第14話 今に立つ
夏の盛りは少しずつ過ぎようとしていたが、
まだ太陽は、夏だった。
授業はすすみ、水魔法は、一旦終了した。
次は、風魔法。
生徒、ノア先生、校長先生は、実習のために校庭にでた。
ノア先生が詠唱を唱える。
「我が親愛なる精霊よ。集え、大気のうねりよ。疾風となれ」
空気がひんやり冷たくなる。圧力を感じるのに浮かびそうな感覚。体重がわからなくなる。
先生の足元の草が波打ち、渦を巻き始める。
先生の指差す方向へ、急に草の先端が激しく向く。まるで巨人の手になでつけられたように。それも一瞬のうちだった。
どっーーーっ
強い突風が吹いた。
草も木も、ゆれにゆれる。
次第におさまり、凪になる。
先程までのものは、何だったのかと思うほど、
草も木も、静かになっていた。
「すご」
「なにあれ。先生。」
「俺、飛ばされるかと思った」
「もう、やんだ」
「えー?そんなことある?」
「みんな、髪の毛、ボサボサだぜ。あはは。」
緊張が取れたのか、みんなひとしきり笑う。
校長先生が、頭を撫で付けながら、「素晴らしいですな。さすが、ノア先生。この風で当時、アレをしたんですな。」
「校長先生!」
口に指を慌ててあてる。
ーーーーー
「慣れないうちは、目標物があると風の方向が定まりやすいので、棒を地面に立てますので、これを倒すようにしてくだいね。」
「さて。また、順番に行いますよ。」
オリバーの番だ。
今まで、知らないうちに風が吹いてしまったことは、何度もあった。でも、自分から起こそうとしたことはなかった。
くちが詠唱を始める。
「我が親愛なる精霊よ。」
髪飾りが揺れ、
精霊を、白鳥祭のことを、思い出してしまった
「集え、大気の、、。」
揺れる
白い羽飾りが、、、。
しまった!
急に空気が冷える。
自分のせいだ。
冷たい空気が、足元からくる。
いつものをやってしまった。
詠唱は、途中で止まってしまった。
風が吹く。
しかし、一方向からではなく、四方八方からくる様なランダムな風だった。
失敗だ。
他の子もうまくイメージ出来ないのか、棒は、倒れない。
みんなが倒れないことで、ほっとする。
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ノア先生は、オリバーの様子を観察して、近寄ってきた。
「今、に、集中すると、良いですよ。その方がうまくいくと思います。」
とこっそりと言う。
誰にも聞かれず。
オリバーが、ノア先生の顔をみる。
先生は、にっこりと返事。
今。
そうだ。
今だ。




