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04.星空の下でぼっち体験

焚き火の炎が弱くならないように木を足す。

スマホがポーチの中でうなった。

今は焚き火とコーヒーを楽しもう。

無視して放置する。

なんてことはしない。

ポーチからスマホを取り出し確認する。

サクッと確認完了。

「まっ、よくあることだ」

出したついてに曲を聞く「ゴッドファーザー」愛のテーマだ。


曲が終わり、スマホをポーチに戻す。

しばらくして燃やすものが無くなった。

あとは消えるのを待つだけ。

そう思ったとき。

真っ黒な湖の淵で何か動いた気がする。

よく見ると、ぼんやりした紺色の小さな影が、ゆっくり坂を昇ってくる。

頭から肩。

胸からお腹。

ゆっくりと、少しずつ見えてくる。

子供のようだ。

そして足が見えた瞬間。


目の前に立っていた。


顔を見ようと、ヘッドライトを点ける。

目の前にいたはずの子供が消えた。

立ち上がってタープの外へと足を進める。

「どうしたの」

やさしい口調で言ったつもりが少し震えた声でかっこ悪い。

ポールに付けていたハンドライトを外して左手に握り遠くを照らす。

降り注ぐ雨がキラキラと輝きカーテンのように視界をさえぎる。

テントから離れて周囲を確認する。

誰もいない。


水溜りの中を走れば音がするはず。

なのに何も聞こえなかった。

歩けば水が濁るはず。

だが、それすらもない。

「見まちがいか」

そう口にしながらライトを揺らし周囲をさがす。


湖の淵を照らしたとき、妙な事に気がついた。

湖面からここまでは、見通しのいい緩やかな斜面。

湖のふちに人が立っていれば全身が見える距離。

なのに、頭から少しずつなんておかしい。

やっぱり見まちがいだ。

俺はお化けとか見たこと無いから信じない。

ただの見まちがい。

湖からなんてありえない。

炎を見つめていたせいだろう。

テントに戻ろう。


そして、振り向いて見えたのは、焚き火の回りに立つ何人もの人影。


白いワンピースを着た長い黒髪の女性。

カラフルな皮ツナギを着てヘルメットを被ったライダー。

腰を曲げ杖をついた白髪の老婆。

手をつないだ中年の男女。いや手首をヒモで結んだの間違いだ。

そして、紺色のカッパを着た子供。


みんな消えかかった焚き火の炎を見つめている。

手を出して暖まろうとしているようにも見える。

俺はなぜか驚きもせずテントに戻る。

イスに腰掛け予備の割り箸を手にした。

小さな炎の焚き火へと足す。

すぐに炎が大きくなった。


彼らは何も言わずぼんやりとした目で炎を見つめている。

しばらくして炎が小さくなり消える。

俺は両手を合わせて目を閉じた。

そして、そのまま気を失ったように眠っていた。


目が覚めた時、彼らはもういなかった。

雨はあがって星が見える。

テントから出て草むらから大きな葉を摘み取る。

湖の淵にイスを持っていき腰かけた。

手にした葉で船を作って湖に浮かべる。


これはワンピースを着た女性のため。

これはライダーのため。

これはお婆さんのため。

これは二人のため。

そして、これはあの子のため。


摘んできた葉を全て船にして浮かべる。

葉の船は湖岸を離れ紺色の湖面へと消えてゆく。


しばらく、天の川が見える満天の星空を眺めていた。

ふと湖面に視線をおろすと青白い人影が見えた。

ボート……いや大きくなった葉の船だ。

葉の船に乗った青白い人影は星空へと吸い込まれるように消えてゆく。

そのあとも、次々と同じように船に乗った青白い人影がゆっくりと湖面から浮かび上がり星空へと消えてゆく。


長い髪の女性が湖面に手を伸ばし船べりに頭を乗せこちらを見ている。

ヘルメットを脇に抱えて天を見つめるライダー。

こちらに頭をさげたままのお婆さん。

向かい合って両手を握りあう二人。

そして、カッパの帽子を脱いでこちらに手を振る子供。


俺も手を振った。


*


7月13日、天気は雨。

朝食はカレー味のカップ麺とパックのご飯。

俺の定番朝食、カレーラーメンライスセットである。

「割り箸が無いじゃないか!」とおもわれるだろうが、心配ない。

こんなこともあろうかと使い捨てフォークやスプーンもあるのだ。


朝食を終え撤収後、自販機でドリンクを買って小銭をつくり、あの神社にお参りしてから帰路についた。


あの日から、湖畔でキャンプをするときは、焚き火をしながら葉で船を作って浮かべるようになった。

しかし、あの日と同じように見えることはない。

あの日は特別だったのだ。

はい、どうでした。字下げがない。よみにくい。つまらない。

わかってます、わかってます。ただのお遊びですねぇ。

お盆の迎え火は、7月か8月の12日か13日。

お盆にキャンプをされたかた、ご先祖さまが来てたかもしれませんねぇ。

サラダにバーベキュー、キュウリとナスありましたか。

ナスがないと……キューリで帰ったのでしょうねぇ。

えっ、キュウリもナスもない。

家まで来てるかもしれませんねぇ。怖いですねぇ。

このお話は2018年7月12日木曜に私が焚き火をしてたんですねぇ。

ぼっちじゃないですよ。

次の日が13日の金曜。そうですねぇ、あれですねぇ。

作品はみたことないですが、チェーンソーで有名なあのかた。

だれかの先祖で迎え火と勘違いして出て着た。

なんてことを、ずうっと、ずうっと頭の中でグルグル、グルグル。

グルグル、グルグル。そうしたら、さっと一晩で書けたんですねぇ。

オートバイ、ぼっちキャンプの経験がありますか。

あれば、ちょっと笑ってもらえた作品でしょうねぇ。

はい、もう時間がきましたね。

さあ、それでは、みなさん。

また、お会いしましょうねぇ。

さいなら、さいなら、さいなら。


♪「So In Love」

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