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ガブリエル戦記  作者: やよいつや
9/50

第7話 vsザバス 中

「さあ……はじめるぞ!」


リザード族。昔からその一族は戦闘民族として知られており、老若男女問わず人離れした戦闘力と闘争心を持っている。


目の前の男、ザバス、彼はリザード族の中でも特別な存在だ。周りの仲間は皆傭兵として戦場を駆け回っているにも関わらず、一人「戦は嫌いだ」と称し、「模擬戦で新人の相手をする」などと言ったアルバイトしかしていない。しかし、彼が弱いかと聞かれるとーー


「っ!」


素早い回し蹴りがライを襲う。あのライが、反応すら出来なかったのだ。


「ライさん!」


「イテテ……速すぎだろ……」


ライは起き上がり、身を整えた。


「勝てる気がしねーじゃんか」


「ライさん……後ろです!」


振り返るも、ザバスの一蹴りがーー


動きが、止まる。


「けっ……またお前かっ!その能力はなかなか厄介だぜーー」


ライのストレートが、ザバスを狙う。


軽々と躱す。二人は、お互いに距離を取った。


「トトと言ったな……なんだ今のは」


「ゆうれいさん……とトトは呼んでいます」


フワフワと、ザバスの足にまとわりついていた物がトトの側に戻る。


トトの能力は、少し変わったところがある。魔族の能力は、ほとんどその種族に依存しているが、彼女の能力は、彼女しか扱うことができない。


「人間さんたちが言っている幽霊とは、恐らく別物ですが……」


「……なるほど、それは力強いな」


「さて、その小細工がいつまで通用する……かな?」


再び、ザバスが動く。今度の標的はーー


「うっ!」


ゆうれいさんが、クッションとなるも、攻撃はトトに当たる。


「スキだらけじゃんかよっ!」


ライがそのチャンスを見逃さず、ザバスに殴り込む!


「イキがいい小僧ーーって、小娘だったな」


無残にも、再びライが地面に叩きつけられる。


「まったく、ハンターっていうのはな……」


ザバスがそのチャラそうな前髪を整える。


「刃向かうもんではなくてな……出会わないように逃げ回るもんなんだぜ」


「ああ……知ってるよ、そんぐらい」


ライが、ゆっくりと、立ち上がる。


「じゃあなんでわざわざこっちに来たんだよお前は」


「いやあ……あまりにもヒントがなくてね……」


「……はあ?」


「あんたならなんか知ってると思って、聞き出しに来たんだーー力ずくでな」


「……いやあ、それは参ったな……」


呆れた表情で、ザバスがため息を吐く。


「聞き出せるものなら……やってみろ」


ザバスが、身を構える。


「ああ、言われなくてもな……と、言いたいところだが」


「……敵が厄介ですね」


「……?」


その時だった。どこか懐かしさを感じる風が、微かに戦場に吹く。


「話は聞かせてもらったわ」


「クロエたちの手助けに感謝するのだ」


ライ、トト、フォーゲル、クロエ。この四人組が、世界を大きく変えることになろうと、この時は誰も思っていないだろう。


「1対4はさすがに辛いぜ……!」


ザバスの、目つきが変わった。


「よっしゃあ……やるぞ!」

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