたのにロマンスの欠片も生まれなかった。

お二人とも此方には4、5年居ましたよね?へ〜。ふ〜ん。ヨカッタネ。



ち。前世では、私も後少しできっと絶対、多分彼氏が出来たかも知れないのに、今世では婚約者付き。

しかも俺様で将来は浮気確定人物。

最悪だ。



私の嫌な男のタイプを三つ挙げると、浮気する男と甲斐性なしと思いやりが無い男が嫌い。

わお。俺様王子二つも入ってるよ。こりゃ恋愛無理だわ〜。

どうにかして、婚約破棄になんないかな〜。う〜ん。う〜ん。





「……様。……お嬢様!」

「…え?」

「お話の途中で急に考え込まれたのですよ〜」

「あ、ごめんなさい。大丈夫よ。」


慌てて謝った。

ごめん。一生懸命人生設計を考えてたんだよ。



「お嬢様〜。まだお身体が本調子ではありませんよ〜。

もう休まれて下さい〜」

「…そうね、そうするわ」



また明日にでもゆっくり考えましょう。

そうして私は目を閉じました。






お母様は何か思い出したのか微笑んでいます。

美人はどんな仕草でも似合うな〜。



私はホットチョコレートを飲みながらのお母様に話し掛けました。


「今度リナがチョコレートケーキの試食に此方に来るそうです。兄上のマシュー様もご一緒に」


リナはしょっちゅう来てるけど、兄のマシューは珍しいよね。

影が薄い次男だけど、あのほのぼのオーラは結構好きだな〜。

一緒にいても気疲れしないというか。



「まあ、マシューも?珍しいわね。………その時は私も試食に参加してもいいかしら?」

「!本当ですか?頑張って作りますね」

「ええ、楽しみにしているわね」



楽しみだな〜。









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