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臆病な魔法使いは、失敗しないように生きている 〜小学部編〜  作者: 南山


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第22話 三人の風


ガサガサと落ち葉を三人で歩く。

オリバーとレオとガイルだ。

後ろをノア先生が歩いている。

裏山の柿の木に向かっている。

天気は、上々。


「自主練とは、素晴らしい事です」

「俺は、柿が食べたい」

ガイルは、やる気マンマン。




オリバーもレオも、ガイルにつられるように目が輝いている。


もし、何かあってもノア先生がいる。

そう思うだけで安心感があった。


先日のガイルが柿の枝を折ったような事件を、自分が起こす事は避けたい。

でも、純粋に練習して上手になりたかった。


柿はたわわに、なっている。

じつは、今が食べ頃だ。


「来て良かった」

ガイルがニヤニヤする。


始めるか、と、誰かが言う前にガイルは、詠唱をはじめる。


足元に風が渦巻き、ガイルの指差す方向に落ち葉が飛んでいく。

が、落ち葉が飛んでるが、特定の柿には当たっていなかった。


「むずい!今度こそうまくいくと思ったのに」ガイルが叫ぶ。

「これじゃあ、柿が落ちないぞ」

レオがはやしたてる。


「もう一回だ!」


「順番な。焦ると当たらねぇぞ」レオが言う。


「じゃあ、やってみろよ」


レオが詠唱を始める。

風が渦巻き、落ち葉が飛ぶ。

ひとつの柿目指して飛んでいく。

「落ちろ!」

風がやんだ時、まだ落ちてはいなかった。

「くそう。いいところまで行ったのに!」

「なんでもいいよ。もう手で取ろうぜ」

「待てよ。オリバーの番だ」



オリバーは、オズオズ前に出る。

チラリと、ノア先生をみる。


できるかな。

「今」と、自分で言い聞かせる。


あの柿。


あの柿に、ぶつける。


あれを落とす。


詠唱を唱えながら、柿を見据える。

指差す方向は、あの柿。

落ち葉が勢いよく飛ぶ。


風が止んだ時、柿も落ちていた。


落ちた。


一瞬、息が止まる。

次の瞬間、体が勝手に跳ねた。


オリバーは、その場でジャンプした。

レオもガイルも飛んできた。

三人で肩を組んで跳ねた。

みんなニコニコだ。


ノア先生も「よく出来ました。」とにっこりだ。


やった。


ジャンプしてたガイルが、急につぶやいた。

「……なんでだよ」

「俺の方が最初にやったのに」

「精度だろ、精度」

レオが茶化す。


「うるせぇ」ガイルが言い返す。

「オリバー、教えろよ。どうやった?」


「えーと。『あの柿』だけ、見てた。」


「なるほどな。

一点集中か。狙う感じかな?」

レオが呟く。


ガイルがその言葉を噛み締めるように復唱する。「一点集中、、。」

キッと顔をあげると、

「まだまだやるぞ」と、叫ぶ。


何回か順番にしているうちに、三人とも柿を落とす事が出来た。


「ほら、出来た!」

「俺の柿が一番デカい!」

「それ、関係ある?」


柿をひとしきり食べた。

そのあとは、レオが「いろんな事を試そう」と、言って、どの角度からなら落とせるかとか、三人同時ならとか、実験を楽しんだ。




「良い連携でしたね」

ノア先生は、ずっとニコニコとみていた。



ガイルが笑っている。

レオが何か言っている。


二人の声が、風みたいに重なった。


胸の奥が、少しだけ軽い。


……三人も、いいな。


でも、これはきっと、

自分だけの感覚だ。

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