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第17話:入学式

「そういえば、忘れてたんだけどこれ渡しておくよ」


 入学式当日の朝。朝食を食べ終えた後学院に向かうための準備をしていたセリカに声を掛けた。

 俺が持ってきたのはこの前露店で買った銀色のネックレス。


「これをお守り代わりにつけておいてほしい。できれば、常に身に着けてくれた方が役に立つと思う。……まあ、お守りみたいなもんだよ」


「これを私に?」


「怪しい物じゃないから心配しなくていいぞ? ほら、俺もつけてるしな」


 俺は制服の襟を少しだけ開いて、隠してつけているネックレスを彼女に見せる。


「お揃い……ってこと!? ありがとう、アウル!」


「喜んでもらえて嬉しいよ。……ということで、お風呂の時以外は基本的に付けてるように頼む。最悪持ってるだけでもいいから」


「わかった! お風呂にも持っていくね」


「いや、そこまでしなくていいんだけど……」


 なぜか俺の想像以上に喜ばれてしまったな。ネックレスを渡しただけなのになんでだろう?


 ◇


 一週間ぶりに勇者学院に到着した。

 案内を頼りに入学試験会場に向かう。会場は、基礎試験をやったあの体育館の隣にある講堂で行われるらしい。俺はセリカと一緒に資料を貰ってから入る。


 中心に舞台があって、そこを見下ろす形に同心円状の客席が並んでいる。


「どこに座ればいいのかな?」


「どこでもいいんじゃないか? ほら、まばらだし」


 客席には先に来ている入学生が座っていたが、特に規則性があるわけではなく各々が自由に並んでいる。

 俺とセリカは一番後ろの席に並んで座った。


 しばらく待っていると、たくさんの入学生が入ってきて、次々に席が埋まっていく。グループを作って座っている者、友達がまだおらず一人で座っている者と別れていたが、面白いことに一席分の間を開けて埋まっていった。


 リーシャが端の席で、俺がその隣なのだが、俺の横にも一つ空席がある。


 式典開始一分前――そろそろ始まる。

 そんな時だった。


「あわわわわっ! 間に合った――――!」


 時間ギリギリになって講堂に入ってくる女子生徒。赤髪のツインテールが特徴的で、フランス人形のように精緻な顔の美人さんだ。その見た目から、男子生徒からは別の意味で注目を浴びていた。


 赤髪の女子生徒はきょろきょろと辺りを見回して、


「ラッキー! そこ座っていいのよね?」


 丁度俺の隣が空いていることに気づいて、訊ねてきた。


「ええ……もちろん」


「失礼します……と。私は一年S組のアンナ・セルシエルよ。あなたは?」


「俺もS組だ。名前はアウル・シーウェル」


「同じ組だったのね! 仲良くしてくれると嬉しいな~! もしかして隣のその子も?」


 アンナは、俺の隣に座っているセリカを見る。


「セリカ・エイミスです。私もS組……」


「そっかー! もう二人も友達ができるなんて本当ツイてるわ!」


「友達……」


 セリカは人見知りなのかな? アンナがグイグイ来ても、どうしていいかわからないのかそわそわしている。……アンナが特殊なせいでどう接していいかわからないのも間違いなくありそうだけど。


 その後、入学式は滞りなく進行した。内容自体は日本の学校と基本的には変わらない。学院長からの祝いの挨拶があって、ありがたい言葉があって、歌を歌って終了。


 聞いたこともない歌だったけど、配布された資料に歌詞が書いてあったので、なんとなくリズムに合わせて歌うことができた。


 式典が終わった後はホームルームの予定になっている。三つある校舎のうち、学院生が使うのは一つ。その中でも一階が三年生、二階が二年生、三階が一年生という風に分けられたいた。


 校舎の前まで案内された後、俺とセリカとアンナは三人でS組の教室を探した。

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