表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/32

第1話 6度目の追放

「たかし、すまないがこれ以上君をこのパーティーに置いておく事は出来ない」


アレンが心苦しそうに、パーティーの最終決定を俺に伝えてきた。

アレンは良い奴だ。

きっと今回の決定だって、最後まで俺の為に他のメンバーを説得をしていてくれたに違いない。


彼はいつも俺に気を使ってくれていた。

俺だけじゃない、目に映るものすべてに手を差し伸べる優しい良い奴だ。

そしてそんな良い奴だからこそ、貧乏くじを引かされる。

俺に引導を渡す役も、その優しさに付け込まれて押し付けられたのだろう。


いや、それすらも優しい彼が率先して手を上げたのかもしれない。


「今まで有り難う、アレン。短い間だったけど、このパーティーに居られて良かったよ」


感謝の言葉を述べ、俺は左手を差し出す。

パーティーを追放される身ではあるが、彼らを恨む気持ちは微塵もない。

何故なら、俺が逆の立場だったならまったく同じ事をしていたはずだから。


「すまない……」


アレンが再度俺に謝罪しながら、俺の左手を両手で強く握る。

彼の瞳にはうっすら涙が浮かび、その両手からは彼の震えが伝わってきた。

本当に良い奴だ。


「それじゃあ、皆によろしく言っておいてくれ」


「わかった……」


俺はアレンに背を向け、軽く手を振りその場を離れる。



6度目のパーティー追放。


もう誰も俺をパーティーには誘ってくれないんだろうな。

そんな事を考えながら、俺はとぼとぼと重い足取りで帰路に就く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ