3話 授かる力
さっきまでのだだっ広い大部屋から、マキの案内で移動してきた。その部屋はだいたい8畳ぐらいの部屋で、何故か机と茶菓子が用意されていた。マキ曰く転移専用の部屋らしい。マキに座るよう促され、従う。するとマキは説明を始めた。
「まず、貴方に授ける私ののアビリティですが、簡潔にまとめると、生命力を操るアビリティです。」
「…強くね?」
思ったままの感想をアオイは述べる。生命力を血液のような生きる為に必要なものと考えると、それを操るのはかなり強いだろうし、なんなら相手からその力を吸い取れるかもしれない。他にも、超回復力とかうんたらかんたら。
「まあ、私のアビリティですし。ただ、使い方としては、植物を急速に成長させたり生やしたりするだけですけどね。」
今までの過程が吹き飛びアオイは肩を落とす。だが、改めて考えるとやはり強くないか?操れる範囲が植物に狭まっただけで応用がかなり効きそうだ。そして何より
「自分で言うのもなんだが、俺っぽい能力だな。」
花屋の跡取り息子にそれを渡すのはセンスが良すぎる。
「植物の扱いは、じっちゃんとばっちゃんの次にわかってる。」
もう、会えない二人を、二人の店を思い出す。
ーじっちゃんとばっちゃん、仲良くしてるな。
目を瞑りると現れる情景。それはアオイにとって確信だった。そして二人と過ごした経験が世界の役にたつことがただアオイにとって嬉しかった。
「素敵な実は様とばっちゃん様なんですね。…そろそろアビリティを授けます。そこ、立ってください。」
アビリティを授ける準備が終わっただろうマキは、ちょいちょいと、さっきまでマキが居た床を指差す。アオイはそれに従いそこに立つ。
「汝、継承者なり。蒼の力を持って我命ずる。我が力、汝に授けん。」
マキの詠唱。それに反応するように、淡い水色の魔法陣が現れた。