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6話 天使の杞憂
「ねえー、やっぱり心配?」
アオイが転移した後、ツバキはマキに問いかける。
「そんなわけないでしょ」
魔力の使いすぎか、マキは疲れを表情にうっすら示しつつ、あの人の懐にすぐ飛び込んでくる青年を思い出し答えた。自分にはないコミュ力を持っていた。
心配は、何故か全くなかった。会って数時間の青年をこんなに信じ込むなんて、マキは自分自身を鼻で笑った。
「おー、マキちゃんがそんなに信じるだなんてすごーいねアオチー。まーでも?リンくんとも出会うだろーし、だいじょぶだよー」
親友の背中をぽんと叩き、ツバキはにししと笑った。