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勇者の小寒
………この世界と元の世界で共通していることが一つある。
暦だ。
正確に言うと、一日と一年の周期、というべきか。
何故それがわかったか、というと、こちらへ来た時に、腕時計を身につけていたからだ。
卒業祝いにもらったそれは、今も律儀に向こうの時間を刻みつづけている。
携帯電話は、こちらに来てすぐに電源を切った。たまに電源を入れて、今が向こうで何月何日かを確認する。電波補正のできない時刻の方は、既に好き勝手な時刻を表示しているが。
今朝、久しぶりに電源を入れて、軽く脱力した。
『小寒』。
スケジュールにこんな日、入れた覚えはない。最初から入っていてのか誰かが入れたのか。
それにしても、今の状況とこんなに掛け離れた文字列もそんなにあるまい。
灼熱の砂漠のオアシス都市のやどやで、勇者は乾いた笑いを漏らした。
しょう‐かん【小寒】
二十四節気の一つ。太陽の黄経が285度の時で、12月の節。太陽暦の1月5日頃に当たる。
今日が「時の記念日」というので、予定よりちょっと早くリリースしました。