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臆病な魔法使いは、失敗しないように生きている 〜小学部編〜  作者: 南山


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1/1

小学部入学の日

朝の光が眩しかった。夜勤明けなのである。

仕方なく車に乗り込み、サングラスをかける。少しでも光を減らせば、眠気に効果があるとどこかで読んだのだ。


道路は空いている。帰りにスーパーに寄ろうか、などと考えているうち、ふと対向車線にダンプが迫った。

避けられない。軽自動車から見たダンプは、まるで自分を潰すような存在だった。


「あ、やばい!」

次の瞬間、意識は途切れた。



気がつくと、温かい光に包まれていた。

誰かの声。柔らかく、眠りに誘うような手の感触。

考えなくても、いい気がした。


「……あのう」

力無い声が口から漏れる。

「……あー」

舌の感覚も歯もおかしい。だが、安心感が勝った。


女性が抱き上げ、背中をさすってくれる。

ゆっくりした、知らないメロディ。意味は分からないが、心が落ち着く。

くちからゲップやあくびが止まらない。

笑う女性の顔を見て、私も嬉しくなり、再び意識を手放した。



次に目覚めたのは、布団の上。手足はかろうじて動く程度だが、女性が世話をしてくれる。

母乳のようなものを口に含ませ、眠っては目覚める日々が続く。


少しずつ体の自由が戻り、名前を呼ばれると反応できることもわかった。

「オリバー?」

確かに、この名前は私のもののようだ。



年月は流れ、小学部入学の日。

弟のジャックと母さん、父さんに一緒に、学校へ向かう。

学校までは30分ほど歩く。初めての場所で緊張する。同じ道を歩く子どもたちも楽しそうで、笑顔が広がる。


学校に着くと、新入生たちが賑やかに集まっていた。

親たちは顔見知りらしく、挨拶の声が飛び交う。

オリバーはその光景に少し圧倒される。

——こんなに人がいる世界だったのか。


子どもたちは前に集められ、席につく。

隣に座ったのは、桑の実取りで会った男の子、レオだった。

「俺、レオ!よろしくな!」

「ああ、よろしく。オリバーです」


小さな交流でも、緊張は少し和らぐ。


式があっという間に終わると、子どもたちは親の元へ駆けていく。

オリバーもジャックと母に頬ずりする。




さあ、明日から私の学校生活が始まる。

できるなら、何事も起きませんように。

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