エラー発生
……
(うーん……)
……
(うーん……?)
……
(あれ……ここどこ……?)
目を少しだけ開けても視界は真っ暗のまま。何が起こったのか、全く分からない。手を少しだけ伸ばして何があるのかを確認する。手触りを感じる。かなり柔らかい。なんだろう。この感触は。
(確か家に帰ってから……毛布の中に入って……)
「……はっ!?」
僕は体を思いっきり動かした。するとやっぱり真っ暗だったのは毛布のせいで、毛布は少し遠くの所に落ちた。口についているよだれを服で取った。どうやらスマホを触っている内に寝落ちしていたみたい。そろそろ夜ご飯を作らないといけない時間帯だ。しかし、僕はふと違和感を覚えた。
「……あれ? なんか違うな……」
いつものリビングと何かが違う。目を凝らしているとどうやら色合いが違うみたいだ。ちょっと前はもう少し色が濃かった気がする。周りを見渡しても同じような色の変化をしていて、きっと起きた直後だから目がおかしくなっているのかもと少し安心した。
その時だった。
「あ、やっと起きた」
「うえっ!?」
知らない人の声がして僕は勢いよく後ろを向いた。しかしそこには誰もいない。幻聴まで聞こえたのかと考える暇もなくまたどこからか声が聞こえる。
「そっちじゃない」
「え!? 待って待って待って」
誰かが僕を誘導している。体を1回転させて、僕は誰かがこのリビングにいるのに気が付いた。怖くてそっちを向く気にはなれなかったけど、落ち着いてそっちの方を向いた。
「誰!?」
「誰って、俺だよ俺、『guest13384』さんよ」
「いや誰!?」
「いつも見てるじゃん、俺だよおーれ」
「ああ!? 君のこと知らないけど!?」
「……? あれ? なんで伝わらないんだ? お前いつも見ているじゃないか」
「誰!? 誰か分からないけど、ふ、不法侵入ですよ!?」
「不法侵入……? お前が勝手に入れたんだろここに」
「は!? いつからリビングに入ってるの!?」
「結構前だなー、お前が高校に合格してスマホもらった時からじゃねーか?」
「いやそんな前からここに住んでいないから! なんで勝手に入ってきてるの!?」
「どうも話がかみ合わねーな……なんかお前のスマホ壊れたのか……?」
「スマホ……? スマホになんの関係があるんだよ!?」
「だってスマホがないと俺が存在しねーじゃん」
「はぁ……?」
「え……待って、マジでよく分からねぇ……一旦スマホの修理に出してみるか? 俺からはカスタマーセンターに電話はできねぇけど、俺自体がクラッシュしてレポート書いて提出すれば元に戻るか……」
「おいっ! 何言っているか分かんないけど、変なことするなって!!」
僕は不審者が何をするか分からないけど、無意識にその人の肩を強く抑えた。その不審者は肩を押さえられた瞬間、いままでの余裕の態度が消えて、一気に青ざめたのが分かった。
「え……なんでお前、俺に触れるんだよ……?」
「だってここにいるから?」
「……待った。ちょっと待ってくれ」
「待ちませんよ。警察に通報しますから。このスマホで」
「警察なんかどうでもいい……捕まるわけないからさぁ……それよりも、なんでお前『ここ』でスマホ持っているんだよ……?」
「え? だってスマホ持って帰ってきたし……」
「……?」
「……え?」
空気はどの言葉にもしがたい雰囲気になっていた。