コーナーキックじじい
妖怪もの?
カウンターをくらったときに
前線から駆け戻る体力も
カウンターをくらわせるときに
前線へと駆け登るスピードも
こう言っちゃ悪いけれども
いまのあんたにゃ期待できない
ピッチを縦横無尽してた
若いころの運動量は見る影もなくて
ボールがころがりこんでくるか
ひとが切りこんでくるまでは
じぶんのポジションに
でんっといすわったままながら
ぼぉっとつっ立っているようで
状況は把握してるんだと
そんな元気があるのなら
足を動かせってつっこまれるほどに
大きな声でチームメイトに指示は出す
そんなあんただけど
誰がもぎとったのかは知らん顔して
セットプレイではやたらと
じぶんが蹴りたがるんだ
ペナルティ・キックや
直接ゴールを狙える位置からの
フリーキックは
さすがに遠慮がちにはなるものの
コーナーキックとあれば誰にも譲らない
あいてのタッチでボールが
ゴールラインを割った瞬間に
一目散にコーナーアークを占拠しに向かい
チームメイトがどかそうとしても
石になったように動かないぞ
無理にそこらから引き離そうとすれば
赤ん坊のように泣き出しそうな
そんな涙目をするもんだから
毎回 しかたなく
あんたに任せてやることになるんだよね
そんなこんなで
ついたあだ名はコーナーキックじじい
そのプレイスタイルと
人間性もさることながら
どっちのコーナーアークからでも
利き足の相性もおかまいなしに
ニアやファーへのパスだけでなく
あいての壁が何枚も「ぬりっ」と
立ち塞がるのはお好きにどうぞと
直接ゴールを決めてもみせる
ボールに回転をかけるのにも
プラス/マイナスどっちだって自由自在さ
ふだんの 動くボールのダイレクトプレイや
浮き球処理のお粗末とは
比べものにならない精度で
コーナーキックの魔術師というより
コーナーキックの妖怪こそ
その呼び名にふさわしい
コーナーキックじじい
都市伝説じゃない まだあんたには
このピッチに生き場所がある
コーナーキックじじい
ひと試合に数度のプレイだとしても
勝敗をわけることも少なくないうえに
その仕事場がセットプレイだからこそ
邪魔にはいることもできなくて
妖怪退治もままはらずに
あんたはもうしばらく
このピッチに姿を現し続けるのだろう
コーナーキックじじい
サッカーものだよね(笑)




